百億円で異世界に学園作り〜祖父の遺産で勇者・聖女・魔王の子孫たちを育てます〜

澤檸檬

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貴族の調査

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 この幼さとは思えないほど、成熟したローズの発言に落ち着きを取り戻した冨岡。
 そのままダルクに案内され、ローズと共に屋敷内の応接室に向かう。

「そうですか、トミオカ様の方にはベレゼッセス侯爵が・・・・・・間違いなく王命だとおっしゃっていたんですよね?」

 冨岡が軽く状況を説明し直したところで、ダルクが問いかけた。
 
「はい、王命だと言いながら、羊皮紙を見せつけられました」
「そうですか・・・・・・いえ、すみません。こちらも大した情報を得ることはできておらず、旦那様は出頭命令に従い、王城に・・・・・・ですが、王命が出されているということは、少なからず国王様は承知のこと。であれば、どうすることも・・・・・・」

 ダルクはそう語った。
 どうやらキュルケース公爵家の面々も、このような事態になることを想定していなかったらしい。まさに寝耳に水であり、戸惑いの最中にいる。
 だが、冨岡よりも貴族たちのつながりに詳しいことは間違いない。とにかく、少しでも情報を得ようと、冨岡は問いかける。

「あの、こんなことを聞いていいのかわからないのですが、そもそもキュルケース公爵様は、国王様と血縁関係にあたるんですよね? それなのに、どうして公爵様が国王様の命令で出頭することに?」

 そんな冨岡の問いに対して、ダルクは少し気まずそうな表情を浮かべてから、静かに話し始めた。

「確かに旦那様は国王様の近親者・・・・・・しかしながら、国王様は必ずしも旦那様の味方とは限らないのです」
「味方とは限らない?」
「ええ、もしも旦那様が罪を犯せば、裁くのは国王様の役目。公爵位を裁くことができるのは国王様だけですからね」
「でも、公爵様はそんな人じゃないでしょう。それほど付き合いが長いわけじゃない俺でもわかりますよ。あの人は・・・・・・公爵様は人を愛し、人の幸せを願える人だ。罪だなんて・・・・・・」

 ダルクの説明に対し冨岡は、感情のまま意見を述べる。だが、そんなことは当然ダルクもわかっていた。

「もちろんです。旦那様は望んで誰かを傷つけるような方ではありません。問題なのは『裁く者』ではなく、『調べる者』です」
「調べる者って?」
「貴族の罪に関しては、調査も貴族が行う。これが基本です。また、一人の貴族やその貴族と懇意にしている者だけで調べれば、調査に個人的な感情が反映される恐れがある。個人の利益や恨みなどが、正しい結果を捻じ曲げかねないですからね。そこで、国王様が無作為に選んだ何人かの貴族が合同で調査をすることになるのです。これは公平であり、調査に信憑性が増す。そして危険でもある」

 ダルクの言う『危険』が何を意味するのか、冨岡は一瞬で気づいてしまう。

「そうか! キュルケース家以外のほとんどの貴族が結託していれば、その事実は簡単に捻じ曲げられる」
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