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本編
第1話_功労者の格言_8
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食事を終え、片付いたテーブルで3人お茶をすする中、烈はふとあることに気づいて葉月へ話を振った。
「そういや、セイバーじゃなくなっても『回想』の記憶は残ったままなんすね!」
「ああ、うん。更に記憶を掘りさげることができなくなったってだけで、なくなるわけじゃないみたいだね。これから徐々に薄れてくかもしれないけど、一応まだ全部覚えてるよ」
そう烈へ返すと、葉月はふと目を大きく見開いた。
「そういえば…ずっと不鮮明だった先代のアズライトの在席時期に、少し前にようやく辿れたんだった。そこだけずっと、虫食い穴ができたみたいに不鮮明だったんだけど」
「えっ…?」
「マジすか!?」
葉月が『エピドート』に就いてからずっとわからずじまいだった、蒼矢の先代のアズライトに関する情報が口に出され、蒼矢と烈は思わず前のめりになる。
「どれくらい前なんすか?」
「在席してたのは30年前くらいだね。おおよそで換算すると、覚醒時期は今から35年前くらいかも」
「そんなに前…って、その間ずっと空席だったってことかよ…!!」
「僕ら時点で数年ばかし過去を追っても、わかるはずないよね」
衝撃の事実に唖然とする烈へ、葉月はため息混じりに相槌を打った。
当代である蒼矢が、つっ込んで問いかけていく。
「それで…実際には?」
「うん。先代もまた、『凍氷』まで発現してたらしい。もう少し前に遡っていくと、わりと『水』止まりだった人が多かったから、彼も適合性が高めだったのかもしれないね。…ただもちろん、装具なしで『索敵』を使った、という記録は残されてなかったよ」
「…そうですか…」
「残念だね…なにか参考にできるところがあれば、と思ったんだけど…」
「いえ、充分です」
そう言い、また沈黙に戻っていく蒼矢の隣で、烈がひとりとある点に気付く。
「30年前っていえば、蒼矢の父ちゃん世代じゃねぇか? うちの父ちゃんも、生きてりゃ50手前くらいだし」
「! あぁ…」
「そういえばそうか。今年50歳だとして、35年前で15歳。系譜で考えると、親子ほどの間隔なんだね」
「…」
ふたりのやり取りを耳にし、蒼矢は内で、身近な例をあげて考えてみる。
…確かに…、父さんが今年51歳。
…35年前だとすると、覚醒時期と丁度合ってくるんだな…
「まぁ、セイバーの世代で考えれば途方もねぇ不在期間だけどな!」
「そうだねぇ。それに、『アズライト』はなにしろ代替わりという概念はなくて、アズライトに足る適合者が現れ次第だから、30年ていうのもあくまで一例。それ以上開くこともあるだろうし、逆もあっただろう」
ひとり思案にふける蒼矢を置き、残ったふたりで話が進む。
「そういや、セイバーじゃなくなっても『回想』の記憶は残ったままなんすね!」
「ああ、うん。更に記憶を掘りさげることができなくなったってだけで、なくなるわけじゃないみたいだね。これから徐々に薄れてくかもしれないけど、一応まだ全部覚えてるよ」
そう烈へ返すと、葉月はふと目を大きく見開いた。
「そういえば…ずっと不鮮明だった先代のアズライトの在席時期に、少し前にようやく辿れたんだった。そこだけずっと、虫食い穴ができたみたいに不鮮明だったんだけど」
「えっ…?」
「マジすか!?」
葉月が『エピドート』に就いてからずっとわからずじまいだった、蒼矢の先代のアズライトに関する情報が口に出され、蒼矢と烈は思わず前のめりになる。
「どれくらい前なんすか?」
「在席してたのは30年前くらいだね。おおよそで換算すると、覚醒時期は今から35年前くらいかも」
「そんなに前…って、その間ずっと空席だったってことかよ…!!」
「僕ら時点で数年ばかし過去を追っても、わかるはずないよね」
衝撃の事実に唖然とする烈へ、葉月はため息混じりに相槌を打った。
当代である蒼矢が、つっ込んで問いかけていく。
「それで…実際には?」
「うん。先代もまた、『凍氷』まで発現してたらしい。もう少し前に遡っていくと、わりと『水』止まりだった人が多かったから、彼も適合性が高めだったのかもしれないね。…ただもちろん、装具なしで『索敵』を使った、という記録は残されてなかったよ」
「…そうですか…」
「残念だね…なにか参考にできるところがあれば、と思ったんだけど…」
「いえ、充分です」
そう言い、また沈黙に戻っていく蒼矢の隣で、烈がひとりとある点に気付く。
「30年前っていえば、蒼矢の父ちゃん世代じゃねぇか? うちの父ちゃんも、生きてりゃ50手前くらいだし」
「! あぁ…」
「そういえばそうか。今年50歳だとして、35年前で15歳。系譜で考えると、親子ほどの間隔なんだね」
「…」
ふたりのやり取りを耳にし、蒼矢は内で、身近な例をあげて考えてみる。
…確かに…、父さんが今年51歳。
…35年前だとすると、覚醒時期と丁度合ってくるんだな…
「まぁ、セイバーの世代で考えれば途方もねぇ不在期間だけどな!」
「そうだねぇ。それに、『アズライト』はなにしろ代替わりという概念はなくて、アズライトに足る適合者が現れ次第だから、30年ていうのもあくまで一例。それ以上開くこともあるだろうし、逆もあっただろう」
ひとり思案にふける蒼矢を置き、残ったふたりで話が進む。
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