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気まずい二人
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慌てて入り口まで迎えにいくと、申し訳なさそうな表情を浮かべるブルーノが立っている。
「おはようございます、ブルーノさん」
冨岡が声をかけると、ブルーノは俯き気味に頷いた。
「あ、ああ」
昨日対面した時は、酒が入っている状態だったブルーノ。決して酒が悪いというわけではないが、普段通りの性格だったとは言い難い。その状態の記憶を保っているのならば、自分が暴力的に接した相手と素面で会うことに気まずさを感じているのだろう。
つまり、今のブルーノは昨夜から酒を飲んでいなかった。
短い間だが約束を守ってくれているのだ、と判断した冨岡は優しく微笑む。
「ブルーノさん、朝ごはんは食べましたか?」
「い、いや」
「そうだと思ってハンバーガーを置いておきました。食べてください」
「あ、いや、でも」
「いい仕事をするためにも、食事は大切です。あ、アレックスにもちゃんと朝食は食べてもらってますから安心してください」
そう言って、冨岡はブルーノにハンバーガーを手渡した。
教会の椅子に座るように促し、水も追加で置いておく。冨岡の勢いに押されブルーノが食べ始めると、冨岡は元の世界から持ってきた大工道具を見せた。
「一応、ブルーノさん用に大工道具も用意しているので持っていきましょうか」
「その・・・・・・すまん、じゃなくてありがとうございます」
「今更口調なんてどうでもいいですよ。俺だって失礼なことを言ってしまいましたから、お互い様です。それよりもちゃんと食べてください。職人は体が資本でしょう?」
「あ、ああ」
ブルーノは涙でも流しているのか、と思うような表情でハンバーガーを食べ終える。
その様子を見ていた冨岡は椅子から立ち上がった。
「じゃあ行きましょうか。ミルコの工房の場所はアメリアさんに地図を書いてもらったので」
冨岡が言うと、ブルーノは首を傾げる。
「場所知らなかったのか?」
「まぁ、そんなこともありますよね」
「ある・・・・・・のか? いや、ここまできたら信じるしかない。というか、大工工房の場所ならわかる」
「それは心強い。じゃあ行きましょう」
冨岡とブルーノ。どこかぎこちなく、会話に不自然さがあるのは仕方ないことだろう。
互いに牽制し合っていた仲だ。元々友人というわけでもない二人が、ぶつかった後などこんなものである。
教会を出た二人はブルーノの指示に従い、まっすぐ大工工房が立ち並んでいる区画に向かった。
特に会話もなく進み、工房区画に入ったところでブルーノが人差し指を立てる。
「あそこだ。確か、あそこがミルコって職人の工房だよ」
示された工房は二階建ての木造建築。一階は開けた作業場になっており、屋内と呼べる場所は二階にしか存在しない。階段で直接二階に入る構造になっていた。
「二階に行けばいいのかな?」
冨岡が呟いていると、一階の作業場で動く人影が見える。
それがミルコであるとすぐに気づいた冨岡は、右手を挙げて呼びかけた。
「ミルコー!」
「おはようございます、ブルーノさん」
冨岡が声をかけると、ブルーノは俯き気味に頷いた。
「あ、ああ」
昨日対面した時は、酒が入っている状態だったブルーノ。決して酒が悪いというわけではないが、普段通りの性格だったとは言い難い。その状態の記憶を保っているのならば、自分が暴力的に接した相手と素面で会うことに気まずさを感じているのだろう。
つまり、今のブルーノは昨夜から酒を飲んでいなかった。
短い間だが約束を守ってくれているのだ、と判断した冨岡は優しく微笑む。
「ブルーノさん、朝ごはんは食べましたか?」
「い、いや」
「そうだと思ってハンバーガーを置いておきました。食べてください」
「あ、いや、でも」
「いい仕事をするためにも、食事は大切です。あ、アレックスにもちゃんと朝食は食べてもらってますから安心してください」
そう言って、冨岡はブルーノにハンバーガーを手渡した。
教会の椅子に座るように促し、水も追加で置いておく。冨岡の勢いに押されブルーノが食べ始めると、冨岡は元の世界から持ってきた大工道具を見せた。
「一応、ブルーノさん用に大工道具も用意しているので持っていきましょうか」
「その・・・・・・すまん、じゃなくてありがとうございます」
「今更口調なんてどうでもいいですよ。俺だって失礼なことを言ってしまいましたから、お互い様です。それよりもちゃんと食べてください。職人は体が資本でしょう?」
「あ、ああ」
ブルーノは涙でも流しているのか、と思うような表情でハンバーガーを食べ終える。
その様子を見ていた冨岡は椅子から立ち上がった。
「じゃあ行きましょうか。ミルコの工房の場所はアメリアさんに地図を書いてもらったので」
冨岡が言うと、ブルーノは首を傾げる。
「場所知らなかったのか?」
「まぁ、そんなこともありますよね」
「ある・・・・・・のか? いや、ここまできたら信じるしかない。というか、大工工房の場所ならわかる」
「それは心強い。じゃあ行きましょう」
冨岡とブルーノ。どこかぎこちなく、会話に不自然さがあるのは仕方ないことだろう。
互いに牽制し合っていた仲だ。元々友人というわけでもない二人が、ぶつかった後などこんなものである。
教会を出た二人はブルーノの指示に従い、まっすぐ大工工房が立ち並んでいる区画に向かった。
特に会話もなく進み、工房区画に入ったところでブルーノが人差し指を立てる。
「あそこだ。確か、あそこがミルコって職人の工房だよ」
示された工房は二階建ての木造建築。一階は開けた作業場になっており、屋内と呼べる場所は二階にしか存在しない。階段で直接二階に入る構造になっていた。
「二階に行けばいいのかな?」
冨岡が呟いていると、一階の作業場で動く人影が見える。
それがミルコであるとすぐに気づいた冨岡は、右手を挙げて呼びかけた。
「ミルコー!」
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