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本編
ありし日の記憶①-3
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「…これでいいわ。じゃ、行きましょうか!」
「はい」
「はっ! 幼稚園までの経路…」
「きのうお父さんにおねがいして、地図をこぴーしてもらいました」
「! 静矢さんが出張行く前に!? …んもう、出来た息子ね…!!」
出しかけたスマホをしまい、差し出されたコピー用紙を受け取ると、結子は蒼矢を抱きしめた。
いつも通りに見えて、やはりどことなく元気が無い息子の様子を、結子は既に察していた。
引っ越しにより、ようやく慣れ始めた幼稚園を退園し、知らない土地で知らない同級生の待つ園への中途入園。
大人しくやや人見知りの気がある蒼矢が、新しい環境に順応していくには、また少し時間を要するだろう。
「…緊張してる?」
「…すこし」
「そうね、新しい幼稚園だもんね。大丈夫よ、ゆっくり慣れていけばいいんだから。…お友達もまたきっと沢山できるわ」
「はい」
我慢強く、不平不満をほとんど口に出さない”出来た息子”。
だからこそ、なおのこと親が気にして、言葉に出すきっかけを与えなければならない。
…可愛い蒼矢、何があっても私達が守るからね…!!
そう内で決意を固めながら抱きしめていると、胸の中で小さな身体が声を漏らした。
「…お母さん、ほんとうに時間がないです」
「!!!」
「はい」
「はっ! 幼稚園までの経路…」
「きのうお父さんにおねがいして、地図をこぴーしてもらいました」
「! 静矢さんが出張行く前に!? …んもう、出来た息子ね…!!」
出しかけたスマホをしまい、差し出されたコピー用紙を受け取ると、結子は蒼矢を抱きしめた。
いつも通りに見えて、やはりどことなく元気が無い息子の様子を、結子は既に察していた。
引っ越しにより、ようやく慣れ始めた幼稚園を退園し、知らない土地で知らない同級生の待つ園への中途入園。
大人しくやや人見知りの気がある蒼矢が、新しい環境に順応していくには、また少し時間を要するだろう。
「…緊張してる?」
「…すこし」
「そうね、新しい幼稚園だもんね。大丈夫よ、ゆっくり慣れていけばいいんだから。…お友達もまたきっと沢山できるわ」
「はい」
我慢強く、不平不満をほとんど口に出さない”出来た息子”。
だからこそ、なおのこと親が気にして、言葉に出すきっかけを与えなければならない。
…可愛い蒼矢、何があっても私達が守るからね…!!
そう内で決意を固めながら抱きしめていると、胸の中で小さな身体が声を漏らした。
「…お母さん、ほんとうに時間がないです」
「!!!」
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