101 / 112
第22話_共に生きる未来-1
しおりを挟む
満足するまで抱擁と口付けを交わした後、ミヤジマ博士は身を起こし、ソウヤを寝台シーツに包んで抱き上げた。
「…っ? 博士?」
「いい加減、我慢の切れる頃合いだろ。そろそろ行ってあげなきゃな」
「?? どこへ?」
ぽかんと見上げてくるソウヤへ、博士は悪戯気に笑ってみせる。
「イツキ王子殿下が待ってるぜ」
「…!!」
思ってもみない言葉に、ソウヤの藍色の目は丸くなり、心から嬉しそうに破顔してからすぐに、その面差しに影を落とす。
「? なんだ、嬉しくねぇのか?」
「…! だって…、離れ離れになる時に、喧嘩別れのような形になってしまったので…」
「今更怖気付いてんなよ。主の前に出るんだから、迷ってねぇでしゃんとしてろ」
「ま、待って下さい…! まだ心の準備がっ…」
「もじもじすんなって。さっさと会いに行くぞ」
再会を前に心を決めかねてか、腕の中できゅっと身体を縮める仕草を見、博士は可笑しそうに笑いながら、リペア室からスタスタ歩き出ていった。
ボディを損傷したソウヤがリペアするとの一報を受け、移送されたミヤジマ技研へと王宮から馳せ参じたイツキ王子は、ミヤジマ博士がアンドロイド専用リペア室へ向かってからずっと、博士の私室隣の客間で待たされていた。
王子は、臨時派遣された国防隊員たちに物々しく護られながら、王宮や馴染みのある関連施設とはかけ離れた近未来感のある内装に、緊張しているようだった。
そして、なにか焦燥感に駆られるように、始終落ち着きのない様子で視線を漂わせていた。
体感数時間ほど待たされた頃合いになって、ようやく客間のドアがノックされる。
「――お待たせ致しました、殿下」
「…!」
王子が思わず中腰になり目を見開いて注目する中、スライドドアが開き、ミヤジマ博士が戻ってくる。
その腕には、すっかり修復され、綺麗な姿を取り戻したソウヤが抱き上げられていた。
「この場は略式礼にて、ご容赦下さい」
そうひと言断る博士の声を聞き、ソウヤははたと我に返り、みるみる青ざめる。
……ぬかった…っ、イツキの前で"姫抱っこ"されてきてしまうとは…っ…!!!
ソウヤはひとり慌てふためき、博士へ小声で懇願し始める。
「博士っ…博士! 早く降ろして下さいっ…! 今すぐに!!」
「? なんだよ、どうしたんだ? 暴れんなって、殿下の御前だぞ」
「だからですっ…! いいから、降ろして下さいぃっ…!!」
事情の読めない博士の腕の中でもがき、ソウヤは自力で床に落ちた。
「…っ? 博士?」
「いい加減、我慢の切れる頃合いだろ。そろそろ行ってあげなきゃな」
「?? どこへ?」
ぽかんと見上げてくるソウヤへ、博士は悪戯気に笑ってみせる。
「イツキ王子殿下が待ってるぜ」
「…!!」
思ってもみない言葉に、ソウヤの藍色の目は丸くなり、心から嬉しそうに破顔してからすぐに、その面差しに影を落とす。
「? なんだ、嬉しくねぇのか?」
「…! だって…、離れ離れになる時に、喧嘩別れのような形になってしまったので…」
「今更怖気付いてんなよ。主の前に出るんだから、迷ってねぇでしゃんとしてろ」
「ま、待って下さい…! まだ心の準備がっ…」
「もじもじすんなって。さっさと会いに行くぞ」
再会を前に心を決めかねてか、腕の中できゅっと身体を縮める仕草を見、博士は可笑しそうに笑いながら、リペア室からスタスタ歩き出ていった。
ボディを損傷したソウヤがリペアするとの一報を受け、移送されたミヤジマ技研へと王宮から馳せ参じたイツキ王子は、ミヤジマ博士がアンドロイド専用リペア室へ向かってからずっと、博士の私室隣の客間で待たされていた。
王子は、臨時派遣された国防隊員たちに物々しく護られながら、王宮や馴染みのある関連施設とはかけ離れた近未来感のある内装に、緊張しているようだった。
そして、なにか焦燥感に駆られるように、始終落ち着きのない様子で視線を漂わせていた。
体感数時間ほど待たされた頃合いになって、ようやく客間のドアがノックされる。
「――お待たせ致しました、殿下」
「…!」
王子が思わず中腰になり目を見開いて注目する中、スライドドアが開き、ミヤジマ博士が戻ってくる。
その腕には、すっかり修復され、綺麗な姿を取り戻したソウヤが抱き上げられていた。
「この場は略式礼にて、ご容赦下さい」
そうひと言断る博士の声を聞き、ソウヤははたと我に返り、みるみる青ざめる。
……ぬかった…っ、イツキの前で"姫抱っこ"されてきてしまうとは…っ…!!!
ソウヤはひとり慌てふためき、博士へ小声で懇願し始める。
「博士っ…博士! 早く降ろして下さいっ…! 今すぐに!!」
「? なんだよ、どうしたんだ? 暴れんなって、殿下の御前だぞ」
「だからですっ…! いいから、降ろして下さいぃっ…!!」
事情の読めない博士の腕の中でもがき、ソウヤは自力で床に落ちた。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
受け付けの全裸お兄さんが店主に客の前で公開プレイされる大人の玩具専門店
ミクリ21 (新)
BL
大人の玩具専門店【ラブシモン】を営む執事服の店主レイザーと、受け付けの全裸お兄さんシモンが毎日公開プレイしている話。
クソザコ乳首アクメの一日
掌
BL
チクニー好きでむっつりなヤンキー系ツン男子くんが、家電を買いに訪れた駅ビルでマッサージ店員や子供や家電相手にとことんクソザコ乳首をクソザコアクメさせられる話。最後のページのみ挿入・ちんぽハメあり。無様エロ枠ですが周りの皆さんは至って和やかで特に尊厳破壊などはありません。フィクションとしてお楽しみください。
pixiv/ムーンライトノベルズにも同作品を投稿しています。
なにかありましたら(web拍手)
http://bit.ly/38kXFb0
Twitter垢・拍手返信はこちらから
https://twitter.com/show1write
壁穴奴隷No.19 麻袋の男
猫丸
BL
壁穴奴隷シリーズ・第二弾、壁穴奴隷No.19の男の話。
麻袋で顔を隠して働いていた壁穴奴隷19番、レオが誘拐されてしまった。彼の正体は、実は新王国の第二王子。変態的な性癖を持つ王子を連れ去った犯人の目的は?
シンプルにドS(攻)✕ドM(受※ちょっとビッチ気味)の組合せ。
前編・後編+後日談の全3話
SM系で鞭多めです。ハッピーエンド。
※壁穴奴隷シリーズのNo.18で使えなかった特殊性癖を含む内容です。地雷のある方はキーワードを確認してからお読みください。
※No.18の話と世界観(設定)は一緒で、一部にNo.18の登場人物がでてきますが、No.19からお読みいただいても問題ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる