64 / 112
第11話_濡れ衣-3
しおりを挟む
ふいに現れたサンチェス博士は、ソウヤのすぐ目の前でしゃがみ、感情の読めない面差しで見下ろした。
「状況から見て、一番疑わしいのはあなたよ。停電を引き起こすと同時にログアウトし、あらかじめウイルスをばら撒いておいた警備ロボットをシステムから外れさせた。そしてみずからのネットワークと繋ぎ、連れていた王子殿下を誘拐目的で運ばせようとした。そんなところかしら」
「…違います…っ」
「今回のテロによる被害…死傷者は相当数、建物の損壊も甚大よ。護衛着任間も無くで周到に準備までして、なかなか大それたことをやってのけたものね」
「違います! …私は…やっておりません…、…信じて下さい…っ…」
ソウヤは無慈悲な電撃に全身を震わせながらも、懸命に訴えかける。
「そうね。今のあなたは、自分の中にしか残っていない記録を我々に信じて貰う他ないわね。…残念だけど、認証から外れたあなたの言葉が真のものか証明する材料は、何も無い。現状残されたものが全てよ」
しかし、サンチェス博士はそうにべもなく言い切ると立ち上がり、ソウヤの眼差しからさっさと視線を外した。
応酬を見守っていた近衛隊長が、背後からサンチェス博士へ声を掛ける。
「博士…今回洗い出したデータログ…ハッキングによる整合性の乱れの他停電による空白部分もあり、信頼性に欠けると思われますが…王家へ提出しても差し支えありませんでしょうか?」
近衛隊長からの問い掛けに、サンチェス博士は一時黙し、小さく口を開く。
「…確かに、ハッキングされたセキュリティシステムのログは、証拠とするには弱いですね。殿下がお目覚めになったら改めてお話も伺えるでしょうし、この場は一旦処分保留とすべきかもしれませんわ」
「了解致しました。当該護衛機は嫌疑不十分として、ひとまず拘留させることにします」
電撃に動力を削がれ、横たわったまま弱々しく呼吸を繰り返すソウヤを、近衛兵数人で抱え起こす。
抵抗する力も言葉も失ったソウヤは、そのまま引きずられるように大広間から外へと連行されていった。
「状況から見て、一番疑わしいのはあなたよ。停電を引き起こすと同時にログアウトし、あらかじめウイルスをばら撒いておいた警備ロボットをシステムから外れさせた。そしてみずからのネットワークと繋ぎ、連れていた王子殿下を誘拐目的で運ばせようとした。そんなところかしら」
「…違います…っ」
「今回のテロによる被害…死傷者は相当数、建物の損壊も甚大よ。護衛着任間も無くで周到に準備までして、なかなか大それたことをやってのけたものね」
「違います! …私は…やっておりません…、…信じて下さい…っ…」
ソウヤは無慈悲な電撃に全身を震わせながらも、懸命に訴えかける。
「そうね。今のあなたは、自分の中にしか残っていない記録を我々に信じて貰う他ないわね。…残念だけど、認証から外れたあなたの言葉が真のものか証明する材料は、何も無い。現状残されたものが全てよ」
しかし、サンチェス博士はそうにべもなく言い切ると立ち上がり、ソウヤの眼差しからさっさと視線を外した。
応酬を見守っていた近衛隊長が、背後からサンチェス博士へ声を掛ける。
「博士…今回洗い出したデータログ…ハッキングによる整合性の乱れの他停電による空白部分もあり、信頼性に欠けると思われますが…王家へ提出しても差し支えありませんでしょうか?」
近衛隊長からの問い掛けに、サンチェス博士は一時黙し、小さく口を開く。
「…確かに、ハッキングされたセキュリティシステムのログは、証拠とするには弱いですね。殿下がお目覚めになったら改めてお話も伺えるでしょうし、この場は一旦処分保留とすべきかもしれませんわ」
「了解致しました。当該護衛機は嫌疑不十分として、ひとまず拘留させることにします」
電撃に動力を削がれ、横たわったまま弱々しく呼吸を繰り返すソウヤを、近衛兵数人で抱え起こす。
抵抗する力も言葉も失ったソウヤは、そのまま引きずられるように大広間から外へと連行されていった。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
受け付けの全裸お兄さんが店主に客の前で公開プレイされる大人の玩具専門店
ミクリ21 (新)
BL
大人の玩具専門店【ラブシモン】を営む執事服の店主レイザーと、受け付けの全裸お兄さんシモンが毎日公開プレイしている話。
クソザコ乳首アクメの一日
掌
BL
チクニー好きでむっつりなヤンキー系ツン男子くんが、家電を買いに訪れた駅ビルでマッサージ店員や子供や家電相手にとことんクソザコ乳首をクソザコアクメさせられる話。最後のページのみ挿入・ちんぽハメあり。無様エロ枠ですが周りの皆さんは至って和やかで特に尊厳破壊などはありません。フィクションとしてお楽しみください。
pixiv/ムーンライトノベルズにも同作品を投稿しています。
なにかありましたら(web拍手)
http://bit.ly/38kXFb0
Twitter垢・拍手返信はこちらから
https://twitter.com/show1write
壁穴奴隷No.19 麻袋の男
猫丸
BL
壁穴奴隷シリーズ・第二弾、壁穴奴隷No.19の男の話。
麻袋で顔を隠して働いていた壁穴奴隷19番、レオが誘拐されてしまった。彼の正体は、実は新王国の第二王子。変態的な性癖を持つ王子を連れ去った犯人の目的は?
シンプルにドS(攻)✕ドM(受※ちょっとビッチ気味)の組合せ。
前編・後編+後日談の全3話
SM系で鞭多めです。ハッピーエンド。
※壁穴奴隷シリーズのNo.18で使えなかった特殊性癖を含む内容です。地雷のある方はキーワードを確認してからお読みください。
※No.18の話と世界観(設定)は一緒で、一部にNo.18の登場人物がでてきますが、No.19からお読みいただいても問題ありません。
【R18】奴隷に堕ちた騎士
蒼い月
BL
気持ちはR25くらい。妖精族の騎士の美青年が①野盗に捕らえられて調教され②闇オークションにかけられて輪姦され③落札したご主人様に毎日めちゃくちゃに犯され④奴隷品評会で他の奴隷たちの特殊プレイを尻目に乱交し⑤縁あって一緒に自由の身になった両性具有の奴隷少年とよしよし百合セックスをしながらそっと暮らす話。9割は愛のないスケベですが、1割は救済用ラブ。サブヒロインは主人公とくっ付くまで大分可哀想な感じなので、地雷の気配を感じた方は読み飛ばしてください。
※主人公は9割突っ込まれてアンアン言わされる側ですが、終盤1割は突っ込む側なので、攻守逆転が苦手な方はご注意ください。
誤字報告は近況ボードにお願いします。無理やり何となくハピエンですが、不幸な方が抜けたり萌えたりする方は3章くらいまでをおススメします。
※無事に完結しました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる