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火傷
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元々衣服だっただろう焼けこげた布を、かろうじて身に纏っているメレブが、道端で倒れている。衣服だけでなく、顔や体にも焼け爛れた跡があった。
ずっと探していた関係上、冨岡の目にはメレブしか映らなかったのだが、周囲には同じように焼かれ倒れている者が何人かいる。視野を広げて見ると、その場所全体が火で焼かれたように地面や建物も焦げていた。
爆心地。冨岡の頭に浮かんだのは、不穏な単語だった。
「メレブ! しっかりしろ、どうしたんだ!」
倒れているメレブに駆け寄る冨岡。だが、メレブからの反応はない。
冨岡の背後に立っていたレボルは周囲を見渡し、膝を折って地面に指を立てる。
「炎系の魔法か・・・・・・メレブや周囲の方々は、大きな魔法に巻き込まれたようですね」
冷静な口調だったが、レボルは指で掬い取った土を強く握った。彼なりに怒りの感情を露わにしているのだろう。
大きな火傷を負い、意識のないメレブ。冨岡は彼の体を抱き上げ、強く揺らしてみる。
それでも反応はない。力の抜けた体はやけに重く感じる。
「メレブ! 目を開けてくれ、メレブ!」
大きな声で呼びかける冨岡だったが、アリリシャによって止められた。
「トミオカ様、ここは戦場ですので、大声は・・・・・・」
「けど、メレブが!」
「負傷の程度を見る限り、もうメレブ氏は」
言いづらいことでも言わなければならない。アリリシャの顔からは、複雑な感情が読み取れる。
だが、今の冨岡には受け入れられる言葉ではなかった。
「そうだ、回復魔法! 回復魔法をかけてください! アリリシャさん、回復魔法を!」
焦って迫る冨岡だが、彼女に回復魔法の適性はない。苦しそうな表情で顔を伏せる。
「申し訳ありません。私は・・・・・・」
「じゃあ、レボルさん! 回復魔法を!」
暴走気味に冨岡は顔の向きを変えた。
「応急手当て程度の回復魔法なら使えるのですが、このレベルの火傷となると」
「それでもいいから、お願いします!」
悲痛な冨岡の懇願。
断ることはできない、とレボルはメレブの体に手のひらを向ける。
「癒しを・・・・・・」
おそらく魔法を発動しているのだろうが、メレブの体に変化はない。回復魔法を専門としていないレボルでは、身体中の火傷には対応できないのだ。
そもそも、レボルとアリリシャは冨岡を気遣って言葉にはしていないが、絶命レベルの火傷を治せる回復魔法師など存在しない。
「メレブ、メレブ!」
必死に呼びかける冨岡だが、メレブの体に反応は戻ってこない。
そこでアリリシャは、堪えきれずに言葉を漏らした。
「聖女様でなければ、この傷は・・・・・・」
その瞬間、冨岡の頭に『過去の体験』が呼び起こされる。
「聖女! 聖女なら、この傷を治せるんですか!?」
ずっと探していた関係上、冨岡の目にはメレブしか映らなかったのだが、周囲には同じように焼かれ倒れている者が何人かいる。視野を広げて見ると、その場所全体が火で焼かれたように地面や建物も焦げていた。
爆心地。冨岡の頭に浮かんだのは、不穏な単語だった。
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倒れているメレブに駆け寄る冨岡。だが、メレブからの反応はない。
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「炎系の魔法か・・・・・・メレブや周囲の方々は、大きな魔法に巻き込まれたようですね」
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大きな火傷を負い、意識のないメレブ。冨岡は彼の体を抱き上げ、強く揺らしてみる。
それでも反応はない。力の抜けた体はやけに重く感じる。
「メレブ! 目を開けてくれ、メレブ!」
大きな声で呼びかける冨岡だったが、アリリシャによって止められた。
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「けど、メレブが!」
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言いづらいことでも言わなければならない。アリリシャの顔からは、複雑な感情が読み取れる。
だが、今の冨岡には受け入れられる言葉ではなかった。
「そうだ、回復魔法! 回復魔法をかけてください! アリリシャさん、回復魔法を!」
焦って迫る冨岡だが、彼女に回復魔法の適性はない。苦しそうな表情で顔を伏せる。
「申し訳ありません。私は・・・・・・」
「じゃあ、レボルさん! 回復魔法を!」
暴走気味に冨岡は顔の向きを変えた。
「応急手当て程度の回復魔法なら使えるのですが、このレベルの火傷となると」
「それでもいいから、お願いします!」
悲痛な冨岡の懇願。
断ることはできない、とレボルはメレブの体に手のひらを向ける。
「癒しを・・・・・・」
おそらく魔法を発動しているのだろうが、メレブの体に変化はない。回復魔法を専門としていないレボルでは、身体中の火傷には対応できないのだ。
そもそも、レボルとアリリシャは冨岡を気遣って言葉にはしていないが、絶命レベルの火傷を治せる回復魔法師など存在しない。
「メレブ、メレブ!」
必死に呼びかける冨岡だが、メレブの体に反応は戻ってこない。
そこでアリリシャは、堪えきれずに言葉を漏らした。
「聖女様でなければ、この傷は・・・・・・」
その瞬間、冨岡の頭に『過去の体験』が呼び起こされる。
「聖女! 聖女なら、この傷を治せるんですか!?」
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