337 / 498
魔王の意図
しおりを挟む
大人たちで話を濁し、シチューを食べてホットミルクを飲む。そしてリオとフィーネを寝かしつけた後、再び屋台に冨岡、アメリア、レボルで集まった。
「・・・・・・とんでもない話になってきましたね」
沈黙を破り、口を開いたのはレボル。
冨岡が淹れた紅茶を飲んでからそう呟いた。
同意するように冨岡は頷く。
「そうですね。というか、まずは認識の確認をしたいんですけどいいですか?」
話題はもちろん『リオの父親について』である。
話を進めるために、同じ認識でいるのかを確認した。
リオの話を聞き、得た情報から推察するに、リオの父親は魔王で間違い無いだろう。悲しみと苦しみの中にいた魔王は、復讐のために動き出そうとした。そうしなければ、自分を保てない。そんな状況である。
しかし、それと同時に守るべき存在があった。愛する女性との間に生まれた子ども。愛する女性が残してくれた宝物だ。
復讐を遂げたとしても、道半ばで途絶えたとしても、必然的に戦いは起こる。子どもを巻き込むわけにはいかない。けれど復讐心を殺すこともできない。
そこで魔王は魔法によって、リオを逃した。探知できないように布で包み、空へと飛ばしたのである。
三人とも同じ答えに辿り着いていたのを確認し、冨岡が話を進めた。
「リオくんは魔王が残した子、って可能性が高い。もちろん確定ではないですけど」
冨岡の言葉を聞いたレボルは鼻から息を吐き、頭を整理してから返答する。
「彼は魔王の子・・・・・・それは確定でいいと思います」
「でも結局は状況証拠と推測でしかないですよ」
「いえ、ここにあるのは『充分すぎる状況証拠』です。魔力を完全に消す布と伝説級の魔石・・・・・・こんなものを造り出せるのは、魔王以外に存在しません。人間の創造物だと限定すれば、の話ですが。その上でリオくんの記憶と大きく関わっており、この場所に現れ、ここにある・・・・・・魔王の遺産を子に届けるかのように。リオくんが魔王の子である、以外の説明が出来ませんよ」
それは確定ではなく、それ以外の可能性が見出せない暫定という状況ではないのか、とも思うが、冨岡はそれを言葉にしない。
ほとんど同じ考えに行き着いているからだ。
一瞬の間を置いて、これまで話を聞いていたアメリアが口を開く。
「リオの親が誰であろうと、関係なく接するつもりです、リオはリオですから。けれど、あの魔王が父親となれば、リオ自身に大きく影響するでしょう。この事実をリオに伝えるかどうか・・・・・・いつまでも隠し続けることはできないでしょうし」
「アメリアさん、落ち着いてください」
冨岡が声をかけた。
「まずは『魔王の意図』を知ることからじゃないでしょうか」
「・・・・・・とんでもない話になってきましたね」
沈黙を破り、口を開いたのはレボル。
冨岡が淹れた紅茶を飲んでからそう呟いた。
同意するように冨岡は頷く。
「そうですね。というか、まずは認識の確認をしたいんですけどいいですか?」
話題はもちろん『リオの父親について』である。
話を進めるために、同じ認識でいるのかを確認した。
リオの話を聞き、得た情報から推察するに、リオの父親は魔王で間違い無いだろう。悲しみと苦しみの中にいた魔王は、復讐のために動き出そうとした。そうしなければ、自分を保てない。そんな状況である。
しかし、それと同時に守るべき存在があった。愛する女性との間に生まれた子ども。愛する女性が残してくれた宝物だ。
復讐を遂げたとしても、道半ばで途絶えたとしても、必然的に戦いは起こる。子どもを巻き込むわけにはいかない。けれど復讐心を殺すこともできない。
そこで魔王は魔法によって、リオを逃した。探知できないように布で包み、空へと飛ばしたのである。
三人とも同じ答えに辿り着いていたのを確認し、冨岡が話を進めた。
「リオくんは魔王が残した子、って可能性が高い。もちろん確定ではないですけど」
冨岡の言葉を聞いたレボルは鼻から息を吐き、頭を整理してから返答する。
「彼は魔王の子・・・・・・それは確定でいいと思います」
「でも結局は状況証拠と推測でしかないですよ」
「いえ、ここにあるのは『充分すぎる状況証拠』です。魔力を完全に消す布と伝説級の魔石・・・・・・こんなものを造り出せるのは、魔王以外に存在しません。人間の創造物だと限定すれば、の話ですが。その上でリオくんの記憶と大きく関わっており、この場所に現れ、ここにある・・・・・・魔王の遺産を子に届けるかのように。リオくんが魔王の子である、以外の説明が出来ませんよ」
それは確定ではなく、それ以外の可能性が見出せない暫定という状況ではないのか、とも思うが、冨岡はそれを言葉にしない。
ほとんど同じ考えに行き着いているからだ。
一瞬の間を置いて、これまで話を聞いていたアメリアが口を開く。
「リオの親が誰であろうと、関係なく接するつもりです、リオはリオですから。けれど、あの魔王が父親となれば、リオ自身に大きく影響するでしょう。この事実をリオに伝えるかどうか・・・・・・いつまでも隠し続けることはできないでしょうし」
「アメリアさん、落ち着いてください」
冨岡が声をかけた。
「まずは『魔王の意図』を知ることからじゃないでしょうか」
10
お気に入りに追加
317
あなたにおすすめの小説

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

おじさんが異世界転移してしまった。
明かりの元
ファンタジー
ひょんな事からゲーム異世界に転移してしまったおじさん、はたして、無事に帰還できるのだろうか?
モンスターが蔓延る異世界で、様々な出会いと別れを経験し、おじさんはまた一つ、歳を重ねる。
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!
父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
その他、多数投稿しています!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる