百億円で異世界に学園作り〜祖父の遺産で勇者・聖女・魔王の子孫たちを育てます〜

澤檸檬

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外の光

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「もしかして、屋台の前に落ちてたとか? まさかそんなわけ」

 冗談めかして冨岡が言うと、レボルは頷いた。

「ええ、その通りです」
「落ちてたんですか!?」
「落ちてました。そこら辺にある小石のように」
「でも荷物として、布に包まれてたんですよね?」
「郵便物としての形は保っていましたね」

 余計わけがわからない。まさにそんな表情を浮かべた冨岡は、自分の表情と先ほどまでのアメリアたちの表情が同一のものであると気づいた。
 わけがわからない、という感情の真っ只中にいたのだろう。

「じゃあ、何が起きてるかわからない、ってところで俺が帰ってきたわけですね?」

 冨岡が問いかけると、アメリアが口を開いた。

「そうなんです。本当に心当たりがなくて・・・・・・」

 郵便と判断したのは布で梱包されていたから。それ以外の情報はなく、ただただ伝説級の代物に慄いていた、という状況らしい。
 だが、それがここにあるというだけ。あって困るものなのだろうか。半分程度状況を掴んだ冨岡が話を進める。

「貴重すぎるものが突然届いて驚いていた、って話ですよね?」

 するとレボルは顔を上げて、冨岡に残りの半分を説明し始めた。

「驚いているのももちろんですが、これほどの高密度な魔石です。例えば、の話ですがこの魔石の存在を知った誰かがいるとすれば、なんとしてでも手に入れようとするでしょう。売れば家が建つというレベルではありません。小さな国なら買える・・・・・・そんなものです。金が全てなどと言うつもりは毛頭ないですけど、強大な権力を手にすることができるのは間違いありませんよ」
「そんな・・・・・・じゃあ、最初から売ってしまうっていうのはどうですか?」

 冨岡が提案する。
 しかし、レボルは納得できない様子で首を傾げた。

「それもどうでしょう。そんな高額取引があれば、貴族様にも目をつけられるでしょうし、まだ隠し持っているのではないか、と出どころを探られる。当然手段など選ばずに」
「手段を選ばないって、恐ろしすぎませんか。じゃあもう、その布に包んで土にでも埋めときますか」
「そうですね、それもアリだと思います。ただ疑問を残せば、不安は拭えない。せめて差出人くらいは知りたいものですね」

 冨岡とレボルがどうすべきか話し合っている最中、フィーネだけが窓の外を眺めていた。
 その小さな動きに気づいたのはアメリアである。

「どうしたんですか、フィーネ」
「うんとね、外が明るいの」

 フィーネの言葉を聞いていた冨岡は視線を窓の外に向けた。
 もう既に夜。明るいはずがない。むしろ屋台の中が明るすぎるので、余計暗く感じるくらいだ。
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