ガイアセイバーズ spin-off -Ｔ大理学部生の波乱-

本編

第3話_世話焼きが紡ぐ縁-8

"烈レツ"と呼ばれた男は、無地のTシャツジーパンにスニーカーというラフないで立ちで、浅黒い肌と日焼けしたような赤茶の猫毛を無造作に伸ばし、風にふわふわとなびかせていた。
鋭い一重の目と太眉に、他のパーツは大きめで、目以外のパーツはどれをとっても小さく繊細な蒼矢ソウヤとは真反対の印象を受けた。
近寄って来た緊迫の面差しと、そこからすぐ崩された表情からも、中身も快活で闊達な人物なんだろうと察せた。

長身で適度に筋肉のついた精悍な体躯は、線の細い蒼矢はもちろん、運動部所属だった諒リョウや啓介ケイスケと比べても、ひと回り以上大きく立派だった。
ジーパンに濃紺の前掛けを着けていることから、どこかの個人商店に勤めている風に見えて一瞬年上かと錯覚したが、蒼矢とタメ口を利き合う仲であることや、単純に顔の造形からも、同い年くらいなんだろうと推察出来た。

烈はふたりへ視線を合わせ、改札機越しに頭を下げた。

「すんませんっした、ここまで送ってもらって。面倒掛けました」
「いや、こっちも時間あったから。思いのほか近くてなによりだったよ」
「そうそう、俺らまた大学戻るだけだから。髙城、コンパは残念だったけど、今度飯行こうな」
「うん。ふたりとも本当にありがとう、助かりました」
「お大事に」

蒼矢は同じように深く頭を下げると、諒と啓介に見送られながら改札へ歩く。