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勘の良さ
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確かに状況には不審さを感じる。貴族が一人で街の外にいることもそうだが、兵士長として戦いの経験を積んできたドルマリンがそう簡単に死ぬだろうか。
冨岡は自分の思考に、何か引っかかりのようなものを感じる。
「ドルマリン男爵は一人で魔物に殺された・・・・・・いや、なんでしょう、この違和感」
そう言葉にすると、ノノノカは感心したように頷く。
「ヒロヤが言っておるのは、一人だったことではないな?」
「・・・・・・そもそもドルマリン男爵は兵士の中でも実力者だったんですよね」
「その通りじゃ。冒険者になっておれば、それなりに名を残したじゃろうな」
冨岡に対してサラリと答えるノノノカ。彼女の言葉は、何かを引き出そうとしているようにも聞こえる。何か、冨岡自身が至るべき答えに。
輪郭が曖昧な会話に対して、疑問を持ったのはアメリアだった。
「トミオカさんの言っている違和感って、戦ったこと、ですか?」
自分が発言してもいいのだろうか、と弱々しい語調である。それでも聞かずにはいられなかったのだろう。
するとノノノカは、驚いたようにアメリアを見た。
「ほう、中々良い勘をしておるな、アメリア。これは関係のない話じゃが、男は勘の良い女を讃え、恐れる。結婚するまでは、勘の良い女の行動に心地よさを感じるもんじゃ。何を望んでいるのか、何を考えているのか、どうしたいのか。そういうもんを読んでくれるからの。しかし結婚した途端、男は勘の良さに恐れ始める。意味はわかるな?」
後半は本当に関係のない話だった。ただ、冨岡とアメリアの関係を茶化しつつ、ノノノカは含み笑いを浮かべる。
冨岡はノノノカの言葉に「恐れませんよ。恐れるようなことをしませんから」と、小さく答えてから、アメリアに視線をやった。
「それで、アメリアさん。戦ったこと、って・・・・・・」
「冨岡さんはいつだって、弱い人の気持ちがわかるじゃないですか。人が苦しんでいる状況を見逃せはしない。だからこそ、おかしいと感じたんです。ノノノカ様が認めるほどの実力者である、ドルマリン男爵が『自分を殺せるほど』の魔物に立ち向かったことを」
「そうか! 俺が感じてた違和感はそれですよ。それほどの実力者であれば、自分より強い相手くらい見極めるはずです。死ぬとわかっていて戦うわけがない。いや、違う。死ぬとわかっていても、戦わなければならなかった理由があったんだ。ノノノカさん、冒険者ギルドが怪しいと思ったのは、そのことですね?」
冨岡は自分の思考に、何か引っかかりのようなものを感じる。
「ドルマリン男爵は一人で魔物に殺された・・・・・・いや、なんでしょう、この違和感」
そう言葉にすると、ノノノカは感心したように頷く。
「ヒロヤが言っておるのは、一人だったことではないな?」
「・・・・・・そもそもドルマリン男爵は兵士の中でも実力者だったんですよね」
「その通りじゃ。冒険者になっておれば、それなりに名を残したじゃろうな」
冨岡に対してサラリと答えるノノノカ。彼女の言葉は、何かを引き出そうとしているようにも聞こえる。何か、冨岡自身が至るべき答えに。
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するとノノノカは、驚いたようにアメリアを見た。
「ほう、中々良い勘をしておるな、アメリア。これは関係のない話じゃが、男は勘の良い女を讃え、恐れる。結婚するまでは、勘の良い女の行動に心地よさを感じるもんじゃ。何を望んでいるのか、何を考えているのか、どうしたいのか。そういうもんを読んでくれるからの。しかし結婚した途端、男は勘の良さに恐れ始める。意味はわかるな?」
後半は本当に関係のない話だった。ただ、冨岡とアメリアの関係を茶化しつつ、ノノノカは含み笑いを浮かべる。
冨岡はノノノカの言葉に「恐れませんよ。恐れるようなことをしませんから」と、小さく答えてから、アメリアに視線をやった。
「それで、アメリアさん。戦ったこと、って・・・・・・」
「冨岡さんはいつだって、弱い人の気持ちがわかるじゃないですか。人が苦しんでいる状況を見逃せはしない。だからこそ、おかしいと感じたんです。ノノノカ様が認めるほどの実力者である、ドルマリン男爵が『自分を殺せるほど』の魔物に立ち向かったことを」
「そうか! 俺が感じてた違和感はそれですよ。それほどの実力者であれば、自分より強い相手くらい見極めるはずです。死ぬとわかっていて戦うわけがない。いや、違う。死ぬとわかっていても、戦わなければならなかった理由があったんだ。ノノノカさん、冒険者ギルドが怪しいと思ったのは、そのことですね?」
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