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本編
第1話_拒否権無き指令-2
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「なんだ、妬いてんのか? お前も交ざるか?」
「結構です」
にやつく男を突き離すように、ソウヤは眉を寄せたままつんと顔を逸らした。
不機嫌なソウヤから"博士"と呼ばれた男――ミヤジマ博士は、ベッドの隅に放っていた白衣を羽織り、女性たちを置いてベッドから降り立つ。
ミヤジマ博士は、立ち上がるとすらりと背が高く、程良い筋肉質な体格や骨張った骨格、パーツの整ったシャープな顔立ちの持ち主で、それなりの格好をさせればモデルや俳優と変わらないだろう美麗な男性だった。
緩慢な所作で伸びっぱなしにさせた黒髪をかきあげると、片耳には青い宝石の着いたピアスが通っていて、切れ長奥二重から黒い瞳を悪戯気に緩める面差しは、ただのイケメンでは終わらせない危なげな雰囲気も醸し出していた。
そんなやんちゃな空気感も相まって、色んな意味で肩書きと不釣り合いな容姿とも言えたが、実際に歳も若く、高校から大学院までを度々飛び級して修了しており、"博士"という称号を持ちながらまだ20代半ばという非常に優秀な人物でもあった。
博士は口元に笑みを浮かべながらソウヤへと歩み寄り、首を傾げて顔を窺う。
「機嫌直せよ、ソウヤ…ちょっと手が空いたから遊んでただけだって。いつだってお前が一番だよ」
「…適当な事を。さっき散々スピーカーで呼んだのに、全然気付かなかったじゃないですか」
「悪かったって。お前はなんでそうも嫉妬深いんだろうな」
「このようになさったのは博士です」
大きな瞳を閉ざして拒むソウヤの顎を取り、ミヤジマ博士は彼の唇を塞ぐ。
「…ん…」
博士の腕が細い腰に回され、大きな身体に背中を羽交い絞めにされ、たくし上げられる痩躯がつま先立ちになる。
身体の全てを包み込まれるような心地良さに、恍惚を帯びた面差しが薄目を開ける。
長い口付けと愛撫の後、唇から離れた博士は、混じり気の無い漆黒の瞳でソウヤを正面から見つめた。
「俺の言葉に嘘偽りはねぇよ。お前以外はただの暇潰しにしかならねぇ。…お前は、俺の至高で唯一の存在だからな」
「…」
耳に届く低い睦言に、ソウヤはうっすらと頬を染めながら、部屋奥へと横目を流した。
ミヤジマ博士のいなくなったベッドの上には、先程まで甘い声でさえずり博士へと絡みついていた女性型アンドロイドたちが、事切れたように乱れた姿のまますぅすぅと寝息をたてていた。
目を閉じて表情を戻すと、ソウヤは博士の胸に手をついて離れる。
「…こんなことしてる場合じゃないんですっ」
「? なんだよ、続きを…」
「お客人です」
ソウヤの襟口へ指を引っかけようとしたミヤジマ博士は、目を丸くした後眉を下げ、閉口する。
「結構です」
にやつく男を突き離すように、ソウヤは眉を寄せたままつんと顔を逸らした。
不機嫌なソウヤから"博士"と呼ばれた男――ミヤジマ博士は、ベッドの隅に放っていた白衣を羽織り、女性たちを置いてベッドから降り立つ。
ミヤジマ博士は、立ち上がるとすらりと背が高く、程良い筋肉質な体格や骨張った骨格、パーツの整ったシャープな顔立ちの持ち主で、それなりの格好をさせればモデルや俳優と変わらないだろう美麗な男性だった。
緩慢な所作で伸びっぱなしにさせた黒髪をかきあげると、片耳には青い宝石の着いたピアスが通っていて、切れ長奥二重から黒い瞳を悪戯気に緩める面差しは、ただのイケメンでは終わらせない危なげな雰囲気も醸し出していた。
そんなやんちゃな空気感も相まって、色んな意味で肩書きと不釣り合いな容姿とも言えたが、実際に歳も若く、高校から大学院までを度々飛び級して修了しており、"博士"という称号を持ちながらまだ20代半ばという非常に優秀な人物でもあった。
博士は口元に笑みを浮かべながらソウヤへと歩み寄り、首を傾げて顔を窺う。
「機嫌直せよ、ソウヤ…ちょっと手が空いたから遊んでただけだって。いつだってお前が一番だよ」
「…適当な事を。さっき散々スピーカーで呼んだのに、全然気付かなかったじゃないですか」
「悪かったって。お前はなんでそうも嫉妬深いんだろうな」
「このようになさったのは博士です」
大きな瞳を閉ざして拒むソウヤの顎を取り、ミヤジマ博士は彼の唇を塞ぐ。
「…ん…」
博士の腕が細い腰に回され、大きな身体に背中を羽交い絞めにされ、たくし上げられる痩躯がつま先立ちになる。
身体の全てを包み込まれるような心地良さに、恍惚を帯びた面差しが薄目を開ける。
長い口付けと愛撫の後、唇から離れた博士は、混じり気の無い漆黒の瞳でソウヤを正面から見つめた。
「俺の言葉に嘘偽りはねぇよ。お前以外はただの暇潰しにしかならねぇ。…お前は、俺の至高で唯一の存在だからな」
「…」
耳に届く低い睦言に、ソウヤはうっすらと頬を染めながら、部屋奥へと横目を流した。
ミヤジマ博士のいなくなったベッドの上には、先程まで甘い声でさえずり博士へと絡みついていた女性型アンドロイドたちが、事切れたように乱れた姿のまますぅすぅと寝息をたてていた。
目を閉じて表情を戻すと、ソウヤは博士の胸に手をついて離れる。
「…こんなことしてる場合じゃないんですっ」
「? なんだよ、続きを…」
「お客人です」
ソウヤの襟口へ指を引っかけようとしたミヤジマ博士は、目を丸くした後眉を下げ、閉口する。
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