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第7話_新たに宿す忠誠-4

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隣に座るよう促され、ソウヤはソファへ腰を落とす。

「殿下が私を必要として下さっていたこと、心から嬉しく思います」
「うん…」
「恐れながら…私は、殿下にあまり好かれてないと思っておりました。笑ったお顔も、今初めて拝顔叶いましたし…少し避けられているのでは、と」
「…っ!」
「! 思い違いでしたら申し訳ございません、お忘れ下さい…」

話を聞いて驚いた顔をする王子を見、ソウヤは慌てて取り繕おうとする。
が、王子は少し顔を伏せながら、首を細かく横に振った。

「…違うんだ…そんなつもりじゃなかったんだ。僕の知ってる護衛とあまりに見た目が違ったから、少し不安になったのもあるけど…」
「殿下…?」
「……顔を、ちゃんと見れなくて」

ソウヤがきょとんとしながら見守る中、イツキ王子は頬から耳まで紅く染めながら、ぼそぼそと漏らした。

「…君が、とても綺麗だったから…どこを見たらいいかわからなくなっちゃったんだ」
「…!?」
「今日も、迎賓館を駆け登っていった時や、大鐘の屋根から飛び降りていった時に、背中に羽が生えているように思えて…真っ白な鳥みたいだった」

王子は抱えるクッションに顔をうずめ、恥ずかしさに身を縮ませながら、ありのまま思った印象を懸命に伝えた。
予期せぬ告白を受け、ソウヤは二の句が継げなくなってしまった。

…? …あれ?
…褒めて下さってるのはわかるんだけど…、なんだか方向が…

「屋根の上で、僕に笑いかけてくれた時も、太陽の光を背負ってて…まるで天使様か女神様のようだった」
「…っ!!」

そしてそう続いた言葉に、素体が男性型であることに誇りを持っていたソウヤの身体には、頭から落雷に貫かれたような激震が走った。

……女神、とは。
……ここは、"女性型"ではないことをはっきり申し上げた方がいいんだろうか…
…いや、これほど心にお留め頂いたものに、水を差すのは野暮。
…そもそも人間にとっては、セクサロイド以外のアンドロイドの性別はあまり重要じゃない…殿下の仰ったことも比喩であって、実際のところはさほどこだわっていらっしゃらないはず。
…それに…、殿下の厚いご好意を賜れた俺にはもはや、性別など些末なことなんだ…

そう内で、みずからへ言い聞かせるよう考察しまとめると、ソウヤは恥ずかしそうに見つめてくるイツキ王子へ目を細め、静かな微笑を送った。

「…光栄です、殿下」
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