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異世界で喫煙
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冨岡が吸いやすいように箱を開け、中身を見せるとノノノカは瞳に好奇心を宿し、中を覗き込んだ。
「これがタバコか? 細く丸めた紙のようにしか見えんが」
確かに普段葉っぱの状態しか見たことのない者からすれば、紙に巻かれたタバコは不思議なものだろう。それが何かすらわからないのも無理はない。
「そんなに詳しくないんですけど、紙巻きタバコっていうんですかね。紙の中に葉っぱが詰まっていて、こっちで吸うんです」
「パイプが必要ないということか。紙を使うなんて、豪奢じゃ。葉と一緒に燃やしてしまうんじゃろう?」
「そうですね、紙は燃焼剤の役目もあるみたいですし。よかったらどうぞ」
冨岡がタバコを一本取り出し、ノノノカに手渡す。すると彼女は、周囲を見渡してから少しだけ厳しい表情を浮かべた。
「子どもたちはおらんが、アメリアがおるじゃろう。ヒロヤが子どもたちの手に触れんようにしていたのは、何かしら健康面への不安があるからではないのか? ここで吸うと匂いも残るじゃろうし、アメリアにも何か影響があるかもしれん。ワシへの心遣いはありがたいが、周囲のことも考えねばな。煙がこもってしまうじゃろう」
「逆に気を遣わせてしまってますね。でも、この屋台には大きな換気扇があって、その下で吸いながら、非喫煙者と十分に距離を取り分煙すれば大丈夫だと思います。もちろん、アメリアさんが良ければ、っていうのはその通りですけど」
そう言いながら冨岡はアメリアに視線を送る。
彼女としても、この屋台の排煙機能が充分であることは理解していた。日夜、料理を続けていても、煙に悩んだことはない。
「私は構いませんけど、ノノノカ様が気になるのであれば、外に机を出しませんか? 屋台の中では閉塞感がありますし、開けた場所の方が人の気配を感じやすい気もします」
アメリアの提案はもっともなものだった。屋台の中で話を続けていれば、どうしても閉塞感を覚える。その中にいるのは精神衛生上良いとはいえないだろう。
精神的な閉塞感を取っ払えば、思考も自由になりやすいかもしれない。
「そうですね、そうしましょう」
即座に冨岡は折りたたみの机を持ち出し、ノノノカを外に連れ出した。小さな空き瓶に少し水を入れると、あらためてタバコを一本手渡してみる。
「どうですか、ノノノカさん。一服は大切でしょう? 俺たちも紅茶を飲みますし、どうぞ」
「そうか? そこまで言うのなら、一本貰うとするかの。どうすればいいんじゃ?」
「えっと、こっちのフィルター側を咥えて、軽く吸いながら先端に火をつけるんです。あ、そう言えばライターがないな。何か火をつけるものあります?」
非喫煙者である冨岡は、使用すべき瞬間までライターの必要性に気づけなかった。もちろん、そんなものが都合よくあるわけもない。
だが、ノノノカは着火具が無いことを気にせず、タバコを咥える。
「こうすればいいんじゃな? 小さな火くらいなくても構わん。こうすれば良い」
「これがタバコか? 細く丸めた紙のようにしか見えんが」
確かに普段葉っぱの状態しか見たことのない者からすれば、紙に巻かれたタバコは不思議なものだろう。それが何かすらわからないのも無理はない。
「そんなに詳しくないんですけど、紙巻きタバコっていうんですかね。紙の中に葉っぱが詰まっていて、こっちで吸うんです」
「パイプが必要ないということか。紙を使うなんて、豪奢じゃ。葉と一緒に燃やしてしまうんじゃろう?」
「そうですね、紙は燃焼剤の役目もあるみたいですし。よかったらどうぞ」
冨岡がタバコを一本取り出し、ノノノカに手渡す。すると彼女は、周囲を見渡してから少しだけ厳しい表情を浮かべた。
「子どもたちはおらんが、アメリアがおるじゃろう。ヒロヤが子どもたちの手に触れんようにしていたのは、何かしら健康面への不安があるからではないのか? ここで吸うと匂いも残るじゃろうし、アメリアにも何か影響があるかもしれん。ワシへの心遣いはありがたいが、周囲のことも考えねばな。煙がこもってしまうじゃろう」
「逆に気を遣わせてしまってますね。でも、この屋台には大きな換気扇があって、その下で吸いながら、非喫煙者と十分に距離を取り分煙すれば大丈夫だと思います。もちろん、アメリアさんが良ければ、っていうのはその通りですけど」
そう言いながら冨岡はアメリアに視線を送る。
彼女としても、この屋台の排煙機能が充分であることは理解していた。日夜、料理を続けていても、煙に悩んだことはない。
「私は構いませんけど、ノノノカ様が気になるのであれば、外に机を出しませんか? 屋台の中では閉塞感がありますし、開けた場所の方が人の気配を感じやすい気もします」
アメリアの提案はもっともなものだった。屋台の中で話を続けていれば、どうしても閉塞感を覚える。その中にいるのは精神衛生上良いとはいえないだろう。
精神的な閉塞感を取っ払えば、思考も自由になりやすいかもしれない。
「そうですね、そうしましょう」
即座に冨岡は折りたたみの机を持ち出し、ノノノカを外に連れ出した。小さな空き瓶に少し水を入れると、あらためてタバコを一本手渡してみる。
「どうですか、ノノノカさん。一服は大切でしょう? 俺たちも紅茶を飲みますし、どうぞ」
「そうか? そこまで言うのなら、一本貰うとするかの。どうすればいいんじゃ?」
「えっと、こっちのフィルター側を咥えて、軽く吸いながら先端に火をつけるんです。あ、そう言えばライターがないな。何か火をつけるものあります?」
非喫煙者である冨岡は、使用すべき瞬間までライターの必要性に気づけなかった。もちろん、そんなものが都合よくあるわけもない。
だが、ノノノカは着火具が無いことを気にせず、タバコを咥える。
「こうすればいいんじゃな? 小さな火くらいなくても構わん。こうすれば良い」
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