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本編
第8話_王室教師と-5
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ユン氏は紅茶をぐいと飲み干し、空になったカップをテーブルへ戻す。
「ご馳走様でした。殿下はお目覚めになりませんし、そろそろお暇することにしましょう」
「今日は昼食は召し上がっていかれないのですか?」
「午後いちで学会が入っておりまして。王宮の豪華な食事を目の前に辞退するのは非常に無念ですが、美味しいお茶菓子を頂いて適度に満たされましたので、聴講中に腹の虫が鳴るようなことにはならないでしょう」
そう冗談めかしながら言い、ユン氏は王子の机に載せていた図書や筆記具を取り、荷物をまとめ始める。
彼の後ろ姿を眺めていたソウヤは、ふとあることに気付く。
「そういえば…ユン先生にも専属の護衛機が付いているとお聞きしましたが」
「ええ。…私ごとき平民に、勿体無い限りです」
「勉学中は、王子殿下の間へはお連れにならないのですか?」
ソウヤがそう尋ねると、ユン氏はやや困り顔で振り向いた。
「それが…私の護衛機は殿下に好かれておりませんで。一緒の部屋にいると嫌がるのです」
「…! そう、でしたか…」
「ええ。とはいえ、対面的に近くへ置かない訳には参りませんので、いつも隣のお部屋をお借りして、待機させているのですよ」
「っ…!?」
…隣にアンドロイドが…? 全然気付かなかった…
…ネットワークまでも切断していたのか…? 待機中とはいえ、そんなことあり得るんだろうか…
少しばかり面食らうソウヤの前で、ユン氏は王子の勉強机の脇の壁をコンコンと叩く。
するとすぐに、王子の間の扉がノックされる。
「そこで待て。…それでは、失礼致します」
扉の方へ声を投げ、ユン氏はソウヤへ会釈して扉へ向かう。
見送りと興味本位から、ソウヤも後から氏へ着いていく。
「ご馳走様でした。殿下はお目覚めになりませんし、そろそろお暇することにしましょう」
「今日は昼食は召し上がっていかれないのですか?」
「午後いちで学会が入っておりまして。王宮の豪華な食事を目の前に辞退するのは非常に無念ですが、美味しいお茶菓子を頂いて適度に満たされましたので、聴講中に腹の虫が鳴るようなことにはならないでしょう」
そう冗談めかしながら言い、ユン氏は王子の机に載せていた図書や筆記具を取り、荷物をまとめ始める。
彼の後ろ姿を眺めていたソウヤは、ふとあることに気付く。
「そういえば…ユン先生にも専属の護衛機が付いているとお聞きしましたが」
「ええ。…私ごとき平民に、勿体無い限りです」
「勉学中は、王子殿下の間へはお連れにならないのですか?」
ソウヤがそう尋ねると、ユン氏はやや困り顔で振り向いた。
「それが…私の護衛機は殿下に好かれておりませんで。一緒の部屋にいると嫌がるのです」
「…! そう、でしたか…」
「ええ。とはいえ、対面的に近くへ置かない訳には参りませんので、いつも隣のお部屋をお借りして、待機させているのですよ」
「っ…!?」
…隣にアンドロイドが…? 全然気付かなかった…
…ネットワークまでも切断していたのか…? 待機中とはいえ、そんなことあり得るんだろうか…
少しばかり面食らうソウヤの前で、ユン氏は王子の勉強机の脇の壁をコンコンと叩く。
するとすぐに、王子の間の扉がノックされる。
「そこで待て。…それでは、失礼致します」
扉の方へ声を投げ、ユン氏はソウヤへ会釈して扉へ向かう。
見送りと興味本位から、ソウヤも後から氏へ着いていく。
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