百億円で異世界に学園作り〜祖父の遺産で勇者・聖女・魔王の子孫たちを育てます〜

澤檸檬

文字の大きさ
上 下
385 / 498

物騒な提案

しおりを挟む
 自分を縛っていた縄をレボルに切ってもらい、その縄でドロフとメレブの両手足を縛ったところで、冨岡はようやく一息つくことができた。

「ふぅ、縛られる経験なんてそうそうないんだろうけど、思ってたより窮屈なもんだなぁ」

 呑気なセリフを吐く冨岡に対して、レボルはやれやれといった様子で言う。

「もっと慌てた方が良かったんじゃないですか?」
「だってレボルさんがいてくれましたし、いざってときはスタンガンも持ってますよ」
「両手縛られてたら武器も使えないでしょう。まったく、大変な方に雇われましたよ」

 言いながらレボルは微笑んだ。
 そのままレボルはドロフたちを一瞥してから言葉を続ける。

「それで、この者たちはどうしますか? 衛兵に突き出して、牢獄に送ってもらうか・・・・・・それとも街の外に放り出すか。どちらにせよ何かしらの報いは必要でしょう。そうでなければ、再び狙ってくる。話を聞いた限りトミオカさんだけではなく、アメリアさんのことも知ってるみたいですし、彼女の方に危害を加える可能性もあります」
「あー、そっか。俺だけならレボルさんに守ってもらえれば問題ないですけど」
「いや、いつだって護衛できるわけでもありませんし、それなりの実力者が出てくれば勝てないかもしれませんよ」
「アメリアさんや子どもたちに危険が及ぶとなれば、しっかり対処しとかなければなりませんね」

 レボルの苦情をさらっと聞き流した冨岡は、そのままドロフたちに近寄り膝を折った。

「さて、どうしようか」
「くそっ! 仲間がいるなんて! この卑怯者!」
「そもそも二人で一人を襲ってきた方が卑怯だろ。見てみろ、こんなに体格差があるんだぞ! 階級が違いすぎるだろ。誰が誰に卑怯って言ってるんだよ」

 ブーメランすぎるドロフの非難を一蹴して、冨岡はレボルに相談する。

「街の外に追い出しても、牢獄に入れても、他の人に襲われる可能性は消せませんよね。だったら、見せしめになってもらうのが効率的だと思うんです」
「見せしめ・・・・・・十字架に磔でもして晒しますか?」

 そんな二人の会話を聞いていたドロフは体を硬直させて叫んだ。

「物騒なこと言ってんな! 死ぬだろ」
「私の雇い主を殺そうとしたんです。殺されても文句は言えないでしょう」

 冷酷に言い放つレボル。
 流石に冨岡もそこまでするつもりはない。

「ちょっと、レボルさん。殺すのはちょっと。それよりも生きていてもらった方が見せしめになりますから、とりあえず一旦気絶させて置いておきましょうか」
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!

どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入! 舐めた奴らに、真実が牙を剥く! 何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ? しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない? 訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、 なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト! そして…わかってくる、この異世界の異常性。 出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。 主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。 相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。 ハーレム要素は、不明とします。 復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。 追記  2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。 8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。 2024/02/23 アルファポリスオンリーを解除しました。

おじさんが異世界転移してしまった。

明かりの元
ファンタジー
ひょんな事からゲーム異世界に転移してしまったおじさん、はたして、無事に帰還できるのだろうか? モンスターが蔓延る異世界で、様々な出会いと別れを経験し、おじさんはまた一つ、歳を重ねる。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

平凡冒険者のスローライフ

上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。 平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。 果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか…… ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない

一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。 クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。 さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。 両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。 ……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。 それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。 皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。 ※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。

処理中です...