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本編
ありし日の記憶④-2
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リビングドア付近にあった姿見の前で、烈はタンクトップを首元までぺろんとたくし上げる。
鏡に映った彼の右胸には、赤い炎を模した『刻印』が印されていた。
「…すげーな、これ。マジ彫ってあるみたい」
それをまじまじと眺めてから、腹丸出しで頬を紅潮させながら振り向く烈を、蒼矢は冷めた顔で眺めていた。
「いい加減下ろせよ…」
「なぁなぁ、お前のも見せてよ。おんなじようなのがあるんだろ?」
「…」
反射的に嫌そうな表情を返す蒼矢だったが、じっとこちらを注目してくる烈の期待に満ちた面持ちを受け、息をつきながらシャツのボタンを外す。
「おぉっ…お前のは青いんだな。模様も俺のと違う!」
「使う属性で色も形も違ってくるんだって。浮きあがってくる所もそれぞれらしい」
「へぇー。そういや、他の人は背中とかにあるって言ってたっけ」
「…お前と俺は身体の正面で目立つところにあるんだから、ひとに見られないように気をつけないと――」
「あっ、見てみて」
自身に訪れた非現実的な転機にもどこ吹く風で、そんな楽観的な様子へ眉を寄せ、蒼矢は釘を刺そうとするが、烈はその出鼻をくじいて彼の視線を誘う。
「…俺たち、合わせ鏡みたいだ」
向かい合って互いの『刻印』を見比べながら、烈はにっかりと笑ってみせた。
鏡に映った彼の右胸には、赤い炎を模した『刻印』が印されていた。
「…すげーな、これ。マジ彫ってあるみたい」
それをまじまじと眺めてから、腹丸出しで頬を紅潮させながら振り向く烈を、蒼矢は冷めた顔で眺めていた。
「いい加減下ろせよ…」
「なぁなぁ、お前のも見せてよ。おんなじようなのがあるんだろ?」
「…」
反射的に嫌そうな表情を返す蒼矢だったが、じっとこちらを注目してくる烈の期待に満ちた面持ちを受け、息をつきながらシャツのボタンを外す。
「おぉっ…お前のは青いんだな。模様も俺のと違う!」
「使う属性で色も形も違ってくるんだって。浮きあがってくる所もそれぞれらしい」
「へぇー。そういや、他の人は背中とかにあるって言ってたっけ」
「…お前と俺は身体の正面で目立つところにあるんだから、ひとに見られないように気をつけないと――」
「あっ、見てみて」
自身に訪れた非現実的な転機にもどこ吹く風で、そんな楽観的な様子へ眉を寄せ、蒼矢は釘を刺そうとするが、烈はその出鼻をくじいて彼の視線を誘う。
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