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本編
第7話_神域を侵す禍(わざわい)-3
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葉月はもはや駆け足のような速さで廊下を歩き進み、中庭をのぞむガラス戸を開け放つ。
「……!!」
冬支度に入り、緑のなくなった茶色い中庭には、黒い塊がそこかしこにうごめいていた。
中型犬ほどの大きさの獣らしきそれらは、家屋内からの気配に気付くと一斉に頭を向ける。
顔の輪郭も判別できない黒々しい体毛から、白く鋭い爪と牙を剥き、血のように赤い双眸を光らせ、縁側に立ち尽くす葉月を睨む。
「…!? こいつら…」
葉月に追いついた陽は同様にこの光景を目にし、かろうじて言葉を漏らしてから、すぐに自らの胸元の異変を察する。
彼のシャツの内側では、『セイバー』に変身するための『起動装置』であるサルファー鉱石が、黄色い光を放っていた。
声もなく固まる葉月へ、陽は鋭く声を放つ。
「月兄、逃げろ…!」
「…!」
横目だけを向ける葉月へ、続けて吼えた。
「苡月連れて、ここから離れろ!」
「…でもっ…陽だけでは」
「んなこと言ってる場合かよ、このままじゃ苡月も巻き込んじまうぞ!! 早く行け!!」
陽の怒声が思考を止める脳内に響き、葉月はごくりと大きく喉を鳴らしてから意を決して踵を返し、階段へと走っていく。
遠のいていく葉月の足音を聞きながら、陽は彼に代わって獣の視線を集めつつ、ズボンのポケットの中で素早くスマホを動かす。
そして獣たちを凝視したまま中庭へとゆっくり降り、立てかけてあったスコップを手探りで掴みあげる。
中庭一帯に半円に広がる[招かれざるもの]たちへ向け、使命に燃える双眼が殺気を帯びた。
「…あのふたりには、1ミリも触れさせねぇかんな…!」
「……!!」
冬支度に入り、緑のなくなった茶色い中庭には、黒い塊がそこかしこにうごめいていた。
中型犬ほどの大きさの獣らしきそれらは、家屋内からの気配に気付くと一斉に頭を向ける。
顔の輪郭も判別できない黒々しい体毛から、白く鋭い爪と牙を剥き、血のように赤い双眸を光らせ、縁側に立ち尽くす葉月を睨む。
「…!? こいつら…」
葉月に追いついた陽は同様にこの光景を目にし、かろうじて言葉を漏らしてから、すぐに自らの胸元の異変を察する。
彼のシャツの内側では、『セイバー』に変身するための『起動装置』であるサルファー鉱石が、黄色い光を放っていた。
声もなく固まる葉月へ、陽は鋭く声を放つ。
「月兄、逃げろ…!」
「…!」
横目だけを向ける葉月へ、続けて吼えた。
「苡月連れて、ここから離れろ!」
「…でもっ…陽だけでは」
「んなこと言ってる場合かよ、このままじゃ苡月も巻き込んじまうぞ!! 早く行け!!」
陽の怒声が思考を止める脳内に響き、葉月はごくりと大きく喉を鳴らしてから意を決して踵を返し、階段へと走っていく。
遠のいていく葉月の足音を聞きながら、陽は彼に代わって獣の視線を集めつつ、ズボンのポケットの中で素早くスマホを動かす。
そして獣たちを凝視したまま中庭へとゆっくり降り、立てかけてあったスコップを手探りで掴みあげる。
中庭一帯に半円に広がる[招かれざるもの]たちへ向け、使命に燃える双眼が殺気を帯びた。
「…あのふたりには、1ミリも触れさせねぇかんな…!」
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