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本編
第3話_新たに選ばれし者-5
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蒼矢の言う"リスク"とは、一般人とセイバーの両方を指していた。
『セイバー』が[異界のもの]と遭遇し、『起動装置』で『転異空間』を造るとなったときに近くに一般人がいた場合、巻き込んで一緒に転送してしまうおそれがある。
『転異空間』は、人間としての能力を最大限に高められ、体力的・防御力的に強靭な肉体を得られるセイバーにとっては有益な戦闘フィールドだが、なんの能力補正もされていない生身の人間が転送された場合の危険性ははかり知れないし、そもそも無事に『現実世界』へ戻れる保証もない。
近々の例だと、[侵略者]に標的にされた烈が、偶然が重なって変身しないまま『転異空間』へ転送されたことがあったが、空間内で変身したため、帰還するときは『セイバー』だった。
[異界]にまでさらわれた経験を持つ蒼矢も、[異界]で変身し、『セイバー』で帰還している。
帰還時に、セイバー以外の人間を帯同した事例は経てきておらず、安全性への不確定要素ばかりだ。
よってセイバーたちは、なるべくひと気を避けて[異界のもの]へ接触する、また万が一ひとの密集地で接触した場合は、みずから[異界のもの]をさそい出し、セイバーだけになる機会を狙って『転異空間』を造るよう心がけている。
多くのセイバーが、自らの『もうひとつの顔』を肉親にさえ明かしていない理由は、おしなべてここに集約されている。
そしてそれは同時に、セイバーたち自身の危険を減らすことにもつながる。
そもそも、セイバーの肉体強化は変身後、つまり『転異空間』へ転送されてから施されるもので、『現実世界』で[異界のもの]と対峙することは想定されていない。
セイバーとしても、『現実世界』で一般人を伴った状態で[異界のもの]と接触するとなると、彼らを庇いながら立ち回らざるを得なくなるため、相当なリスクを抱えることになる。
『現実世界』でのリスクをなるべく抑える。
素性を秘匿して過ごし、ことが起きたら衆目につかないよう動き、ひと知れず[異界のもの]を討伐する。
基本的に『セイバーズ』にはそのような動きが求められるのだった。
「――でも、葉月さんは立場的に難しい。…苡月がセイバーになれば、自分のリスクを承知したうえで傍に居続けることになる」
「…そうだな…」
「葉月さんは今まで通りサポートするって言ってくれたけど、俺たちが変わらずに楠神社に集まってたら、葉月さんの身を危険に晒し続けることになってしまう」
「確かに…葉月さんは自分ちで仕事してるわけだから、俺らが転送する度に遠くへ避難してもらうってわけにもいかねぇしな…」
「…葉月さんたちの家に、今までと変わらず入りびたりになるような状況は、なるべく避けるべきだ」
『セイバー』が[異界のもの]と遭遇し、『起動装置』で『転異空間』を造るとなったときに近くに一般人がいた場合、巻き込んで一緒に転送してしまうおそれがある。
『転異空間』は、人間としての能力を最大限に高められ、体力的・防御力的に強靭な肉体を得られるセイバーにとっては有益な戦闘フィールドだが、なんの能力補正もされていない生身の人間が転送された場合の危険性ははかり知れないし、そもそも無事に『現実世界』へ戻れる保証もない。
近々の例だと、[侵略者]に標的にされた烈が、偶然が重なって変身しないまま『転異空間』へ転送されたことがあったが、空間内で変身したため、帰還するときは『セイバー』だった。
[異界]にまでさらわれた経験を持つ蒼矢も、[異界]で変身し、『セイバー』で帰還している。
帰還時に、セイバー以外の人間を帯同した事例は経てきておらず、安全性への不確定要素ばかりだ。
よってセイバーたちは、なるべくひと気を避けて[異界のもの]へ接触する、また万が一ひとの密集地で接触した場合は、みずから[異界のもの]をさそい出し、セイバーだけになる機会を狙って『転異空間』を造るよう心がけている。
多くのセイバーが、自らの『もうひとつの顔』を肉親にさえ明かしていない理由は、おしなべてここに集約されている。
そしてそれは同時に、セイバーたち自身の危険を減らすことにもつながる。
そもそも、セイバーの肉体強化は変身後、つまり『転異空間』へ転送されてから施されるもので、『現実世界』で[異界のもの]と対峙することは想定されていない。
セイバーとしても、『現実世界』で一般人を伴った状態で[異界のもの]と接触するとなると、彼らを庇いながら立ち回らざるを得なくなるため、相当なリスクを抱えることになる。
『現実世界』でのリスクをなるべく抑える。
素性を秘匿して過ごし、ことが起きたら衆目につかないよう動き、ひと知れず[異界のもの]を討伐する。
基本的に『セイバーズ』にはそのような動きが求められるのだった。
「――でも、葉月さんは立場的に難しい。…苡月がセイバーになれば、自分のリスクを承知したうえで傍に居続けることになる」
「…そうだな…」
「葉月さんは今まで通りサポートするって言ってくれたけど、俺たちが変わらずに楠神社に集まってたら、葉月さんの身を危険に晒し続けることになってしまう」
「確かに…葉月さんは自分ちで仕事してるわけだから、俺らが転送する度に遠くへ避難してもらうってわけにもいかねぇしな…」
「…葉月さんたちの家に、今までと変わらず入りびたりになるような状況は、なるべく避けるべきだ」
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