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自分の気持ち
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冨岡への好意を口にしたローズは、どこかわざとらしく、まるでアメリアを煽っているように見える。
硬い殻の中に隠した本心を引き出すように、言葉と目線、表情で攻め立てる。そんな様子だった。
しかし、アメリアの立場で公爵令嬢に歯向かうことなど出来はしない。
「そ、それは、その・・・・・・トミオカさんも承知の話でしょうか」
「公爵家を継ぐことができるのよ? それに、お父様もトミーのことは気に入っているわ。誰も損はしない話よ。あなたにとっても、そうでしょう?」
「そうではなくて、トミオカさんの気持ちです。失礼を承知で申し上げますが、ローズ様はまだ・・・・・・その」
「子どもだって言いたいの? 年齢なんて大した問題じゃないわ。貴族なら、この歳で婚約者いることも珍しくない。身分差の話はあるでしょうけど、トミーが大商人になれば誰も文句は言わないでしょうしね。そのための助力はするつもりよ」
ローズは、自分と冨岡の婚姻が不自然ではないことを説明する。
しかし、アメリアが聞きたいことはそれではない。
「違うんです、ローズ様。本当にトミオカさんがローズ様との婚姻を望んでいて、それが幸せなのだと言うなら、私は心から応援します」
「ふふっ、ありがとう。じゃあ、問題ないのね?」
「ですから・・・・・・トミオカさんが本当にそれを望んでいるのなら、です。私にはトミオカさんが幼いローズ様との婚姻を本気で考えるとは思えないんです。それも利益を求めてなんて・・・・・・トミオカさんはそんな方ではありません。少なくとも私が見てきたトミオカさんは」
アメリアが奥歯を噛み締めるように言うと、ローズは呆れたようにため息を吐いた。
「随分と青いことを言うのね、アメリア。利益は大切よ。金銭的な安定がどれほど大切か・・・・・・あなたが一番知っているんじゃないの?」
刺すような目でアメリアを見つめるローズ。
そこでアメリアは自分の過去について、この幼い女の子が知っていると気づいた。一瞬、冨岡がそれを話したのではないか、という考えが過る。だが、冨岡が幼いローズにわざわざそんなことを言うわけがない。おそらくジルホークとの問題解決の際、ダルクが調べたことだろう、とアメリアは納得した。
「確かに、私は金銭的な問題によって、苦しんできました。もちろん、自分で選んだ道ですから後悔はありません・・・・・・とは言い切れないですけど。それでもこの場所を守れたことは、私の誇りです。そして、そんな私に手を差し伸べてくれたのはトミオカさんなんです。何の利益もないはずなのに、私を助けてくれました。フィーネに笑顔をくれました。利益もないのに助けてくれるような冨岡さんが、利益を求めて婚姻を結ぶとは思えません。もう一度聞きます。トミオカさんは、ローズ様との婚姻を望んでいるんですか?」
ローズは自分よりも深く冨岡を理解しているアメリアの言葉を聞き、体から力を抜いて肩を落とした。
「ふぅ・・・・・・これが信頼・・・・・・そして愛かしら」
「ローズ様?」
「安心してアメリア。全部、嘘よ。トミーへの想いは私の一方通行。しっかりとお断りされたわ」
「う、嘘? どうしてそんなことを」
「ムカつくからよ。いつまでもウジウジしている二人に腹が立ったの。せっかく想われているのに、自分の心に蓋をして、その場で足踏みしているあなたにムカついたのよ、アメリア。自覚しなさい、アメリア。自分の気持ちに正直でいなさい。ローズ・キュルケースの人生最初で最後の敗北の重みを背負って、進みなさい」
硬い殻の中に隠した本心を引き出すように、言葉と目線、表情で攻め立てる。そんな様子だった。
しかし、アメリアの立場で公爵令嬢に歯向かうことなど出来はしない。
「そ、それは、その・・・・・・トミオカさんも承知の話でしょうか」
「公爵家を継ぐことができるのよ? それに、お父様もトミーのことは気に入っているわ。誰も損はしない話よ。あなたにとっても、そうでしょう?」
「そうではなくて、トミオカさんの気持ちです。失礼を承知で申し上げますが、ローズ様はまだ・・・・・・その」
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しかし、アメリアが聞きたいことはそれではない。
「違うんです、ローズ様。本当にトミオカさんがローズ様との婚姻を望んでいて、それが幸せなのだと言うなら、私は心から応援します」
「ふふっ、ありがとう。じゃあ、問題ないのね?」
「ですから・・・・・・トミオカさんが本当にそれを望んでいるのなら、です。私にはトミオカさんが幼いローズ様との婚姻を本気で考えるとは思えないんです。それも利益を求めてなんて・・・・・・トミオカさんはそんな方ではありません。少なくとも私が見てきたトミオカさんは」
アメリアが奥歯を噛み締めるように言うと、ローズは呆れたようにため息を吐いた。
「随分と青いことを言うのね、アメリア。利益は大切よ。金銭的な安定がどれほど大切か・・・・・・あなたが一番知っているんじゃないの?」
刺すような目でアメリアを見つめるローズ。
そこでアメリアは自分の過去について、この幼い女の子が知っていると気づいた。一瞬、冨岡がそれを話したのではないか、という考えが過る。だが、冨岡が幼いローズにわざわざそんなことを言うわけがない。おそらくジルホークとの問題解決の際、ダルクが調べたことだろう、とアメリアは納得した。
「確かに、私は金銭的な問題によって、苦しんできました。もちろん、自分で選んだ道ですから後悔はありません・・・・・・とは言い切れないですけど。それでもこの場所を守れたことは、私の誇りです。そして、そんな私に手を差し伸べてくれたのはトミオカさんなんです。何の利益もないはずなのに、私を助けてくれました。フィーネに笑顔をくれました。利益もないのに助けてくれるような冨岡さんが、利益を求めて婚姻を結ぶとは思えません。もう一度聞きます。トミオカさんは、ローズ様との婚姻を望んでいるんですか?」
ローズは自分よりも深く冨岡を理解しているアメリアの言葉を聞き、体から力を抜いて肩を落とした。
「ふぅ・・・・・・これが信頼・・・・・・そして愛かしら」
「ローズ様?」
「安心してアメリア。全部、嘘よ。トミーへの想いは私の一方通行。しっかりとお断りされたわ」
「う、嘘? どうしてそんなことを」
「ムカつくからよ。いつまでもウジウジしている二人に腹が立ったの。せっかく想われているのに、自分の心に蓋をして、その場で足踏みしているあなたにムカついたのよ、アメリア。自覚しなさい、アメリア。自分の気持ちに正直でいなさい。ローズ・キュルケースの人生最初で最後の敗北の重みを背負って、進みなさい」
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