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本編
第11話_濡れ衣-1
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ソウヤを抱えたハナブサは、王宮の中枢部である大広間へ辿り着く。
この度のテロ攻撃を受け、大広間は臨時の被害対策本部が設けられ、多くの人間たちで埋め尽くされていた。
生存している王宮勤めの人間たちは、応援に駆けつけた国防隊の医療部に助け出され、救護スペースに集められていた。
みな大なり小なり怪我をしているようで、医療兵の応急処置を受ける彼らの表情は一様に暗かった。
護衛任務に就いてから、王宮へ入る人間たちの一日当たりのおおよその総数を把握していたソウヤだったが、今時点で視界に見える人数はその半分にも満たっていなかった。
ハナブサに運ばれる道中、ソウヤは床や壁に飛び散る血痕と、多くの人間が倒れ、息絶えている様を目にしてきてもいて、それらから総合的に見、相当な犠牲者が出ていることが容易に推測出来た。
大広間へ入る手前でハナブサはソウヤを降ろし、中へ進む。
ソウヤも後から続くと、大広間内の人間たちの目が一斉に彼らへと集められた。
「『PG2506』、任務を完遂・帰還致しました」
「ご苦労」
ハナブサの報告に近衛隊長が応え、辺りに控えていた部下へ無言で指示を送る。
数名の近衛兵たちが武器を携行したまま、ハナブサとソウヤの元へ駆け寄って来る。
「……!!」
ソウヤは、突然の想定外の状況に息を飲み、慄くように一歩下がった。
近衛兵たちの銃が構えられ、その銃口は真っ直ぐソウヤへと向けられていた。
「――動くな。そのまま頭の後ろで手を組み、両膝をつけ」
思考回路が追いつかず、焦ったソウヤは思わず、迫る近衛兵たちに問う。
「…!? どういうことですか!? これは――」
ソウヤの足許に、放たれた銃弾がめり込む。
「黙れ。従わなければ次は頭を撃つぞ」
「…!」
言葉を失ったソウヤは、震え始める膝をゆっくりと折り、命令通り両手を頭へ上げる。
すぐさま近衛兵たちに取り囲まれ、腕と胴を縄で縛られる。
「! っ…!」
縄は、化学繊維と金属を混ぜた特殊な素材で出来ている、対AI機専用の拘束縄だった。
僅かに身体を動かすだけでも電流が流れる仕組みで、動力である原子炉が鼓動を打つ度、否応無しに微電流が身体に走り、ソウヤは不快感に顔を歪める。
傍らにいたハナブサは、ソウヤから離れ前へと進み、近衛隊長へ背を向ける。
背中のポッドが開き、中にいたイツキ王子が抱え出される。
気を失ったままの王子は、ソウヤの目の前で動ける侍従らへと手渡され、大広間奥の別室へと運ばれていった。
ポッドを格納したハナブサは、向き直ると壁際へ下がり、片膝をついて控えた。
この度のテロ攻撃を受け、大広間は臨時の被害対策本部が設けられ、多くの人間たちで埋め尽くされていた。
生存している王宮勤めの人間たちは、応援に駆けつけた国防隊の医療部に助け出され、救護スペースに集められていた。
みな大なり小なり怪我をしているようで、医療兵の応急処置を受ける彼らの表情は一様に暗かった。
護衛任務に就いてから、王宮へ入る人間たちの一日当たりのおおよその総数を把握していたソウヤだったが、今時点で視界に見える人数はその半分にも満たっていなかった。
ハナブサに運ばれる道中、ソウヤは床や壁に飛び散る血痕と、多くの人間が倒れ、息絶えている様を目にしてきてもいて、それらから総合的に見、相当な犠牲者が出ていることが容易に推測出来た。
大広間へ入る手前でハナブサはソウヤを降ろし、中へ進む。
ソウヤも後から続くと、大広間内の人間たちの目が一斉に彼らへと集められた。
「『PG2506』、任務を完遂・帰還致しました」
「ご苦労」
ハナブサの報告に近衛隊長が応え、辺りに控えていた部下へ無言で指示を送る。
数名の近衛兵たちが武器を携行したまま、ハナブサとソウヤの元へ駆け寄って来る。
「……!!」
ソウヤは、突然の想定外の状況に息を飲み、慄くように一歩下がった。
近衛兵たちの銃が構えられ、その銃口は真っ直ぐソウヤへと向けられていた。
「――動くな。そのまま頭の後ろで手を組み、両膝をつけ」
思考回路が追いつかず、焦ったソウヤは思わず、迫る近衛兵たちに問う。
「…!? どういうことですか!? これは――」
ソウヤの足許に、放たれた銃弾がめり込む。
「黙れ。従わなければ次は頭を撃つぞ」
「…!」
言葉を失ったソウヤは、震え始める膝をゆっくりと折り、命令通り両手を頭へ上げる。
すぐさま近衛兵たちに取り囲まれ、腕と胴を縄で縛られる。
「! っ…!」
縄は、化学繊維と金属を混ぜた特殊な素材で出来ている、対AI機専用の拘束縄だった。
僅かに身体を動かすだけでも電流が流れる仕組みで、動力である原子炉が鼓動を打つ度、否応無しに微電流が身体に走り、ソウヤは不快感に顔を歪める。
傍らにいたハナブサは、ソウヤから離れ前へと進み、近衛隊長へ背を向ける。
背中のポッドが開き、中にいたイツキ王子が抱え出される。
気を失ったままの王子は、ソウヤの目の前で動ける侍従らへと手渡され、大広間奥の別室へと運ばれていった。
ポッドを格納したハナブサは、向き直ると壁際へ下がり、片膝をついて控えた。
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