百億円で異世界に学園作り〜祖父の遺産で勇者・聖女・魔王の子孫たちを育てます〜

澤檸檬

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魔石を超えた魔石

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「じゃあ俺も」

 冨岡がアメリアにそう告げて、紙皿を手に取るとシチューを配っている途中の彼女が首を横に振った。

「いえ、こちらは大丈夫ですよ。トミオカさんは仕入れがあるでしょうし、こっちは任せてください」

 確かに彼女の言う通り、ハンバーガーを売っている時に比べれば大変ではないだろう。
 アメリアの提案をありがたく受け入れ、冨岡は先に仕入れを終わらせることにした。
 元の世界に戻って美作にメールを送り、家の中に運び入れられている食材を異世界に持って帰る。
 だいぶ慣れてきた作業を終わらせて教会に戻ると、既に職人たちが帰った後だった。
 外の暗さと反して屋台の窓だけが煌々と光っている。
 また屋台の隣に原付が停まっているので、レボルが帰ってきていることがわかった。
 もう冨岡のとってこの場所は自宅同様である。心に染みる安心感が彼を迎えた。

「戻りました」

 屋台のドアを開けて声をかけると、アメリア、レボル、フィーネ、リオが机を囲んで座っている。
 机の上には冨岡を含む人数分のシチューが用意されていた。だが、全員の視線はアメリアの手元に集中している。
 何か違和感を覚えた冨岡は、返答を待たずに問いかけた。

「どうしたんですか? 皆さん」

 深刻そうな空気の中、レボルが代表して顔を上げ、答える。

「トミオカさん。これ・・・・・・」

 そう言いながらレボルはアメリアの手元を指差した。
 冨岡が視線を送ると、アメリアは黒く光る石を手に置いている。一目見てそれが何か、冨岡にはわからない。

「えっと・・・・・・これは何ですか?」

 こちらの世界特有の何か、であることはわかる。
 けれど、全員の表情を見る限り、その辺の石を拾ってきたわけではなさそうだ。
 冨岡の問いかけに対して、アメリアが答える。

「これが何なのかは・・・・・・正直わからないのですが、その・・・・・・魔力が」
「魔力?」

 そう言われても冨岡にはわからない。何もわからない。
 こちらの世界のことについて冨岡が理解できない、という状況に慣れつつあるアメリアは、不思議に思う間もなく言葉を返す。

「魔力を含んだ石、魔石というのものがあるんですけど・・・・・・この石に込められた魔力は魔石の比ではありません。魔法使い何人分なのか、というほどの魔力が込められていて・・・・・・」
「貴重な石ってことですか?」
「貴重なんてレベルじゃないですよ。こんなものが存在している、ということ自体信じられないというか」
「そんなものをどうしてアメリアさんが?」

 ここにある理由を問いかける冨岡。
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