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第23話_嵐を乗り越えた先の光-6
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「…秘め事?」
「はい。…私は、護衛機として王家へ上納される前…ある役目をもって、創造主であるミヤジマの元におりました」
そう何事かを告白し始めたソウヤに、ミヤジマ博士とサンチェス博士は勘付くものの、そのまま彼を見守る。
「私自身は、その与えられた役目に誇りを持っておりました。しかし、名誉ある王族付き護衛機としては、世俗柄あってはならない経歴…ましてや私は、体にその機能をいまだ残しており、今後もそのような足枷を抱えたまま殿下をお守りすることになります」
「…」
「必要とあらば、創造主に機能を無くすよう上申致します。ですが…短い間とはいえ、畏れ多くも陛下、殿下へ秘め事を抱えたまま王宮に入っていたことは確かな事実。…私はせめて、王族方を欺くような真似をしたまま任務を続けたくはないと思っております。ですから、この場にて――」
「うん、解ってるよ」
抑揚を抑え、とうとうと語っていたソウヤだったが、国王陛下の静かでいて、広間に響くような一言にふと遮られた。
顔を上げると、陛下は穏やかな表情でソウヤを見やっていた。
「君が言わんとしようとしてることは、こちらは全て把握してるよ。…カリメの王太子殿が来国したあの日に、君の体は王宮でも詳しく見させてもらってるからね」
「……!」
「あのメンテナンスで、君の身体に残されていた機能について、王宮のメンテナンス技術者から調査報告があがった。それを受けて、開発者であるミヤジマ殿へも問い合わせて、君が護衛機になる前までの仕様も取りまとめてもらったんだ」
驚きの表情で聞くソウヤに、陛下は柔らかく笑ってみせた。
「…もちろん、王子も把握してるよ」
続いてイツキ王子へと向くと、王子は少しだけ頬を染め、微笑んでみせた。
全てを受け止めているその面差しに、ソウヤの顔はたちまち喜びに変わっていく。
互いに見つめ合うふたりの満ち足りた表情を認めつつ、陛下は続けた。
「とうに王家は全て承諾し、君が王宮にあることを認めている。君の今の姿は、ありのままの君の個性…王家に取り繕って無くす必要はどこにもない。だから君は何も心配することも、自分を責める必要もないんだよ」
「陛下…!」
「これから先へ歩んでいく未来のために、みずから打ち明けようとした、君の勇気に敬意を表する」
そう言うと、陛下はミヤジマ博士へ目を向ける。
ミヤジマ博士は軽く会釈し、ウィンクしてみせた。
無言の応答へ陛下は深く頷き、改めてイツキ王子とソウヤを見やった。
「二人の絆はこの目でしかと受け止めた。…王として、君たちの意思を尊重しよう」
「はい。…私は、護衛機として王家へ上納される前…ある役目をもって、創造主であるミヤジマの元におりました」
そう何事かを告白し始めたソウヤに、ミヤジマ博士とサンチェス博士は勘付くものの、そのまま彼を見守る。
「私自身は、その与えられた役目に誇りを持っておりました。しかし、名誉ある王族付き護衛機としては、世俗柄あってはならない経歴…ましてや私は、体にその機能をいまだ残しており、今後もそのような足枷を抱えたまま殿下をお守りすることになります」
「…」
「必要とあらば、創造主に機能を無くすよう上申致します。ですが…短い間とはいえ、畏れ多くも陛下、殿下へ秘め事を抱えたまま王宮に入っていたことは確かな事実。…私はせめて、王族方を欺くような真似をしたまま任務を続けたくはないと思っております。ですから、この場にて――」
「うん、解ってるよ」
抑揚を抑え、とうとうと語っていたソウヤだったが、国王陛下の静かでいて、広間に響くような一言にふと遮られた。
顔を上げると、陛下は穏やかな表情でソウヤを見やっていた。
「君が言わんとしようとしてることは、こちらは全て把握してるよ。…カリメの王太子殿が来国したあの日に、君の体は王宮でも詳しく見させてもらってるからね」
「……!」
「あのメンテナンスで、君の身体に残されていた機能について、王宮のメンテナンス技術者から調査報告があがった。それを受けて、開発者であるミヤジマ殿へも問い合わせて、君が護衛機になる前までの仕様も取りまとめてもらったんだ」
驚きの表情で聞くソウヤに、陛下は柔らかく笑ってみせた。
「…もちろん、王子も把握してるよ」
続いてイツキ王子へと向くと、王子は少しだけ頬を染め、微笑んでみせた。
全てを受け止めているその面差しに、ソウヤの顔はたちまち喜びに変わっていく。
互いに見つめ合うふたりの満ち足りた表情を認めつつ、陛下は続けた。
「とうに王家は全て承諾し、君が王宮にあることを認めている。君の今の姿は、ありのままの君の個性…王家に取り繕って無くす必要はどこにもない。だから君は何も心配することも、自分を責める必要もないんだよ」
「陛下…!」
「これから先へ歩んでいく未来のために、みずから打ち明けようとした、君の勇気に敬意を表する」
そう言うと、陛下はミヤジマ博士へ目を向ける。
ミヤジマ博士は軽く会釈し、ウィンクしてみせた。
無言の応答へ陛下は深く頷き、改めてイツキ王子とソウヤを見やった。
「二人の絆はこの目でしかと受け止めた。…王として、君たちの意思を尊重しよう」
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