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幕間

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 冨岡は即座に元の世界に戻る。
 メールを送るだけなのでそれほど時間はかからない。
 次に買い出してもらいたい物品を記憶の中から探し出して、指を動かした。

「えっと、レボルさんと話していた原付・・・・・・は流石に二十四時間営業のスーパーに売ってないよな。いつもの食材と、あとはレボルさんが扱えそうな食材が欲しいかな。いや、それよりも異世界よりは進んでいる食文化に触れてもらうところからかな」

 冨岡としてはレボルが冒険者から料理人に戻り、やる気を出している今、彼の技術や知識を高める手助けがしたい。

「でもなぁ、別に俺・・・・・・料理が得意ってわけでもなくて、家庭料理をそれなりに作れるだけだし。ほんとはレボルさんを連れて日本のレストランとかに行きたいよな。食べ歩くのも料理人の修行だって言うしね」

 あくまで冨岡の目的は異世界での学園づくりだ。飲食店は異世界での収入を得る手段でしかない。いずれは飲食店を誰かに任せ、離れることを考えればレボルに対して投資は必要だろう。
 
「ともかく、色んな種類の冷凍食品を買ってきてもらおうかな。スーパーにある冷凍食品を全種類一つずつ・・・・・・なんて富豪みたいな買い方だな」

 おそらく、富豪はスーパーで冷凍食品を全種類買うなんてことはしない。
 そもそも冨岡は百億円という資産を持っている。富豪ではあるはずなのだが、自分のことをそうだとは思えない。
 良く言えば堅実、悪く言えばケチな性格なのだろう。

「よし、食材はこれでいいか。あとは原付と、ミルコの所で使う大工道具が欲しいんだよな。大工道具はホームセンターで買えるか・・・・・・原付は・・・・・・とにかくお金だけ置いておこう。んで、メールに欲しいものとして書いておけばどうにかしてくれるかもしれない」

 もし美作に断られれば自分で買いに行けばいいだけだ。ダメで元々。そう考え、冨岡はメールに大工道具一式と原付を付け足した。
 メールを送り終えた冨岡は、家の中に必要になるだろう金額を置いて異世界に戻る。
 特に寄り道する場所もないのでまっすぐ教会の戻ると、ちょうどアメリアが屋台に入ろうとしている所だった。

「アメリアさん」

 冨岡が呼びかけるとアメリアは立ち止まって振り返る。

「あ、トミオカさん。いつものお仕事ですか? 仕入れの」
「ええ、ちょうど発注を終えたところです。フィーネちゃんとアレックスは、もう眠りましたか?」
「はい、二人とも疲れていたみたいでぐっすりです」

 軽く言葉を交わした冨岡とアメリアは、そのまま屋台に入った。
 中ではレボルが食材の棚を、獲物を狩る鷹のような目で眺めている。

「ただいま戻りましたー」

 冨岡が言うと、レボルはハッとして振り向いた。

「あ、お帰りなさい」
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