ガイアセイバーズ9 -萌える若葉を摘む獣-

独楽 悠

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本編

第7話_神域を侵す禍(わざわい)-2

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「――蒼兄あおにぃ、これからケーキ受け取りに行くって」
「了解」

アキラは、SNSへ届いた蒼矢からの文面を読みあげ、ひと通りの用意を終えた葉月ハヅキがそれへ応えながら居間に戻る。

「どんなケーキだろなぁ…注文先は影兄かげにぃセレクトだって話だけど」
「あぁ、そうなんだ。確かに影斗エイトなら、美味しいお店知ってそうだね」
「情報通だからなー。楽しみ! 兄貴も早めに配達終わりそうだってさ」
「それはよかった。この分だと、二人同時くらいにこっちに着きそうかな」
「ごちそうの準備はできた?」
「うん、おおむね。栞奈カンナが今買い足しに行ってくれてるのを仕込んだら終わりだよ」

誕生パーティーの待機組は一旦休憩に入り、居間でまったりする。

「…いよいよ15かぁ、苡月あいつも」

そう話をふる陽に、葉月は静かに頷いた。

「本当に奇跡みたいな巡り合わせだよね…あの子の誕生日に、こうしてみんなに祝福して貰えるなんて。僕も幸せに思うよ」
月兄つきにぃは誕生日もう少し先だな! 月末だったよな?」
「うん。またひとつ歳とっちゃう…祝ってもらえるのは嬉しいけど、本音は結構憂鬱なんだよね…」

そう会話を交わし、ふたりはおかしそうに笑い合う。

直後、双方の耳に、ごく近くでなにかが割れるような音がした。
その硬い破砕音がした方へ、ふたりは同時に首を動かす。

「…なんだ? 中庭の方か?」

そう陽がつぶやく傍らで、葉月が素早く立ちあがり、廊下へと続くふすまを開ける。
みるみる顔色を変え、緊迫の面差しになっていく彼の顔を見、陽も素早く立ちあがってあとを追う。

葉月が思い当たる音の出どころは、陽が言うとおり中庭の、木々の植わる植木鉢や陶器製のプランターだった。
それらは基本野ざらしではあるものの、そうやすやすと割れるものではない。
なにか外的な打撃か圧力・・・・・・・・が加わらない限り、破損する機会など無いに等しい。

つまり、そういう・・・・対象が敷地内に入ったおそれがある、ということである。
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