ガイアセイバーズ6.5 -在りし日の君と僕-

独楽 悠

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本編

ありし日の記憶①-9

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「――あら、もうそろそろ夕飯作らなきゃ」
「…えぇっ? そんなに時間経ってました? ごめんなさい、長居してしまって」
「いえいえこちらこそ、こんなところで立ち話になっちゃってすみませんでしたね…」

大人達の酒と世間話が一段落して我に返る頃には、すっかり日暮れ間際になっていた。

「今度改めてまたゆっくり話しましょうや。酒いくらでも出しますんで!」
「はい、是非…、…! 蒼矢!」

自然な流れで店を後にしようとした結子ユイコは、連れてきた息子の存在にはっと気づく。

「ごめんなさい、私ったら…すっかりお世話に」
「いいんですよぉ、子どもは子どもで遊んでたんでしょうから。どれ、呼んできますからね…」

平謝りする結子へ手を振りながら、珠代タマヨが上がり口へと向かいかけたところで、階段をどたどたと駆け降りてくる音が聞こえてきた。

「烈! 転ぶから階段は静かにゆっくりとって、いつも…」
「とーちゃんかぁちゃん!! みてみてこれっ!!」

一階へたどり着いたレツは、珠代の小言を遮るように興奮を滲ませた大声を響かせ、両腕をめいっぱい上げて両親の前に差し出してみせる。
ディスプレイ用のスタンドに載せられたそれは、渋い色合いで着色された木製のアンティークカーだった。

「…?」
「!! こりゃあっ…」

見せられたものの首を傾げる珠代の隣で、カイの目が瞬く間に見開かれ、心底驚いた顔面を表出す。

「俺とお前でやろうとして、すぐ諦めちまったあのパズルじゃねぇか…!?」
「! あぁ。去年のクリスマスにお義兄にいさんに貰ったやつかしら? 5歳児には無理だと思ってたけど、いつの間に完成させてたのね。誰かに手伝って貰ったのかい?」
「ちげーよ! こいつがやったんだ!!」

勘違いしかける親へ頬を膨らませ、烈は家奥を指差した。

「そーやひとりでやったんだ、おれはずっとみてた!」
「…!?」

花房ハナブサ夫妻は、息子の後方からゆっくりと階段を下りてくる蒼矢ソウヤを見、改めて烈が掲げる立体パズルを凝視する。

「…まじで? あれ、対象年齢が10か12かそこらだったからって、こりゃ駄目だって速攻投げたんだぜ?」
「いや、それをあんた・・・が投げるのはおかしいからね。それにしても…多分この子らが2階上がってから2時間も経ってないと思うけど、本当に…?」
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