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第4話_ヤマト国王家への拝謁-3
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陛下は抱えているだろう痛みをおくびにも出さず、にこにこと微笑みながら正面に立つ3人へ、ソファへ座るよう促す。
「…しかし…」
「私を助けると思って。支えが無いと、あまり長くは立っていられないんだ」
そう言われ、拒めなくなったトクラ幕僚長とミヤジマ博士が座り、ソウヤは立ったまま博士の傍に控えた。
陛下は穏やかな表情をたたえてソウヤを眺める。
視線の合ったソウヤは深くお辞儀した。
「その彼が、あの子の新しい護衛アンドロイドだね」
「は。スペック他については先刻提出申し上げました通りです。…その、体躯は従前機体から大分見劣りするものがあり…また四肢の筋力にも、やや不足はありますが…」
「大丈夫、資料は全て目を通してるから。それに、トクラ殿のお墨付きであれば、私も全幅の信頼を寄せられると思ってる」
「…痛み入ります」
陛下はついで、ミヤジマ博士を見やった。
「ありがとう、ミヤジマ殿。こんなに早く手配して貰えるとは思ってなかったよ。無理を言って本当に済まなかった」
「いえ。このような大役をお任せ頂き、若輩者には一生の誉と存じます」
「ここ数日、私の護衛にあの子…王子の身辺も兼務して貰っててね。公務は控えてるとはいえ、結構過重労働させ過ぎてしまっていたんだ。これでようやく、平常に戻れる」
「! …そういえば、殿下はどちらに?」
そう晴れやかな笑みを浮かべる陛下へ、トクラ幕僚長がお伺いを立てる。
投げかけられた質問と同時にソウヤの耳が微かな音と気配を察知し、後ろの扉へと振り返った。
直後、目の前で扉が半開き、先ほどの従者が再び部屋へ入る。
「陛下、王子殿下がお着きにございます」
「うん」
陛下が応えると、従者に続いて壮年の男と、10歳そこそこ程度の少年が王の間へ入ってくる。
彼らの入室に、トクラ幕僚長とミヤジマ博士は揃って起立する。
「――遅くなりまして大変申し訳ございません。準備に少々手間取りまして」
傍らに立つ男が恭しく首を垂れる中、少年は早足で中へ進み、陛下の座るソファの脇へ、ふたりとソウヤへ対面して立った。
生まれながらの研究所育ちで、陛下の御尊顔さえもおぼろげだったソウヤは、初めてのお目見えとなる王子殿下に目を見張る。
…このお方が、イツキ王子殿下…
…今日から、俺の主となるお方。
「…しかし…」
「私を助けると思って。支えが無いと、あまり長くは立っていられないんだ」
そう言われ、拒めなくなったトクラ幕僚長とミヤジマ博士が座り、ソウヤは立ったまま博士の傍に控えた。
陛下は穏やかな表情をたたえてソウヤを眺める。
視線の合ったソウヤは深くお辞儀した。
「その彼が、あの子の新しい護衛アンドロイドだね」
「は。スペック他については先刻提出申し上げました通りです。…その、体躯は従前機体から大分見劣りするものがあり…また四肢の筋力にも、やや不足はありますが…」
「大丈夫、資料は全て目を通してるから。それに、トクラ殿のお墨付きであれば、私も全幅の信頼を寄せられると思ってる」
「…痛み入ります」
陛下はついで、ミヤジマ博士を見やった。
「ありがとう、ミヤジマ殿。こんなに早く手配して貰えるとは思ってなかったよ。無理を言って本当に済まなかった」
「いえ。このような大役をお任せ頂き、若輩者には一生の誉と存じます」
「ここ数日、私の護衛にあの子…王子の身辺も兼務して貰っててね。公務は控えてるとはいえ、結構過重労働させ過ぎてしまっていたんだ。これでようやく、平常に戻れる」
「! …そういえば、殿下はどちらに?」
そう晴れやかな笑みを浮かべる陛下へ、トクラ幕僚長がお伺いを立てる。
投げかけられた質問と同時にソウヤの耳が微かな音と気配を察知し、後ろの扉へと振り返った。
直後、目の前で扉が半開き、先ほどの従者が再び部屋へ入る。
「陛下、王子殿下がお着きにございます」
「うん」
陛下が応えると、従者に続いて壮年の男と、10歳そこそこ程度の少年が王の間へ入ってくる。
彼らの入室に、トクラ幕僚長とミヤジマ博士は揃って起立する。
「――遅くなりまして大変申し訳ございません。準備に少々手間取りまして」
傍らに立つ男が恭しく首を垂れる中、少年は早足で中へ進み、陛下の座るソファの脇へ、ふたりとソウヤへ対面して立った。
生まれながらの研究所育ちで、陛下の御尊顔さえもおぼろげだったソウヤは、初めてのお目見えとなる王子殿下に目を見張る。
…このお方が、イツキ王子殿下…
…今日から、俺の主となるお方。
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