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第21話_開かれる記憶の扉-1
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……
ソウヤは夢を見ていた。
景色に既視感が無かったため、記憶ではなく、きっとこれが俗に言う『夢』なのだと勝手に解釈していた。
全体的に白く霧がかって輪郭がぼやける枠の中に、知らない外の風景や、見たことのない建物が並ぶ様子、人々の行き交う姿が映る。
…ここは、どこ…?
見える視界へふいに、黒髪黒目の男性のアップが入ってくる。
…博士…?
ミヤジマ博士らしい男性は、ソウヤが知り得る雰囲気からは、面立ちに少しだけ幼さがあるように見えた。
見慣れた暗色のカラーシャツに白衣姿ではなく、Tシャツにカーディガンを羽織り、細身の黒デニムを履いたラフな格好で、人懐っこい笑顔をこちらへ向けてくる。
― …うや…、そうや… ―
そう呼ばれ、ソウヤはやはりこの男性がミヤジマ博士で、これは自分が見ている景色なのだと理解する。
…なんだろう、すごく懐かしいように感じる。
…でも、なんでこんなにも真新しいようにも思えるんだろう。
…心の遠くでは受け容れてるのに、なんで俺は知らないんだろう。
視界に映らない自分が、ミヤジマ博士へ手を伸ばす。
― ……と…… ―
自分に似た声が自分のすぐ近くから微かに聞こえ、ソウヤは胸が跳ねる心地を感じ、目を見張る。
……? 誰…?
― …いと…! ―
…誰の声…?
…これは、俺が見てる『夢』じゃないのか?
……誰かの記憶…?
景色は次第に、白い闇へ隠されていく。
ソウヤは夢を見ていた。
景色に既視感が無かったため、記憶ではなく、きっとこれが俗に言う『夢』なのだと勝手に解釈していた。
全体的に白く霧がかって輪郭がぼやける枠の中に、知らない外の風景や、見たことのない建物が並ぶ様子、人々の行き交う姿が映る。
…ここは、どこ…?
見える視界へふいに、黒髪黒目の男性のアップが入ってくる。
…博士…?
ミヤジマ博士らしい男性は、ソウヤが知り得る雰囲気からは、面立ちに少しだけ幼さがあるように見えた。
見慣れた暗色のカラーシャツに白衣姿ではなく、Tシャツにカーディガンを羽織り、細身の黒デニムを履いたラフな格好で、人懐っこい笑顔をこちらへ向けてくる。
― …うや…、そうや… ―
そう呼ばれ、ソウヤはやはりこの男性がミヤジマ博士で、これは自分が見ている景色なのだと理解する。
…なんだろう、すごく懐かしいように感じる。
…でも、なんでこんなにも真新しいようにも思えるんだろう。
…心の遠くでは受け容れてるのに、なんで俺は知らないんだろう。
視界に映らない自分が、ミヤジマ博士へ手を伸ばす。
― ……と…… ―
自分に似た声が自分のすぐ近くから微かに聞こえ、ソウヤは胸が跳ねる心地を感じ、目を見張る。
……? 誰…?
― …いと…! ―
…誰の声…?
…これは、俺が見てる『夢』じゃないのか?
……誰かの記憶…?
景色は次第に、白い闇へ隠されていく。
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