ガイアセイバーズ9 -萌える若葉を摘む獣-

独楽 悠

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本編

第7話_神域を侵す禍(わざわい)-8

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「…」

蒼矢ソウヤは面差しに憂いを帯びたまま、ホーム画面に戻るスマホの画面へ目を落としていた。
レツのためを思い、突き放すような言葉を投げて一方的に終えてしまったことに、心の中に後悔が募った。

…でも、パニックしかけてた烈には、あのまま説き伏せ続けてもきっと通じない。
…恨まれたとしても、被害をより抑えられる方が遥かにいい。

そう自分に言い聞かせつつ、再び指を動かし始め、通話履歴を探る。

「…影斗エイト先輩、今大丈夫ですか?」
『――おー、お前タイミングすげぇな。ちょうどバイクのエンジンふかすとこだったぜ』

援護を請うため、蒼矢は次に影斗へ電話をかけた。

「移動中でないなら、少しだけ話を聞いて下さい。アキラからの連絡には気付いてると思いますが、俺の方でも今さっき"気配"を察知したんです」
『…はぁ!?』

前例のない報告を聞き、やはり影斗も烈と同じような反応を返してくる。
驚き過ぎたか沈黙する影斗へ、蒼矢は至って冷静な口調で、手短に用件を伝える。

「陽の方には、要請通り烈に向かってもらいます。…先輩にはこっちを手助けして欲しいんです」
『……なるほどな。勢力分断って手を使ってきたか、奴らも存外知的生物味ある真似してくるじゃねぇか』

仔細のおおむねを端折った蒼矢からの依頼に、影斗は一時無反応だったものの、さほど間を置かずにそう考察を口にした。

『了解。お前今どこ? ケーキ屋の駅か?』
「はい。…すみません、ありがとうございます」
『馬ぁ鹿、感謝もなにもねぇだろ。こんな時にシケた台詞吐いてんじゃねぇぞ』

小さくもれ出る謝辞をいつもの調子で一蹴した影斗は、すぐさま状況を飲みこむと同時に蒼矢の意図を理解し、話を進める。

『…どちらにせよ単騎でやらせるわけにはいかねぇんだ、2-2で分かれるのが一番ましだろ。俺としても蒼矢側そっち行く方が近いんだし』
「双方戦力不足で、共倒れになる可能性もありますけど…」
『そんなん蓋開けてみなきゃわからねぇだろ、やってもねぇ内に悲観すんな。それよりどんな状況だ? もう[狩場]出来ちまってるのか?』
「いえ、まだだと思います。ただ…気配が少しずつ増している気がするんです」
『一刻を争いそうだな』
「許容できなくなったら先に転送し行きます。なるべくわかりやすい地点で転送する移るようにします」
『おう、全速で向かうわ。…無茶だけはすんなよ』
「了解です」
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