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第20話_未知なる力の解放-1
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【地下side④】
『86M-VA』は、無尽蔵の銃弾をハナブサへ浴びせ続けていた。
既に前面は、そのほとんどが素体剥き出しになっていて、人間風情は留めていなかった。
それでもハナブサはなかなか落ちず、その巨体を裏切らない強靭さを見せていた。
しかし遂に、関節に異常をきたした片膝が崩れ落ちる。
「っ…! ハナブサ…もう少しだ、耐えてくれ!!」
ポッドの中から必死に声を掛けるが、ミヤジマ博士はハナブサの限界を悟る。
…これ以上の壁は無理だ。もう装甲がもたねぇ…!!
逆側の膝も地に落ち、ハナブサの上背が『86M-VA』に並ぶ。
『86M-VA』は攻撃の手を止め、静止したまま物言わぬ巨体を思い切り蹴飛ばす。
剥き出しになった素体の金属音だけが木霊し、ハナブサはやはりぴくりともその場から動かない。
「…ヤマト国王の護衛アンドロイドだけあって、やはり他の量産型とは比べ物にならんほど重量級だな」
そう言い捨て、『86M-VA』はハナブサを退けるのを早々に諦め、背面のシェルターポッドへ視線を流す。
「…中に指示役がいるな」
「……!!」
ポッド越しに聞こえたその声に、ミヤジマ博士はぎくりと身体を震わす。
中で息を潜める博士を狙い、『86M-VA』は真顔で腕をポッドへ向けてマシンガンを撃ち込み始める。
シェルターポッドは傷ひとつ付かずに、弾丸を弾き返していく。
「…流石に弾は通らんか。ならば」
『86M-VA』は右腕を再び刃型に変形し、ポッドへ向けて思い切り突き刺す。
切先は、ぎんと耳をつんざくような金属音を響かせながら、つるりとしたポッドの表面へ正確に直角度で当てられる。
「…」
人間の目では視認出来ないマイクロ単位のポッドの変化を認め、『86M-VA』は無言のまま、矢継ぎ早に刃をポッドへ振り被り続ける。
「…!」
護衛機のシェルターポッドは、核兵器の爆風も熱も化学物質さえも通さない、確実な安全性が約束された構造だった。
しかしそれでも、数センチ外側で繰り返される殺気を帯びた攻撃に、ポッド内部の博士は少しずつ面差しに緊迫感を高めていく。
「……っ…!!」
攻撃音が鳴り止む気配は無く、祈りに反するように攻撃間隔が次第に狭まっていき、頭の中へまで鳴り響く。
自身へ刻々と迫る命の危機を前にし、博士は全身に止まらぬ冷や汗を滲ませる。
「……」
あと一歩のところで目論見を仕損じた無念に奥歯を噛みしめ、鳴り止まぬ攻撃音を耳に受けとめながら頭を前傾し、目を硬く閉じた。
『86M-VA』は、無尽蔵の銃弾をハナブサへ浴びせ続けていた。
既に前面は、そのほとんどが素体剥き出しになっていて、人間風情は留めていなかった。
それでもハナブサはなかなか落ちず、その巨体を裏切らない強靭さを見せていた。
しかし遂に、関節に異常をきたした片膝が崩れ落ちる。
「っ…! ハナブサ…もう少しだ、耐えてくれ!!」
ポッドの中から必死に声を掛けるが、ミヤジマ博士はハナブサの限界を悟る。
…これ以上の壁は無理だ。もう装甲がもたねぇ…!!
逆側の膝も地に落ち、ハナブサの上背が『86M-VA』に並ぶ。
『86M-VA』は攻撃の手を止め、静止したまま物言わぬ巨体を思い切り蹴飛ばす。
剥き出しになった素体の金属音だけが木霊し、ハナブサはやはりぴくりともその場から動かない。
「…ヤマト国王の護衛アンドロイドだけあって、やはり他の量産型とは比べ物にならんほど重量級だな」
そう言い捨て、『86M-VA』はハナブサを退けるのを早々に諦め、背面のシェルターポッドへ視線を流す。
「…中に指示役がいるな」
「……!!」
ポッド越しに聞こえたその声に、ミヤジマ博士はぎくりと身体を震わす。
中で息を潜める博士を狙い、『86M-VA』は真顔で腕をポッドへ向けてマシンガンを撃ち込み始める。
シェルターポッドは傷ひとつ付かずに、弾丸を弾き返していく。
「…流石に弾は通らんか。ならば」
『86M-VA』は右腕を再び刃型に変形し、ポッドへ向けて思い切り突き刺す。
切先は、ぎんと耳をつんざくような金属音を響かせながら、つるりとしたポッドの表面へ正確に直角度で当てられる。
「…」
人間の目では視認出来ないマイクロ単位のポッドの変化を認め、『86M-VA』は無言のまま、矢継ぎ早に刃をポッドへ振り被り続ける。
「…!」
護衛機のシェルターポッドは、核兵器の爆風も熱も化学物質さえも通さない、確実な安全性が約束された構造だった。
しかしそれでも、数センチ外側で繰り返される殺気を帯びた攻撃に、ポッド内部の博士は少しずつ面差しに緊迫感を高めていく。
「……っ…!!」
攻撃音が鳴り止む気配は無く、祈りに反するように攻撃間隔が次第に狭まっていき、頭の中へまで鳴り響く。
自身へ刻々と迫る命の危機を前にし、博士は全身に止まらぬ冷や汗を滲ませる。
「……」
あと一歩のところで目論見を仕損じた無念に奥歯を噛みしめ、鳴り止まぬ攻撃音を耳に受けとめながら頭を前傾し、目を硬く閉じた。
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