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本編
第7話_神域を侵す禍(わざわい)-14
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流血表現有
神社裏手の参道を駆け抜け、烈は駐車場手前へ辿り着く。
緩い坂をあがると、青と黄に明滅していた鉱石は黄一色へ変化し、陽が接触した[異界のもの]へ近距離にまで迫っていることが暗示されていた。
すぐにでも敷地内を走って巡りたいところだったが、烈は衝動を抑えて警戒し、慎重に足を踏み入れる。
すると、視力のいい目が駐車場の真ん中付近に、玉砂利を覆い隠すなにかがあることに気付く。
「……!! 葉月さん…!!」
烈は一瞬で青ざめ、脇目もふらず地へ伏せる葉月へ駆け寄った。
彼の有様をきちんと認めた烈は、眼球を固まらせ、喉を鳴らす。
柳緑色の長着は、いつもの丁寧に着付けられ一縷の乱れもない姿は消えうせ、帯がゆるみ肩口が抜けかけ、布の至る所が切り刻まれ、引き千切られていた。
膝下は露出し、ふくらはぎには鋭いなにかに穿たれたような傷があり、流れる血が白い玉砂利を染めていた。
息もできないまま、烈はうつ伏せの葉月の傍に膝をつく。
「葉月さん!! …葉月さん!!」
もはや怒鳴り声になる呼びかけにも応えは返って来ず、動悸で息をきらしかけた烈はふと更なる違和感に気付き、顔をあげる。
「…苡月…!!」
視線を浮かせた数メートル先には、同じように玉砂利に身体を落とす苡月の姿があった。
烈は一足飛びで苡月のもとへ移り、身体を小さく揺さぶりながら声がけした。
「苡月っ…苡月!! …苡月、返事しろ!!」
苡月は横顔がわかる姿勢で横たわっていて、見る限り外傷はないようだったが、目は閉じられたまま動かず、やはり応答はなかった。
烈は、想定していたなかでも最悪の惨状を前に、事実を受けとめきれず、頭を傾げて肩を震わせた。
神社裏手の参道を駆け抜け、烈は駐車場手前へ辿り着く。
緩い坂をあがると、青と黄に明滅していた鉱石は黄一色へ変化し、陽が接触した[異界のもの]へ近距離にまで迫っていることが暗示されていた。
すぐにでも敷地内を走って巡りたいところだったが、烈は衝動を抑えて警戒し、慎重に足を踏み入れる。
すると、視力のいい目が駐車場の真ん中付近に、玉砂利を覆い隠すなにかがあることに気付く。
「……!! 葉月さん…!!」
烈は一瞬で青ざめ、脇目もふらず地へ伏せる葉月へ駆け寄った。
彼の有様をきちんと認めた烈は、眼球を固まらせ、喉を鳴らす。
柳緑色の長着は、いつもの丁寧に着付けられ一縷の乱れもない姿は消えうせ、帯がゆるみ肩口が抜けかけ、布の至る所が切り刻まれ、引き千切られていた。
膝下は露出し、ふくらはぎには鋭いなにかに穿たれたような傷があり、流れる血が白い玉砂利を染めていた。
息もできないまま、烈はうつ伏せの葉月の傍に膝をつく。
「葉月さん!! …葉月さん!!」
もはや怒鳴り声になる呼びかけにも応えは返って来ず、動悸で息をきらしかけた烈はふと更なる違和感に気付き、顔をあげる。
「…苡月…!!」
視線を浮かせた数メートル先には、同じように玉砂利に身体を落とす苡月の姿があった。
烈は一足飛びで苡月のもとへ移り、身体を小さく揺さぶりながら声がけした。
「苡月っ…苡月!! …苡月、返事しろ!!」
苡月は横顔がわかる姿勢で横たわっていて、見る限り外傷はないようだったが、目は閉じられたまま動かず、やはり応答はなかった。
烈は、想定していたなかでも最悪の惨状を前に、事実を受けとめきれず、頭を傾げて肩を震わせた。
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