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本編
第8話_二点同時戦闘-5
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「~…くそぉっ!!」
セイバーふたりで転送しておきながら、単独戦を強いられる烈の姿に、我慢ならなくなった陽は、意を決して『閃光』を両手に[異形]の群れの中へ突入していく。
「らああぁぁっ!!」
「!? …おいっ…!!」
突如戦場へ介入したサルファーは、身体中を襲う熱さをこらえ、ロードナイトに飛びかかる獣を背後から突いて戦力を削ごうとする。
「馬鹿っ…、やめろ、退け!!」
「うるせー!! 黙って見てられっかってんだよ!!」
敵群の内側から制止するロードナイトの怒声へがなり返し、突いた細剣を振り上げて引き剥がしていく。
「っう゛うぅぅぅっ…!!」
戦闘スーツを貫通し、肌を焦がされるような炎渦巻くなか、唸りながらも歯を食いしばり、サルファーは細剣を駆り続ける。
しかし時を待たずして、[異形]の体躯から飛び散る火の粉が戦闘スーツへふり注ぎ、サルファーの全身から煙がくすぶり始める。
気が遠のきそうになる灼熱地獄に耐える彼へ、突き攻撃を避けた[異形]のひとつが襲いかかり、その懐へ突進する。
高温に発熱した体躯に直接当てられたサルファーは、身を千切られるような熱さと痛みに絶叫をあげる。
「…うあ゛ああぁぁぁっ!!」
「――!!」
ロードナイトは群がる[異形]を大振りで蹴散らして群れの中心から躍り出ると、サルファーの胴を掴み、思い切りぶん投げる。
白煙に包まれる痩躯が、薄闇のなか弧を描き、はるか遠くで乾いた地に墜落する。
「無理だ、お前は!! 終わるまで大人しくしてろ!!」
そう怒声を投げると同時にロードナイトは『灼熱』に切り替え、球状の防御壁を造り出してサルファーを閉じ込めた。
そして、またたく間に攻撃態勢をとり戻す黒い集団から一旦距離を置いて体勢と息を整えると、再び群れの中へと突っ込んでいく。
「っう゛ぅっ…」
元通りロードナイトだけの単独戦闘に戻っていく戦場から遠く離れ、サルファーは身体中から煙を立ちのぼらせながら、低く呻く。
スーツは焼け焦げ、剥き出しになった肌が赤く腫れあがっていた。
サルファーは、身体中の痛みに震えつつも起きあがり、悔しさに顔を歪めながら、戦場を見つめた。
「…っ……!!」
仲間だけが戦い続け、ひとり安全の許された壁に守られ、参戦出来ない戦場を遠くから見守ることしかできない自分に、情けなさばかりが募った。
…なにしてんだよ俺っ…、月兄と苡月を守るために転送したのに…、なにもできてねぇじゃんかよ、俺…っ!
『セイバー』として転送したのに、役目をほとんど果たせていない現状にうちひしがれ、勝手に涙が滲んだ。
…俺だって『セイバー』なのにっ…、『転異空間』で『俺』が守られてたんじゃ、『守護者』でもなんでもねぇ、ただの無謀なアホじゃねぇか…っ!
拳を地面へ叩きつけ、地へ垂れていた頭をふり上げ、サルファーは宙を仰いだ。
「おい、俺を"選んだ"奴!! なにもしねぇまま『俺』を『転異空間』で遊ばせといていいのかよ!? [異界のもの]と戦わせるために…こいつらから『現実世界』を護るために、俺を"選んだ"んだろうがよ!! 『俺』が『ここ』で遊んでて一番困るのは、"選んだ" "お前"だろ!!」
サルファーはなにもない『転異空間』上空を見あげ、目端から涙を飛び散らせながら、"誰か"へ向けてがなり続けた。
「俺は黙って戦場を指咥えて見る羽目になることなんか、1ミリも望んじゃいねぇ!! 俺は選ばれた『セイバー』だぞ!! 俺に戦わせろぉぉっ!!!」
セイバーふたりで転送しておきながら、単独戦を強いられる烈の姿に、我慢ならなくなった陽は、意を決して『閃光』を両手に[異形]の群れの中へ突入していく。
「らああぁぁっ!!」
「!? …おいっ…!!」
突如戦場へ介入したサルファーは、身体中を襲う熱さをこらえ、ロードナイトに飛びかかる獣を背後から突いて戦力を削ごうとする。
「馬鹿っ…、やめろ、退け!!」
「うるせー!! 黙って見てられっかってんだよ!!」
敵群の内側から制止するロードナイトの怒声へがなり返し、突いた細剣を振り上げて引き剥がしていく。
「っう゛うぅぅぅっ…!!」
戦闘スーツを貫通し、肌を焦がされるような炎渦巻くなか、唸りながらも歯を食いしばり、サルファーは細剣を駆り続ける。
しかし時を待たずして、[異形]の体躯から飛び散る火の粉が戦闘スーツへふり注ぎ、サルファーの全身から煙がくすぶり始める。
気が遠のきそうになる灼熱地獄に耐える彼へ、突き攻撃を避けた[異形]のひとつが襲いかかり、その懐へ突進する。
高温に発熱した体躯に直接当てられたサルファーは、身を千切られるような熱さと痛みに絶叫をあげる。
「…うあ゛ああぁぁぁっ!!」
「――!!」
ロードナイトは群がる[異形]を大振りで蹴散らして群れの中心から躍り出ると、サルファーの胴を掴み、思い切りぶん投げる。
白煙に包まれる痩躯が、薄闇のなか弧を描き、はるか遠くで乾いた地に墜落する。
「無理だ、お前は!! 終わるまで大人しくしてろ!!」
そう怒声を投げると同時にロードナイトは『灼熱』に切り替え、球状の防御壁を造り出してサルファーを閉じ込めた。
そして、またたく間に攻撃態勢をとり戻す黒い集団から一旦距離を置いて体勢と息を整えると、再び群れの中へと突っ込んでいく。
「っう゛ぅっ…」
元通りロードナイトだけの単独戦闘に戻っていく戦場から遠く離れ、サルファーは身体中から煙を立ちのぼらせながら、低く呻く。
スーツは焼け焦げ、剥き出しになった肌が赤く腫れあがっていた。
サルファーは、身体中の痛みに震えつつも起きあがり、悔しさに顔を歪めながら、戦場を見つめた。
「…っ……!!」
仲間だけが戦い続け、ひとり安全の許された壁に守られ、参戦出来ない戦場を遠くから見守ることしかできない自分に、情けなさばかりが募った。
…なにしてんだよ俺っ…、月兄と苡月を守るために転送したのに…、なにもできてねぇじゃんかよ、俺…っ!
『セイバー』として転送したのに、役目をほとんど果たせていない現状にうちひしがれ、勝手に涙が滲んだ。
…俺だって『セイバー』なのにっ…、『転異空間』で『俺』が守られてたんじゃ、『守護者』でもなんでもねぇ、ただの無謀なアホじゃねぇか…っ!
拳を地面へ叩きつけ、地へ垂れていた頭をふり上げ、サルファーは宙を仰いだ。
「おい、俺を"選んだ"奴!! なにもしねぇまま『俺』を『転異空間』で遊ばせといていいのかよ!? [異界のもの]と戦わせるために…こいつらから『現実世界』を護るために、俺を"選んだ"んだろうがよ!! 『俺』が『ここ』で遊んでて一番困るのは、"選んだ" "お前"だろ!!」
サルファーはなにもない『転異空間』上空を見あげ、目端から涙を飛び散らせながら、"誰か"へ向けてがなり続けた。
「俺は黙って戦場を指咥えて見る羽目になることなんか、1ミリも望んじゃいねぇ!! 俺は選ばれた『セイバー』だぞ!! 俺に戦わせろぉぉっ!!!」
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