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本編
第7話_神域を侵す禍(わざわい)-12
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★流血表現有
楠神社の裏手には、10台ほどの車を停められる広さの駐車場があり、敷地一帯には表の境内と同じく玉砂利が敷き詰められていた。
周りを紅葉真っ盛りのケヤキに囲われ、木々が風に揺れるたびに、はらはらと葉が地へ舞い落ちる。
白い玉砂利とそれを染める赤や黄の葉が、鮮やかなコントラストを描いている。
そんな美しい景色の中で、柳緑色の長着に身を包んだ青年がふと膝をつき、玉砂利に身体を落とす。
長着と背中を覆う長い髪を乱し、うつ伏せになってその表情がうかがい知れないまま、動かなくなる。
「――おや。ようやく終わったかな」
青年の頭が向く先には、黒ずくめの男が立っていて、鷹揚な口調で呟きながら、その長身から伸びる長い腕を横に振るう。
男の腕の動きに合わせて、白い玉砂利に点々と、赤い雫が飛び散っていく。
「思いのほか長引いた。これほど粘られるとは思わなかったな…まるで"不死"のようだった。『人間』ではありえないことだけど、思わず疑いかけてしまったよ」
鉤爪と指にこびりついた血を払うと、黒い男――[犲牙]はみずからの顎を撫でた。
「それほどに、"子犬"が惜しかったということかな。…まぁ血を分けているようだから当然か。『人間』はまず血縁を尊ぶと聞くからね」
うつ伏せの青年――葉月を見やりながら、[犲牙]は人間の生態や性質を、さも感じ入るように並びたてる。
「所詮個は個。体躯が分離している時点でなんの繋がりもない。[俺たち]からすれば実に滑稽な習性だ。…でもきっとそれが、『人間』の様式美なんだろうね…」
自分の吐く台詞に酔うかのようにうんうんと数度頷き、[犲牙]はその場から葉月の方へとゆっくり進む。
楠神社の裏手には、10台ほどの車を停められる広さの駐車場があり、敷地一帯には表の境内と同じく玉砂利が敷き詰められていた。
周りを紅葉真っ盛りのケヤキに囲われ、木々が風に揺れるたびに、はらはらと葉が地へ舞い落ちる。
白い玉砂利とそれを染める赤や黄の葉が、鮮やかなコントラストを描いている。
そんな美しい景色の中で、柳緑色の長着に身を包んだ青年がふと膝をつき、玉砂利に身体を落とす。
長着と背中を覆う長い髪を乱し、うつ伏せになってその表情がうかがい知れないまま、動かなくなる。
「――おや。ようやく終わったかな」
青年の頭が向く先には、黒ずくめの男が立っていて、鷹揚な口調で呟きながら、その長身から伸びる長い腕を横に振るう。
男の腕の動きに合わせて、白い玉砂利に点々と、赤い雫が飛び散っていく。
「思いのほか長引いた。これほど粘られるとは思わなかったな…まるで"不死"のようだった。『人間』ではありえないことだけど、思わず疑いかけてしまったよ」
鉤爪と指にこびりついた血を払うと、黒い男――[犲牙]はみずからの顎を撫でた。
「それほどに、"子犬"が惜しかったということかな。…まぁ血を分けているようだから当然か。『人間』はまず血縁を尊ぶと聞くからね」
うつ伏せの青年――葉月を見やりながら、[犲牙]は人間の生態や性質を、さも感じ入るように並びたてる。
「所詮個は個。体躯が分離している時点でなんの繋がりもない。[俺たち]からすれば実に滑稽な習性だ。…でもきっとそれが、『人間』の様式美なんだろうね…」
自分の吐く台詞に酔うかのようにうんうんと数度頷き、[犲牙]はその場から葉月の方へとゆっくり進む。
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