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本編
プロローグ_1
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――[異界]――
すべての人間が生まれ落ちる地球『現実世界』とは次元の異なる域に存在する、もうひとつの世界である。
『現実世界』と[異界]はお互いに隠されていて、通常見えることはなく、ふたつの世界に生きる者同士が会いまみえることもない。
『現実世界』に生きる者に[異界]を知るすべはなく、個々の頭の中に思い描かれる空想の中にしか存在しえない。
しかし[異界]に生きる者――[異界のもの]は、『現実世界』の存在を一方的に認知している。
そして、みずからの命をつなぐことを目的として、能動的に『現実世界』へ干渉する力を持っている。
[異界のもの]の中でもとりわけ[侵略者]と称される者は、独立した生命力と知能を持ち、それらを維持するために、ある一定の頻度で"食事"をする必要があった。
食事の対象となるものは、『現実世界』の生物である。
生きているものならなんでもいいわけではなく、対象は人間に限られ、更に体躯に吸収しやすい"体液"が好まれる。
[侵略者]は、自分たちが使役する駒[異形]の機動維持のためにも一度の食事で広範囲を狙い、『現実世界』へ侵入すると[狩場]を造り、多数の人間を標的にして囲いこむ。
[狩場]の範囲内に入ってしまった人間は、人外の能力を行使する[彼ら]の仕掛ける罠に嵌り、正常な思考力を失い、無抵抗にその身を捧げる運命を辿る。
体液を限界まで搾取されて干からびてしまったり、乱暴に喰われて身体を壊されてしまったりと、命までも奪われることも多く、生きたまま[異界]へ連れ去られてしまうという結末も少なくない。
この無慈悲さの背景には、[侵略者]が人間を単なる"餌"としか認めていないという事実がある。
みずからを人間より遥かに高等な存在と位置付けていて、蔑むことこそあれ、それ以外には塵芥と、特になにも思うところはないのである。
それに対し、[異界]の存在を知りえない『現実世界』側では、[侵略者]が人間へ犯す罪はすべて原因不明の"怪異"や"未解決事件"、当事者不在の"失踪"あるいは"神隠し"として片付けられてしまう。
事象の本質が見えないままに調査や捜査は幕が閉じられ、次第に人々の記憶から忘れ去られていく。
死角から人間たちへしのび寄り、ひと知れずその前途や穢れを知らない心、時に命をも奪っていく。
その姿なき悪意は凶悪にして希薄で、どれほど高名な役職を持つ者が正義をふりかざしたとしても、裁くことはできないのである。
すべての人間が生まれ落ちる地球『現実世界』とは次元の異なる域に存在する、もうひとつの世界である。
『現実世界』と[異界]はお互いに隠されていて、通常見えることはなく、ふたつの世界に生きる者同士が会いまみえることもない。
『現実世界』に生きる者に[異界]を知るすべはなく、個々の頭の中に思い描かれる空想の中にしか存在しえない。
しかし[異界]に生きる者――[異界のもの]は、『現実世界』の存在を一方的に認知している。
そして、みずからの命をつなぐことを目的として、能動的に『現実世界』へ干渉する力を持っている。
[異界のもの]の中でもとりわけ[侵略者]と称される者は、独立した生命力と知能を持ち、それらを維持するために、ある一定の頻度で"食事"をする必要があった。
食事の対象となるものは、『現実世界』の生物である。
生きているものならなんでもいいわけではなく、対象は人間に限られ、更に体躯に吸収しやすい"体液"が好まれる。
[侵略者]は、自分たちが使役する駒[異形]の機動維持のためにも一度の食事で広範囲を狙い、『現実世界』へ侵入すると[狩場]を造り、多数の人間を標的にして囲いこむ。
[狩場]の範囲内に入ってしまった人間は、人外の能力を行使する[彼ら]の仕掛ける罠に嵌り、正常な思考力を失い、無抵抗にその身を捧げる運命を辿る。
体液を限界まで搾取されて干からびてしまったり、乱暴に喰われて身体を壊されてしまったりと、命までも奪われることも多く、生きたまま[異界]へ連れ去られてしまうという結末も少なくない。
この無慈悲さの背景には、[侵略者]が人間を単なる"餌"としか認めていないという事実がある。
みずからを人間より遥かに高等な存在と位置付けていて、蔑むことこそあれ、それ以外には塵芥と、特になにも思うところはないのである。
それに対し、[異界]の存在を知りえない『現実世界』側では、[侵略者]が人間へ犯す罪はすべて原因不明の"怪異"や"未解決事件"、当事者不在の"失踪"あるいは"神隠し"として片付けられてしまう。
事象の本質が見えないままに調査や捜査は幕が閉じられ、次第に人々の記憶から忘れ去られていく。
死角から人間たちへしのび寄り、ひと知れずその前途や穢れを知らない心、時に命をも奪っていく。
その姿なき悪意は凶悪にして希薄で、どれほど高名な役職を持つ者が正義をふりかざしたとしても、裁くことはできないのである。
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