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本編
第4話_ヤマト国王家への拝謁-2
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そう言葉を交わし合いながら、あっという間に王の間入口へと辿り着く。
扉前に控えていた従者が、3人の姿に気付くと扉の向こうへ消え、すぐにまた現れる。
「お入り下さい」
王の間へ入ったソウヤの目にまず飛び込んできたのは、柔らかな明るい光と目の覚めるような青だった。
部屋の中は想像よりシンプルで、緑と金を基調とする調度品が、控えめにぽつぽつと置かれていた。
しかし、その一つひとつのどれにも細部に緻密な細工が施されていて、繊細に揺れるシャンデリアの下に輝きを放っていた。
正面に見える大きな掃き出し窓には、白い雲が浮かぶ青空が映り、南向きなのか室内は温室のように暖かい。
毛足の整った深緑色のラグの上に長机とアイボリー色の革張りのソファがいくつか置かれ、それを囲うように何人かの側役が並び、真顔のままこちらへ視線を送っていた。
そして正面のひとり掛けソファには、長髪を緩く三つ編みに結わえた男性が腰かけ、そのすぐ脇には、縦にも横にも並外れて大きい、大木のような男が控えていた。
部屋内の誰よりも目立つその巨体に、ソウヤは思わず視線を奪われた。
…アンドロイドだ…!
自分と同じダークカラーのスーツを着用する男を、ソウヤはひと目ですぐに"同胞"と理解し、つまり彼が国王陛下付き護衛機だと把握する。
陛下付き護衛機は、ソウヤと比べ頭ふたつ分以上の差はあろうかという背丈と、幅広く肉厚な体躯を持つアンドロイドだった。
首は丸太のように太く前腕はソウヤの太股の直径と同じくらいで、上から下まで溢れんばかりの筋肉が、少し力を込めるだけで前ボタンはおろかスーツそのものを放射状に飛び散らせそうなほど、隆々と浮き出していた。
ソウヤは、思わず自分の胸元へ目を落とす。
同じ護衛機を務める彼と自分の、あまりの素体の差異に、驚きを隠せなかった。
従者たちが続きの間へと離れていくと、トクラ幕僚長は一歩進み、敬礼する。
「お待たせ致しました、陛下。新たな王子殿下付き護衛機の開発者・Dr.ミヤジマを召喚致しました」
「うん、ありがとう」
ソファに座る男性――ハヅキ国王陛下は、片側だけ見える黒茶色の目を緩め、口元に笑みを見せた。
ヤマト国家元首であり、国及び国民の象徴たる国王を生で見ることはおろか、映像でも満足に観たことが無かったソウヤは少し心を躍らせたが、すぐに違和感に気付いて面差しを改める。
ハヅキ国王は、左目を布で覆い隠していた。
研究所で納品前の最終チェックをしている間にミヤジマ博士から伝え聞かされたり、数日前にニュースで聞いたりと多少の前情報は得ていたものの、テロリストによる襲撃を受け負傷した陛下を間近に拝謁したソウヤは、胸のあたりに棘が刺さる心地を覚えた。
…なんておいたわしい。
…ミヤジマ博士の仰るには、陛下はまだ30代半ばだとか…こんな若くに、御身に不自由を残すことになってしまうのだろうか。
扉前に控えていた従者が、3人の姿に気付くと扉の向こうへ消え、すぐにまた現れる。
「お入り下さい」
王の間へ入ったソウヤの目にまず飛び込んできたのは、柔らかな明るい光と目の覚めるような青だった。
部屋の中は想像よりシンプルで、緑と金を基調とする調度品が、控えめにぽつぽつと置かれていた。
しかし、その一つひとつのどれにも細部に緻密な細工が施されていて、繊細に揺れるシャンデリアの下に輝きを放っていた。
正面に見える大きな掃き出し窓には、白い雲が浮かぶ青空が映り、南向きなのか室内は温室のように暖かい。
毛足の整った深緑色のラグの上に長机とアイボリー色の革張りのソファがいくつか置かれ、それを囲うように何人かの側役が並び、真顔のままこちらへ視線を送っていた。
そして正面のひとり掛けソファには、長髪を緩く三つ編みに結わえた男性が腰かけ、そのすぐ脇には、縦にも横にも並外れて大きい、大木のような男が控えていた。
部屋内の誰よりも目立つその巨体に、ソウヤは思わず視線を奪われた。
…アンドロイドだ…!
自分と同じダークカラーのスーツを着用する男を、ソウヤはひと目ですぐに"同胞"と理解し、つまり彼が国王陛下付き護衛機だと把握する。
陛下付き護衛機は、ソウヤと比べ頭ふたつ分以上の差はあろうかという背丈と、幅広く肉厚な体躯を持つアンドロイドだった。
首は丸太のように太く前腕はソウヤの太股の直径と同じくらいで、上から下まで溢れんばかりの筋肉が、少し力を込めるだけで前ボタンはおろかスーツそのものを放射状に飛び散らせそうなほど、隆々と浮き出していた。
ソウヤは、思わず自分の胸元へ目を落とす。
同じ護衛機を務める彼と自分の、あまりの素体の差異に、驚きを隠せなかった。
従者たちが続きの間へと離れていくと、トクラ幕僚長は一歩進み、敬礼する。
「お待たせ致しました、陛下。新たな王子殿下付き護衛機の開発者・Dr.ミヤジマを召喚致しました」
「うん、ありがとう」
ソファに座る男性――ハヅキ国王陛下は、片側だけ見える黒茶色の目を緩め、口元に笑みを見せた。
ヤマト国家元首であり、国及び国民の象徴たる国王を生で見ることはおろか、映像でも満足に観たことが無かったソウヤは少し心を躍らせたが、すぐに違和感に気付いて面差しを改める。
ハヅキ国王は、左目を布で覆い隠していた。
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…なんておいたわしい。
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