ガイアセイバーズ6.5 -在りし日の君と僕-

独楽 悠

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本編

ありし日の記憶①-8

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そんな事情を知らないレツは、頬を膨らませながら再びどかりと胡坐をかいた。

「じゃあ、おまえなんならしってんだよ? おれがあわせてやる! すきにみていーぞっ」

そう促され、蒼矢ソウヤはゆっくりと立ち上がり、烈のおもちゃ箱を覗いてひとつふたつと手に取り始める。
やがて底の方からとある箱を選び出し、テーブルの上に置いた。

「…!」

それを目にした瞬間烈は目を丸くし、ついで思いっきり眉を寄せてみせた。

「…おまえっ…それはとーちゃんとふたりでふういんしたんだぞ! なんでほりかえすんだよぉ!」
「これ、やりたい」
「やだ! それだけはいやだ!!」
「…」
「…そんなめでみてもだめだ! すっごくむつかしいんだぞ、それ! もっとおとなにならないとできねぇって、かぁちゃんもいってたんだ!」

烈がなにやら愚痴愚痴言うそれは、完成形が立体のパズルだった。
ピースの形が複雑で細かく、パッケージからは彼らよりだいぶ歳上が対象年齢のものと見て取れ、箱は開封されているがほぼ劣化しておらず、綺麗なままだった。
ほんの初期段階まで手を付けて、ものの数分で諦めて放っておかれていたのだろう。

頑として首を縦に振らない烈を見、蒼矢は今一度パズルの箱へと目を落とし、再び彼へと視線を戻す。

「ぼくがやってみてもいい?」
「!」

蒼矢の言葉に、烈は驚いた表情で彼を見返すが、じっと注がれる視線を受けとめ、諦めたように鼻を鳴らす。

「…いいけどっ…おれはてつだわねぇかんな? とーちゃんとやったけど、ちんぷかんぷだったんだから。ぜったいできっこない!」

そうぶつくさ言う烈の声を聞きながら、蒼矢はピースの入った袋を開封しテーブルに広げ、手に取り始める。

「…」

蒼矢は黙ったままピースをひとつ、またひとつと探っては手に取り、小さな指ではめていく。
ゆっくりではあるが、正確さをもって確実に行程は進んでいき、頬杖をつきむすっとした面持ちで眺めていた烈は、黙々と動き続けるその手元に、少しずつ惹き込まれていく。

「……!」

徐々に形を成していく立体パズルに、もはや烈は釘付けになり、目を輝かせながら前のめりになって、蒼矢の組み上げていく様を鼻息を荒げながら見守った。

「…すげぇっ…、そーや、おまえすげぇぞ!!」
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