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第12話_ハナブサ-1
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国王陛下不在につき人的・物的共に防衛配備数を欠かれ、警備体制に不安が見られた中、機を狙ったかのように王宮をテロが急襲した。
その実行犯の疑いがあるとされ、重要参考人として捕えられたソウヤは、王宮地下の留置所へ送られた。
地下は、有事には王族やその側仕えたちの身を守るシェルターとして、平時には罪人を一時拘留する施設として機能するようになっていた。
留置所は基本的に人間を拘留することを想定されていたが、アンドロイド相手でも充分機能する仕様になっていて、唯一の出入口側である格子面は切替ひとつで高圧電流を流せる仕様になっている他、護衛型機が標準で備えている防御壁の効果を打ち消すアンチシールド素材を混ぜた合金で作られており、堅固なアンドロイドであっても脱出はおろか、無傷では触れることさえ出来ない檻になっていた。
屈強な近衛兵たちになすがまま連れて来られたソウヤは、留置所へ投げ入れられるように収監された。
拘束縄からは解放されていたが、高圧電流に散々甚振られたうえに言われのない罪まで被せられたソウヤは、体力だけでなく精神的にも重いダメージを負い、冷たい床へ転がったまま動かなくなる。
「……」
近衛兵らは去り、灰色一色の地下に静寂が降りる。
ソウヤは生気の無い瞳を半分だけ開け、無機物だけで構成されたその景色へぼんやりと視線を漂わせる。
…イツキ…
気力を失い、無慈悲な仕打ちに絶望しても、ソウヤは引き離されてしまった幼い主へ思いを馳せた。
そんな空虚な時がどれほど経ったか、ソウヤの思考領域に、ふとノイズが入り込む。
― …『…-Y』… ―
「…?」
長い睫毛をぴくりと震わせ、ソウヤは頭の中に微かに響いたノイズに、眉を顰める。
…誰だ…?
― 『S-Y』、応答しろ ―
ノイズは少しずつ明瞭になり、聞き覚えのある声だと知覚していく。
「……ハナブサ…?」
― 反応が悪いな。無事か? ―
声の主は、陛下付き護衛機『ハナブサ』だった。
フード付の男に攻撃され、王宮のセキュリティシステムからログアウトして以降、ソウヤのネットワークは警備システムや他AI機などのどれとも接続されていない、スタンドアロン状態だった。
ハナブサは、ネットワークから切り離されていたソウヤの思考領域へ、ノイズに乗せるという至極原初的な方法を用い、直接アクセスしてきたようだった。
その実行犯の疑いがあるとされ、重要参考人として捕えられたソウヤは、王宮地下の留置所へ送られた。
地下は、有事には王族やその側仕えたちの身を守るシェルターとして、平時には罪人を一時拘留する施設として機能するようになっていた。
留置所は基本的に人間を拘留することを想定されていたが、アンドロイド相手でも充分機能する仕様になっていて、唯一の出入口側である格子面は切替ひとつで高圧電流を流せる仕様になっている他、護衛型機が標準で備えている防御壁の効果を打ち消すアンチシールド素材を混ぜた合金で作られており、堅固なアンドロイドであっても脱出はおろか、無傷では触れることさえ出来ない檻になっていた。
屈強な近衛兵たちになすがまま連れて来られたソウヤは、留置所へ投げ入れられるように収監された。
拘束縄からは解放されていたが、高圧電流に散々甚振られたうえに言われのない罪まで被せられたソウヤは、体力だけでなく精神的にも重いダメージを負い、冷たい床へ転がったまま動かなくなる。
「……」
近衛兵らは去り、灰色一色の地下に静寂が降りる。
ソウヤは生気の無い瞳を半分だけ開け、無機物だけで構成されたその景色へぼんやりと視線を漂わせる。
…イツキ…
気力を失い、無慈悲な仕打ちに絶望しても、ソウヤは引き離されてしまった幼い主へ思いを馳せた。
そんな空虚な時がどれほど経ったか、ソウヤの思考領域に、ふとノイズが入り込む。
― …『…-Y』… ―
「…?」
長い睫毛をぴくりと震わせ、ソウヤは頭の中に微かに響いたノイズに、眉を顰める。
…誰だ…?
― 『S-Y』、応答しろ ―
ノイズは少しずつ明瞭になり、聞き覚えのある声だと知覚していく。
「……ハナブサ…?」
― 反応が悪いな。無事か? ―
声の主は、陛下付き護衛機『ハナブサ』だった。
フード付の男に攻撃され、王宮のセキュリティシステムからログアウトして以降、ソウヤのネットワークは警備システムや他AI機などのどれとも接続されていない、スタンドアロン状態だった。
ハナブサは、ネットワークから切り離されていたソウヤの思考領域へ、ノイズに乗せるという至極原初的な方法を用い、直接アクセスしてきたようだった。
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