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第10話_真の標的-6
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沈黙が降りた刹那、ソウヤの真上で硬い物が粉砕する鈍い音がし、ぱらぱらと粉塵が舞い降りる。
次いで、傍らに控えていた警備ロボットの一体が、奇怪なノイズを鳴らし、首から上を失った姿で崩れ落ちる。
その一寸後、何かに握り潰されたような頭部が床に落ち、ソウヤの眼前に転がる。
壁際で突如起きた異変に、残った警備ロボットたちは一斉に武器を構えるが、照準を合わせる前に、壁から突き出て現れたふたつの掌に頭部を掴まれる。
頭部はその握力だけで凹まされ、最後は頭同士打ちつけられて原型が無くなり、事切れる。
手駒の警備ロボットを全て失った男は、ソウヤの額を撃った銃を懐から抜き、少し後ずさりながら壁へ向けて構えた。
「…陛下の護衛機か」
男がそう言い捨てる目前に、袋小路の壁を破壊しながら、大木のような巨体が姿を現す。
全貌を見せたハヅキ国王陛下の護衛機『ハナブサ』は、感情の読めない面差しから、銃口を向ける男をまっすぐ見据える。
「護衛任務を放棄した挙句、人間ですらない機械を助けに来たか。誰の指示だ?」
「陛下御自らのお導きがあって、俺はここに居る。それ以外は黙秘する」
「…この銃は、お前たち護衛機の造る防御シールドを中和する。今のお前は、私に対して防衛も攻撃も出来んただの木偶の坊…それでも私と対峙するか?」
「卿がその引き金を引く前に、俺はその銃身を握り潰す。もとより、卿の捕縛は任務外だ」
ハナブサはそう淡々と語り、変わらぬ男の反応を確認してから、続ける。
「なお、先ほどネットワークより外れた別の警備ロボットより、王子殿下を奪還・保護した」
「…!!」
真一文字だった男の口元が、僅かに歪む。
「卿の此度の企ては破綻したと思われる。…大人しく、しかるべき機関へ投降されよ」
「……」
それきり双方無言が続き、しばらく睨み合っていたが、やがて男は鼻を軽く鳴らし、銃をしまう。
そしてそのまま数歩後ろへ下がり、黒いフードコートを翻しながら、その場を立ち去っていった。
次いで、傍らに控えていた警備ロボットの一体が、奇怪なノイズを鳴らし、首から上を失った姿で崩れ落ちる。
その一寸後、何かに握り潰されたような頭部が床に落ち、ソウヤの眼前に転がる。
壁際で突如起きた異変に、残った警備ロボットたちは一斉に武器を構えるが、照準を合わせる前に、壁から突き出て現れたふたつの掌に頭部を掴まれる。
頭部はその握力だけで凹まされ、最後は頭同士打ちつけられて原型が無くなり、事切れる。
手駒の警備ロボットを全て失った男は、ソウヤの額を撃った銃を懐から抜き、少し後ずさりながら壁へ向けて構えた。
「…陛下の護衛機か」
男がそう言い捨てる目前に、袋小路の壁を破壊しながら、大木のような巨体が姿を現す。
全貌を見せたハヅキ国王陛下の護衛機『ハナブサ』は、感情の読めない面差しから、銃口を向ける男をまっすぐ見据える。
「護衛任務を放棄した挙句、人間ですらない機械を助けに来たか。誰の指示だ?」
「陛下御自らのお導きがあって、俺はここに居る。それ以外は黙秘する」
「…この銃は、お前たち護衛機の造る防御シールドを中和する。今のお前は、私に対して防衛も攻撃も出来んただの木偶の坊…それでも私と対峙するか?」
「卿がその引き金を引く前に、俺はその銃身を握り潰す。もとより、卿の捕縛は任務外だ」
ハナブサはそう淡々と語り、変わらぬ男の反応を確認してから、続ける。
「なお、先ほどネットワークより外れた別の警備ロボットより、王子殿下を奪還・保護した」
「…!!」
真一文字だった男の口元が、僅かに歪む。
「卿の此度の企ては破綻したと思われる。…大人しく、しかるべき機関へ投降されよ」
「……」
それきり双方無言が続き、しばらく睨み合っていたが、やがて男は鼻を軽く鳴らし、銃をしまう。
そしてそのまま数歩後ろへ下がり、黒いフードコートを翻しながら、その場を立ち去っていった。
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