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外枠と中身
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一番外の線に関しては二つとも同じだ。
おそらく、今ある教会の基礎はそのままにしているのだろう。
しかし、その中身は全くの別物。
元々あった壁を全て取っ払い、新しく部屋を作っていくという平面図になっていた。
大工の経験などないものの、不動産会社で部屋を借りる時などに平面図を目にしたことのある冨岡は、なんとなく間取りを理解する。
だがアメリアは、これまでの人生で平面図など見たことがない。
ミルコの言葉から教会の間取りだ、ということだけ理解している状態で、アメリアはまじまじと平面図に向き合っていた。
「えっと、こっちが今の教会で・・・・・・こちらがトミオカさんが思い描く、学園の形ですね」
アメリアが漠然としか理解できていない、と気づいたミルコは学園の平面図上に右手人差し指を置く。
「その通り。順番に説明するぜ? まず、ここが子どもたちの学び場だ。確か、教室って言ったか。子どもたちの机を並べて、その前に教える者が立つんだよな? そのことを考えると、ある程度大きさをとった方がいい」
それは冨岡がミルコに出した要望だった。その構造を考え、これまでの経験から面積を大きく取る理由を付け足すミルコ。
「部屋が狭いと雑音が響きやすい。ある程度の人数が集まるのなら、狭苦しいと集中もできないしな」
そのままミルコは子どもたちの寝室や、食堂など学園として必要な部屋の間取りを指で追いながら話す。
次第にアメリアの理解も追いつき、冨岡の口から出た『教会の形がなくなる』という言葉の意味を察した。
「なるほど、トミオカさんは私に気遣ってくれていたのですね。これから子どもたちを受け入れるため、学園という形を作れば教会としての機能は失う。そういうことですよね?」
アメリアは平面図から顔を上げて冨岡に視線を送る。
彼女の真っ直ぐな視線にを受け止め、冨岡は頷いた。
「アメリアさんにとって、教会は全てをかけて守っていた場所です。どれだけ辛い思いをしてでも・・・・・・それを考えると、教会と学園を両立させた形にするのが良いのではないか、とも思うんです」
「確かにあの教会は、私にとって大切な場所です。『白の創世』がどれだけ悪事を働いていたとしても、私が生きているのはあの教会のおかげですから。憎むことなんてこと、私には出来ません」
そう答えるアメリアに対し、冨岡は当然だよな、と再び頷く。
「じゃあ、教室を縮小して礼拝堂を」
教会と学園の両立という方針で決定するべく冨岡が言うと、アメリアは首を横に振った。
「いえ、礼拝堂は必要ありません。学園に最も適した形にしてください」
「え・・・・・・本当に良いんですか?」
「はい。だって私を育ててくれたのは、『白の創世』の教義でも、神様でもないじゃないですか。私が生きているのは、あの教会で子どもたちのために働いてくれていた人々に助けられたからです。そして私が守りたいのも、行く場所も生きる場所も失った子どもたちの居場所です。教会であるより多くの人々が救えるのなら、形なんていくらでも変えてください」
自分の意見を言い切り、微笑むアメリア。優しげな表情の奥には、強い信念のようなものを感じる。
彼女もまた、自分が受けた優しさを次の世代に繋げようとしているのだ。
冨岡がアメリアに惹かれているのは、自分と同じような芯を持っているからなのかもしれない。
おそらく、今ある教会の基礎はそのままにしているのだろう。
しかし、その中身は全くの別物。
元々あった壁を全て取っ払い、新しく部屋を作っていくという平面図になっていた。
大工の経験などないものの、不動産会社で部屋を借りる時などに平面図を目にしたことのある冨岡は、なんとなく間取りを理解する。
だがアメリアは、これまでの人生で平面図など見たことがない。
ミルコの言葉から教会の間取りだ、ということだけ理解している状態で、アメリアはまじまじと平面図に向き合っていた。
「えっと、こっちが今の教会で・・・・・・こちらがトミオカさんが思い描く、学園の形ですね」
アメリアが漠然としか理解できていない、と気づいたミルコは学園の平面図上に右手人差し指を置く。
「その通り。順番に説明するぜ? まず、ここが子どもたちの学び場だ。確か、教室って言ったか。子どもたちの机を並べて、その前に教える者が立つんだよな? そのことを考えると、ある程度大きさをとった方がいい」
それは冨岡がミルコに出した要望だった。その構造を考え、これまでの経験から面積を大きく取る理由を付け足すミルコ。
「部屋が狭いと雑音が響きやすい。ある程度の人数が集まるのなら、狭苦しいと集中もできないしな」
そのままミルコは子どもたちの寝室や、食堂など学園として必要な部屋の間取りを指で追いながら話す。
次第にアメリアの理解も追いつき、冨岡の口から出た『教会の形がなくなる』という言葉の意味を察した。
「なるほど、トミオカさんは私に気遣ってくれていたのですね。これから子どもたちを受け入れるため、学園という形を作れば教会としての機能は失う。そういうことですよね?」
アメリアは平面図から顔を上げて冨岡に視線を送る。
彼女の真っ直ぐな視線にを受け止め、冨岡は頷いた。
「アメリアさんにとって、教会は全てをかけて守っていた場所です。どれだけ辛い思いをしてでも・・・・・・それを考えると、教会と学園を両立させた形にするのが良いのではないか、とも思うんです」
「確かにあの教会は、私にとって大切な場所です。『白の創世』がどれだけ悪事を働いていたとしても、私が生きているのはあの教会のおかげですから。憎むことなんてこと、私には出来ません」
そう答えるアメリアに対し、冨岡は当然だよな、と再び頷く。
「じゃあ、教室を縮小して礼拝堂を」
教会と学園の両立という方針で決定するべく冨岡が言うと、アメリアは首を横に振った。
「いえ、礼拝堂は必要ありません。学園に最も適した形にしてください」
「え・・・・・・本当に良いんですか?」
「はい。だって私を育ててくれたのは、『白の創世』の教義でも、神様でもないじゃないですか。私が生きているのは、あの教会で子どもたちのために働いてくれていた人々に助けられたからです。そして私が守りたいのも、行く場所も生きる場所も失った子どもたちの居場所です。教会であるより多くの人々が救えるのなら、形なんていくらでも変えてください」
自分の意見を言い切り、微笑むアメリア。優しげな表情の奥には、強い信念のようなものを感じる。
彼女もまた、自分が受けた優しさを次の世代に繋げようとしているのだ。
冨岡がアメリアに惹かれているのは、自分と同じような芯を持っているからなのかもしれない。
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