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本編
第11話_広がる波紋-2
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向かい合ったものの双方沈黙が続き、次第に焦って紅潮していく蒼矢の面様に見かねて、諒は彼女たちへ声をかける。
「……えっと、髙城に何か用があるんじゃ?」
「…あ! そういうんじゃないんです。すみませんでしたっ」
問われて我に返ったのか、女子学生たちはそうはっきりと答えぺこりと一礼し、そそくさと退室していった。
早足で立ち去っていく彼女たちの後ろ姿を目で追い、同級生は息をつきながら扉を閉める。
ついで、首を傾げながら蒼矢の方へ振り向いた。
「…なんだったんだ?」
一連の出来事で困惑を極め、突っ立ったまま反応を返せない蒼矢の周りで、再び会話がこぼれ始める。
「今のって、あれじゃないか? この間の…」
「そうだろね。新聞かイントラ見て、目星付けてきたんじゃないかな」
「発行してから数日しか経ってないじゃん。早いなぁ…」
周囲の声に動揺する蒼矢の肩に手を置いて座らせ、啓介は鼻を鳴らした。
「…見に来ただけかよ。ここは動物園じゃねぇぞ」
「いやでも、逆に対面しただけで満足してくれたみたいで良かったよ」
啓介は、苛立ちを滲ませる彼を宥めようと言葉を投げたつもりだったが、その一言に啓介は振り向き、苛立ちは収めたものの眉を寄せながら出入口を睨んだ。
「確かに…この程度で済んでまだマシだったかもな。…次は何が来るんだ?」
「まぁ、これきりかもしれないし。構えてても仕方ないよ」
強張った面持ちのまま机へうつむく蒼矢へ視線をやりつつ、諒はそうフォローを入れた。
そんな騒動の間に休憩時間が終わってしまい、准教授陣が再び入室してくる。
ほんの数分の出来事に少しだけ揺らめき立った室内の空気は、徐々に平常へと戻されていった。
「……えっと、髙城に何か用があるんじゃ?」
「…あ! そういうんじゃないんです。すみませんでしたっ」
問われて我に返ったのか、女子学生たちはそうはっきりと答えぺこりと一礼し、そそくさと退室していった。
早足で立ち去っていく彼女たちの後ろ姿を目で追い、同級生は息をつきながら扉を閉める。
ついで、首を傾げながら蒼矢の方へ振り向いた。
「…なんだったんだ?」
一連の出来事で困惑を極め、突っ立ったまま反応を返せない蒼矢の周りで、再び会話がこぼれ始める。
「今のって、あれじゃないか? この間の…」
「そうだろね。新聞かイントラ見て、目星付けてきたんじゃないかな」
「発行してから数日しか経ってないじゃん。早いなぁ…」
周囲の声に動揺する蒼矢の肩に手を置いて座らせ、啓介は鼻を鳴らした。
「…見に来ただけかよ。ここは動物園じゃねぇぞ」
「いやでも、逆に対面しただけで満足してくれたみたいで良かったよ」
啓介は、苛立ちを滲ませる彼を宥めようと言葉を投げたつもりだったが、その一言に啓介は振り向き、苛立ちは収めたものの眉を寄せながら出入口を睨んだ。
「確かに…この程度で済んでまだマシだったかもな。…次は何が来るんだ?」
「まぁ、これきりかもしれないし。構えてても仕方ないよ」
強張った面持ちのまま机へうつむく蒼矢へ視線をやりつつ、諒はそうフォローを入れた。
そんな騒動の間に休憩時間が終わってしまい、准教授陣が再び入室してくる。
ほんの数分の出来事に少しだけ揺らめき立った室内の空気は、徐々に平常へと戻されていった。
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