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どんな魔法よりも強い力
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レボルは冨岡が手にしているボトルを一瞥して、喉を鳴らしかねない表情で頷いた。
「それは葡萄酒ですね。トミオカさんが持ってくる酒はどれも美味ですが、『いい』と断じるのであれば期待が膨らみます。ぜひご一緒させてください」
「ははっ、口に合うといいんですけど」
夕食はレボルが移動中に用意してある。冨岡が直接教えた唐揚げや、玉ねぎやひき肉を具にしたオムレツ。ノルマンが一緒ということで、味が濃すぎず胃に負担のかからない水炊きも用意してあった。
それとは別に酒を飲む者のために、チーズやナッツも机の上に並べる。
「それじゃあ、夕食にしましょう」
冨岡が言うと、ノルマン以外は両手を合わせて合図を待った。
全員が『いただきます』の状態になったところで、ノルマンが全員を見回す。
「おや、食事前の祈りかの?」
不思議そうなノルマンに対して、隣に座っていたリオが他人行儀ながらも説明した。
「こうやって手を合わせるんだ。作ってくれた人や食材に感謝をするんだって、トミオカさんが言ってた」
「そうかそうか。それは良い心がけじゃな。ワシもそれに倣うとするか」
言いながらノルマンは両手を合わせる。
そこですかさず冨岡は「いただきます」と全員に聞こえるよう、大袈裟に言った。
夕食会の始まりだ。
初めて違う世界の食べ物を食べたノルマンの反応は、概ね想像通りで、目を丸くして舌の上で広がる味を楽しんでいる。
「長生きはするもんじゃのう。こんな美味に出会えるとは」
なんてありきたりな言葉を吐きながら、口一杯に料理を放り込む。
食事の途中、唐揚げに齧り付きながらフィーネが首を傾げた。
「ねぇねぇ、おじいちゃんはトミオカさんのお友達なんだよね?」
子どもたちにはそう説明しているのだから、疑問としては不思議ではない。
ノルマンはそれを察して首を縦に振る。
「ほっほっほ、そうじゃ。友人じゃよ、今日からな」
「今日から? そっか」
「なんじゃ、不満かの?」
「ううん、お友達はいいものだよ。でも、昔からのお友達だったら、トミオカさんみたいに不思議なことできるのかなって」
フィーネにそう言われ、冨岡はドキッとした。
自分のしていることを『不思議』だとフィーネが思っているのなら、何かを疑われかねない。
冨岡が一瞬の動揺を見せる中、ノルマンが飄々と聞き返す。
「不思議なこととは何じゃろうか?」
「えー、不思議なことは不思議なことだよ。こんなに美味しいものを食べさせてくれたり、フィーネたちを助けてくれたり、勉強を教えてくれたり!」
「ほっほっほ、そうじゃな。不思議なほど美味じゃ」
フィーネの言葉を聞いて冨岡は安心する。異世界転移してきた話には繋がりそうもない。
どうしてこんなによくしてくれるんだろう、といった類の不思議らしい。
更にノルマンは言葉を続ける。
「じゃが、行動は不思議ではないぞ。人には『愛』という感情がある。これはどんな魔法よりも強い力じゃ。トミオカがお前さんやリオを幸せにしたいという気持ちはそれじゃろう」
「愛?」
「好き、という気持ちじゃ」
「ふふっ、フィーネもトミオカさん好き!」
「それは葡萄酒ですね。トミオカさんが持ってくる酒はどれも美味ですが、『いい』と断じるのであれば期待が膨らみます。ぜひご一緒させてください」
「ははっ、口に合うといいんですけど」
夕食はレボルが移動中に用意してある。冨岡が直接教えた唐揚げや、玉ねぎやひき肉を具にしたオムレツ。ノルマンが一緒ということで、味が濃すぎず胃に負担のかからない水炊きも用意してあった。
それとは別に酒を飲む者のために、チーズやナッツも机の上に並べる。
「それじゃあ、夕食にしましょう」
冨岡が言うと、ノルマン以外は両手を合わせて合図を待った。
全員が『いただきます』の状態になったところで、ノルマンが全員を見回す。
「おや、食事前の祈りかの?」
不思議そうなノルマンに対して、隣に座っていたリオが他人行儀ながらも説明した。
「こうやって手を合わせるんだ。作ってくれた人や食材に感謝をするんだって、トミオカさんが言ってた」
「そうかそうか。それは良い心がけじゃな。ワシもそれに倣うとするか」
言いながらノルマンは両手を合わせる。
そこですかさず冨岡は「いただきます」と全員に聞こえるよう、大袈裟に言った。
夕食会の始まりだ。
初めて違う世界の食べ物を食べたノルマンの反応は、概ね想像通りで、目を丸くして舌の上で広がる味を楽しんでいる。
「長生きはするもんじゃのう。こんな美味に出会えるとは」
なんてありきたりな言葉を吐きながら、口一杯に料理を放り込む。
食事の途中、唐揚げに齧り付きながらフィーネが首を傾げた。
「ねぇねぇ、おじいちゃんはトミオカさんのお友達なんだよね?」
子どもたちにはそう説明しているのだから、疑問としては不思議ではない。
ノルマンはそれを察して首を縦に振る。
「ほっほっほ、そうじゃ。友人じゃよ、今日からな」
「今日から? そっか」
「なんじゃ、不満かの?」
「ううん、お友達はいいものだよ。でも、昔からのお友達だったら、トミオカさんみたいに不思議なことできるのかなって」
フィーネにそう言われ、冨岡はドキッとした。
自分のしていることを『不思議』だとフィーネが思っているのなら、何かを疑われかねない。
冨岡が一瞬の動揺を見せる中、ノルマンが飄々と聞き返す。
「不思議なこととは何じゃろうか?」
「えー、不思議なことは不思議なことだよ。こんなに美味しいものを食べさせてくれたり、フィーネたちを助けてくれたり、勉強を教えてくれたり!」
「ほっほっほ、そうじゃな。不思議なほど美味じゃ」
フィーネの言葉を聞いて冨岡は安心する。異世界転移してきた話には繋がりそうもない。
どうしてこんなによくしてくれるんだろう、といった類の不思議らしい。
更にノルマンは言葉を続ける。
「じゃが、行動は不思議ではないぞ。人には『愛』という感情がある。これはどんな魔法よりも強い力じゃ。トミオカがお前さんやリオを幸せにしたいという気持ちはそれじゃろう」
「愛?」
「好き、という気持ちじゃ」
「ふふっ、フィーネもトミオカさん好き!」
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