ガイアセイバーズ5 -歪な虚構の翅-

独楽 悠

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本編

第9話_姿現す憎悪-3(R18)

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★R18表現あり
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身体が思うように動けなくなった蒼矢ソウヤを壁に押し付け、彼の眼鏡を外して放ると、リンは余裕の表情で見やる。
「――じゃ、早速脱いでもらいましょうか」
「…やめろ、立羽タテハ…、お前は、[奴ら]に――」
「あんたの言葉は聞いてない。…脱げ、早く」
「……」
にやつく鱗に見られながら、蒼矢は震える手でボタンを外す。
依然痛々しく腹の色を変える上裸が現れ、肩から外れた襟シャツが床に落ちる。首から下がる青い鉱石のペンダントは、これだけの[異界]の臭気漂う空間にあっても、無言のまま胸元に揺れていた。
顎で促されてベッドのへりに腰を落とし、首を垂れる蒼矢の前に立った鱗は、片足をあげ、彼の股間へ降ろしていった。
「っ…」
中心に加えられる圧に、びくりと身体が跳ねる。鱗はそのまま、体重をかけて蒼矢の局部へつま先をねじ込んでいく。
「…っ…くっ…!」
「我慢しないで、もっと声あげちゃえばいいじゃないですか。痛いんでしょ? 心配しなくても、[僕の力]でこの家には邪魔が入らないようにしてあります。…泣き叫んでも恥ずかしくないんですよ?」
手始めに軽く煽ってみたものの応じず、黙って震わせる肩を見、鱗は耳元へ近付いて囁きかけた。
「…それとも、もう感じちゃってるんですか? …淫乱ですね」
うつむく蒼矢の顎を取って上を向かせると、頬から目元までを紅く染めた面差しが前髪から覗いた。
鱗は半開きになっているその唇に吸い付き、舌を絡ませていく。
「…んぅっ…んっく…、…んぅ…」
ゆっくりと口内を蹂躙されながら、蒼矢はそのふくよかな感触に覚えがあることを確信していた。
首に手を回され、鱗の身体が蒼矢の脚の間に割り込む。局部には膝が押し付けられ、更に潰されていく。
「っんぅっ…、…んくぅ! …あはっ…」
「いい気味ですね、あんた。いつもならさっさと変身して消し飛ばせるのに…何も出来なくて悔しいでしょ?」
唇から外し、痛みと快感で息を乱す獲物へ、鱗は至近距離から語りかける。
「最初こそ、[異界あっち]で悪名高かった『アズライトあんた』を懐柔しようと近付いたけど…途中からそんなのどうでもよくなった。…僕と同類な見た目してるのに、片や薄給ライン工勤めで、片や前途有望な大学生。生まれ育った環境が違うってだけで…こんなにも世界が違う。この世は不公平だ…僕は何も悪くないのに。だから、この[力]で人並の幸せを手に入れようとした」
「…っ…」
「なのに…やっと人間らしい人生を手に入れて、僕に釣り合う相手・・・・・・・・をようやく見つけたのに…、あんたのせいで僕のものにならなかった。生まれた時から恵まれてるあんたが、ひたすら僕の邪魔をしてくるんです。もう、『敵』だとか"狩り"だとか、関係ありません。ただただ憎らしくなっちゃいました」
「…大学を…、休学してたっていうのは…」
「そんなの嘘に決まってるでしょ。あんたの通う大学に入学したことも、休学してたことも、[力]を使った架空の設定ですよ。ここへも、学生課の事務にちょっと息を吹きかけてやって、難なく。…あんたを襲わせたのも、顔目当てで近寄って来た馬鹿共を操ってやったことです」
「……!」
「まぁ、同級生のあいつらは、変身前でもあんた相手には全然使えなかったみたいですけどね。…だから、二度目はちょっと気合い入れて、送迎用に引っかけた筋肉だるまたちに襲わせたんです。さすがに痛い目見たでしょう?」
そう言いながら、痣の広がる腹へ片手を伸ばし、脇から強く圧迫した。
「! ああぁっ!!」
蒼矢は痛みに声をあげ、一瞬意識が飛びそうになった身体がぐらりと横に傾くと、鱗は襟足を掴んで立て直す。
「落ちるには早過ぎますよ、"先輩"。昨日はもっとやれたでしょ?」
「っ立羽…、さっきの話が本当なら…俺はこれ以上、お前を憎みたくない…」
「――あぁ、その"立羽"ってのも、偽名ですよ」
息を荒げながら、蒼矢は途切れとぎれに諭そうとするが、それをかき消すように鱗は続けた。
「[この体]を手にした時に、生まれ変わった証として、元の名前は棄てたんです。…"立羽 鱗"…可愛い名前でしょう? 今の僕にぴったりだと思いません?」
そして、真っ赤な口角をにたりと引き上げ、光の灯らない黒目を細めてみせる。
「名前と一緒に、過去はすべて棄てました。僕の過去を知る者、全部。…この世から棄ててやりましたよ」
こちらを凝視し表情を凍らせる顔貌を見、鼻で嘲笑うと、鱗は蒼矢の頭を引き寄せて再び唇を塞いだ。
「…んっ…、んんっ…んぅ…」
鱗の巧妙な舌遣いが、蒼矢の身体を少しずつ快感の渦へと溺れさせていった。
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