百億円で異世界に学園作り〜祖父の遺産で勇者・聖女・魔王の子孫たちを育てます〜

澤檸檬

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魔王の意図

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 大人たちで話を濁し、シチューを食べてホットミルクを飲む。そしてリオとフィーネを寝かしつけた後、再び屋台に冨岡、アメリア、レボルで集まった。

「・・・・・・とんでもない話になってきましたね」

 沈黙を破り、口を開いたのはレボル。
 冨岡が淹れた紅茶を飲んでからそう呟いた。
 同意するように冨岡は頷く。

「そうですね。というか、まずは認識の確認をしたいんですけどいいですか?」

 話題はもちろん『リオの父親について』である。
 話を進めるために、同じ認識でいるのかを確認した。
 リオの話を聞き、得た情報から推察するに、リオの父親は魔王で間違い無いだろう。悲しみと苦しみの中にいた魔王は、復讐のために動き出そうとした。そうしなければ、自分を保てない。そんな状況である。
 しかし、それと同時に守るべき存在があった。愛する女性との間に生まれた子ども。愛する女性が残してくれた宝物だ。
 復讐を遂げたとしても、道半ばで途絶えたとしても、必然的に戦いは起こる。子どもを巻き込むわけにはいかない。けれど復讐心を殺すこともできない。
 そこで魔王は魔法によって、リオを逃した。探知できないように布で包み、空へと飛ばしたのである。
 三人とも同じ答えに辿り着いていたのを確認し、冨岡が話を進めた。

「リオくんは魔王が残した子、って可能性が高い。もちろん確定ではないですけど」

 冨岡の言葉を聞いたレボルは鼻から息を吐き、頭を整理してから返答する。

「彼は魔王の子・・・・・・それは確定でいいと思います」
「でも結局は状況証拠と推測でしかないですよ」
「いえ、ここにあるのは『充分すぎる状況証拠』です。魔力を完全に消す布と伝説級の魔石・・・・・・こんなものを造り出せるのは、魔王以外に存在しません。人間の創造物だと限定すれば、の話ですが。その上でリオくんの記憶と大きく関わっており、この場所に現れ、ここにある・・・・・・魔王の遺産を子に届けるかのように。リオくんが魔王の子である、以外の説明が出来ませんよ」

 それは確定ではなく、それ以外の可能性が見出せない暫定という状況ではないのか、とも思うが、冨岡はそれを言葉にしない。
 ほとんど同じ考えに行き着いているからだ。
 一瞬の間を置いて、これまで話を聞いていたアメリアが口を開く。

「リオの親が誰であろうと、関係なく接するつもりです、リオはリオですから。けれど、あの魔王が父親となれば、リオ自身に大きく影響するでしょう。この事実をリオに伝えるかどうか・・・・・・いつまでも隠し続けることはできないでしょうし」
「アメリアさん、落ち着いてください」

 冨岡が声をかけた。

「まずは『魔王の意図』を知ることからじゃないでしょうか」
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