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禁断の書物
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王弟派の貴族たちはその詳細を隠している。所属している貴族たちですら、正確に誰が味方であるかは知らない。けれど、絶対に知っておかなければならないことがある。
王弟派が次にどのような行動を取るか、だ。
意識を統一し、足並みを揃えなければ組織としては成り立たない。
「どこで集まって話しているか、ですか?」
冨岡は聞き返しながら考える。確かに意識を統一させるためには、会合は不可欠である。だが、集まるのはあまりにもリスクが高い。その会合が現国王の耳に入れば、国家反逆罪に問われてもおかしくないだろう。
「直接集まるのではなく、手紙とか回覧状みたいなものでやり取りしている方が、リスクは低いですよね」
「まぁ、普通に考えればそうじゃの。だが、何事も一長一短でな、書状のやり取りは他人の介入を許してしまう。それにどうしたって証拠が残るじゃろう。そう考えると、内密に動きたい王弟派にとって直接集まる方が、リスクの管理がしやすい。全て目に見えるからの」
手紙等のやり取りは、目に見えない部分が多い。手紙を誰かが開けるかもしれない。誰の手を通るのかわからない。裏切った誰かがその証拠を現国王に提出するかもしれない。
そんな余計なリスクを背負うよりも、直接集まって話をした方が、証拠が残らないのだ。人の頭の中までは暴きようがないのだから。
完全に遮断された場所で、裏切らないメンバーだけを集め会合をすれば、誰かの耳に入るリスクは低い。
「じゃあ、王弟派はリスクを避けるために直接集まっている、とノノノカさんは考えているんですね。しかもその場所は貧民街・・・・・・」
情報をまとめ、冨岡が推論を口にするとノノノカは、煙を飲んでから頷いた。
「うむ。話があちらこちらに飛んでわかりづらいじゃろうが、もう一度横道に逸れるぞ。様々な要素が入り組んでおるからの。ヒロヤ・・・・・・は知らんか。アメリアよ、『フォビドゥン・ブック』という組織に聞き覚えはないか?」
異世界の知識がないとして最初から省かれた冨岡は、『フォビドゥン・ブック』という言葉を頭の中で和訳する。フォビドゥンは『禁断の』という意味の英語。ブックは言わずもがな『本』だ。こちらの世界では、様々な言語が入り混じり言葉が作られている。真っ直ぐに和訳するならば『禁断の書物』といったところだろう。
問いかけられた本人であるアメリアは、考える時間を必要とせず、即座に頷いた。
「は、はい。まだ『白の創世』があった頃に、何度もその名前を聞きました。狂信的な魔法崇拝教団だ、と。ですが、もう信者はほとんどいないはずです。魔法の解明が進み、一般化したことで、ほぼ解散状態にあるとか。昔はフォビドゥン・ブックが魔法を独占していたんですよね」
「そうじゃの。魔法を独占し、信者を増やしておった教団じゃ。魔法が一般化したことで、奇跡ではなくなってしまい、信者でなくともその恩恵に預かれる。ほぼ解散状態にあったのも嘘ではない。じゃが、まだ存在しておるのも事実。元々、フォビドゥン・ブックは現貴族たちの先祖が作った教団でもあるしの。伝統を重んじる王弟派にとっては、良い隠れ蓑なんじゃろう。壊滅しかけている狂信的な教団。誰も近寄りはせん。その本拠地は、貧民街の奥・・・・・・廃れた地下教会に存在しておる・・・・・・という噂じゃ」
王弟派が次にどのような行動を取るか、だ。
意識を統一し、足並みを揃えなければ組織としては成り立たない。
「どこで集まって話しているか、ですか?」
冨岡は聞き返しながら考える。確かに意識を統一させるためには、会合は不可欠である。だが、集まるのはあまりにもリスクが高い。その会合が現国王の耳に入れば、国家反逆罪に問われてもおかしくないだろう。
「直接集まるのではなく、手紙とか回覧状みたいなものでやり取りしている方が、リスクは低いですよね」
「まぁ、普通に考えればそうじゃの。だが、何事も一長一短でな、書状のやり取りは他人の介入を許してしまう。それにどうしたって証拠が残るじゃろう。そう考えると、内密に動きたい王弟派にとって直接集まる方が、リスクの管理がしやすい。全て目に見えるからの」
手紙等のやり取りは、目に見えない部分が多い。手紙を誰かが開けるかもしれない。誰の手を通るのかわからない。裏切った誰かがその証拠を現国王に提出するかもしれない。
そんな余計なリスクを背負うよりも、直接集まって話をした方が、証拠が残らないのだ。人の頭の中までは暴きようがないのだから。
完全に遮断された場所で、裏切らないメンバーだけを集め会合をすれば、誰かの耳に入るリスクは低い。
「じゃあ、王弟派はリスクを避けるために直接集まっている、とノノノカさんは考えているんですね。しかもその場所は貧民街・・・・・・」
情報をまとめ、冨岡が推論を口にするとノノノカは、煙を飲んでから頷いた。
「うむ。話があちらこちらに飛んでわかりづらいじゃろうが、もう一度横道に逸れるぞ。様々な要素が入り組んでおるからの。ヒロヤ・・・・・・は知らんか。アメリアよ、『フォビドゥン・ブック』という組織に聞き覚えはないか?」
異世界の知識がないとして最初から省かれた冨岡は、『フォビドゥン・ブック』という言葉を頭の中で和訳する。フォビドゥンは『禁断の』という意味の英語。ブックは言わずもがな『本』だ。こちらの世界では、様々な言語が入り混じり言葉が作られている。真っ直ぐに和訳するならば『禁断の書物』といったところだろう。
問いかけられた本人であるアメリアは、考える時間を必要とせず、即座に頷いた。
「は、はい。まだ『白の創世』があった頃に、何度もその名前を聞きました。狂信的な魔法崇拝教団だ、と。ですが、もう信者はほとんどいないはずです。魔法の解明が進み、一般化したことで、ほぼ解散状態にあるとか。昔はフォビドゥン・ブックが魔法を独占していたんですよね」
「そうじゃの。魔法を独占し、信者を増やしておった教団じゃ。魔法が一般化したことで、奇跡ではなくなってしまい、信者でなくともその恩恵に預かれる。ほぼ解散状態にあったのも嘘ではない。じゃが、まだ存在しておるのも事実。元々、フォビドゥン・ブックは現貴族たちの先祖が作った教団でもあるしの。伝統を重んじる王弟派にとっては、良い隠れ蓑なんじゃろう。壊滅しかけている狂信的な教団。誰も近寄りはせん。その本拠地は、貧民街の奥・・・・・・廃れた地下教会に存在しておる・・・・・・という噂じゃ」
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