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本編
第1話_功労者の格言_5
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首を傾げるふたりへ、葉月は至って冷静な面持ちで続けた。
「戦力と熟練度的に、今の君たちの体制が最も安定してると感じるから。確かに防御性に不安は出てくるだろうけど、ロードナイトは後発属性が充分使いこなせてるし、烈が防御役に回っても、アズライトが攻撃役に出られるようになってる」
「…!」
「オニキスは、もうずいぶん前から司令塔の役目を担ってくれてる。彼の正確な判断力があれば、難しい戦局もきっと切り抜けられるだろう。サルファーも…ここ1,2か月でようやく自覚を持って参戦してくれるようになった。後発属性の発現まではまだまだ遠いけど、ポテンシャル的にも素の気質的にも、先代以上の爆発力を秘めてると思ってる」
そう、仲間をひとりひとり取りあげ、ゆっくりと噛みしめながら葉月は語った。
10年を超える長い間セイバーであり続け、確かな観察眼をもって仲間を見守り支え続けた男の言葉に、ふたりは黙って耳を傾けた。
虚空を見つめ、自身を顧みるように聞き入るさまへ微笑を送りながら、葉月は蒼矢へ視線を流す。
「蒼矢。なかでも君の存在は、今のセイバーズに大きな影響力がある。…なぜかは解るよね?」
ふとじっと見つめられ、蒼矢は射抜かれたように目を見張ってから、面差しを正す。
「…空席が多いから、でしょうか」
「そう。今、君がアズライトとして在籍してること、それ自体が今までにない"強み"なんだ。空席期間を常とした時、代替わりでひとり欠ければ、動けるのは3人しかいなくなる。それが、君という存在が活きてるだけで、普段欠けのない時と同等の戦力をそのまま維持できる。実質"欠けを埋められる"という事実は、個々の持てる能力以上に[異界のもの]へプレッシャーを与えることができるだろう」
「…はい」
「加えて、君は後発まで発現済だ。烈も同様に。つまり現状、欠けが出た場合のリスクは最小限に抑えられている。…今の君たち自身に、強い自信を持って欲しい。必ず乗り越えられるから」
葉月は、最後は烈へも視線をやりつつ、穏やかな眼差しは崩さないままに伝えた。
優しくも熱の込められた言葉を受け止め、烈と蒼矢は揃って頷いた。
「…一日も早く気持ちを切り替えられるよう、努力します」
「うん。いつも通りに過ごすつもりでいれば、なにも心配することはないよ」
「戦力と熟練度的に、今の君たちの体制が最も安定してると感じるから。確かに防御性に不安は出てくるだろうけど、ロードナイトは後発属性が充分使いこなせてるし、烈が防御役に回っても、アズライトが攻撃役に出られるようになってる」
「…!」
「オニキスは、もうずいぶん前から司令塔の役目を担ってくれてる。彼の正確な判断力があれば、難しい戦局もきっと切り抜けられるだろう。サルファーも…ここ1,2か月でようやく自覚を持って参戦してくれるようになった。後発属性の発現まではまだまだ遠いけど、ポテンシャル的にも素の気質的にも、先代以上の爆発力を秘めてると思ってる」
そう、仲間をひとりひとり取りあげ、ゆっくりと噛みしめながら葉月は語った。
10年を超える長い間セイバーであり続け、確かな観察眼をもって仲間を見守り支え続けた男の言葉に、ふたりは黙って耳を傾けた。
虚空を見つめ、自身を顧みるように聞き入るさまへ微笑を送りながら、葉月は蒼矢へ視線を流す。
「蒼矢。なかでも君の存在は、今のセイバーズに大きな影響力がある。…なぜかは解るよね?」
ふとじっと見つめられ、蒼矢は射抜かれたように目を見張ってから、面差しを正す。
「…空席が多いから、でしょうか」
「そう。今、君がアズライトとして在籍してること、それ自体が今までにない"強み"なんだ。空席期間を常とした時、代替わりでひとり欠ければ、動けるのは3人しかいなくなる。それが、君という存在が活きてるだけで、普段欠けのない時と同等の戦力をそのまま維持できる。実質"欠けを埋められる"という事実は、個々の持てる能力以上に[異界のもの]へプレッシャーを与えることができるだろう」
「…はい」
「加えて、君は後発まで発現済だ。烈も同様に。つまり現状、欠けが出た場合のリスクは最小限に抑えられている。…今の君たち自身に、強い自信を持って欲しい。必ず乗り越えられるから」
葉月は、最後は烈へも視線をやりつつ、穏やかな眼差しは崩さないままに伝えた。
優しくも熱の込められた言葉を受け止め、烈と蒼矢は揃って頷いた。
「…一日も早く気持ちを切り替えられるよう、努力します」
「うん。いつも通りに過ごすつもりでいれば、なにも心配することはないよ」
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