278 / 498
カレーは正義
しおりを挟む
カレー界最大のタブーを阻止する冨岡。須く幼い子をどタブーに触れやすい。
どれだけ話していても食欲を湧かせることは難しい、と考え冨岡は自ら率先して食べ始める。
「カレーは本当に美味しいんですよ」
スプーンで端から寄せるように米を掬い、カレーの部分に浸してから口に運んだ。
一気に広がるスパイスの香り。甘口でも一瞬辛さを錯覚してしまうのは、カレー即ち辛いものだという先入観があるからだろう。
野菜を噛み締めると甘みが広がり、料理界でも屈指の味の濃さを誇るカレーと混ざり、これ以上にないハーモニーを奏でる。
「うん、やっぱこれだなぁ」
冨岡が食べている姿を見て、すぐに動いたのは幼い二人だった。
フィーネとアレックスは同時にスプーンを取り、カレーを口に運ぶ。
その瞬間二人とも目を見開き、口の中に広がる香りの波の凄さを表現した。
「うわぁ!」
「・・・・・・美味しい」
朗らかに喜ぶフィーネと、噛み締めるアレックス。二人のテンションには大きな差があるものの、どちらも好意的な反応だった。
さらにフィーネは言葉を付け足す。
「すっごい美味しいよ、これ! なんかね、なんかね、いっぱい美味しいの」
彼女なりの言葉でカレーを説明した。おそらく様々な食材が入っていて、どれも美味しいことを言っているのだろう。
幼い二人が食べ進めたのを見て、アメリアも一歩踏み出した。
「それじゃあ、私もいただきます」
大人であればあるほど、先入観は濃く強い。
それでもアメリアはスプーンを取ってカレーを掬う。口元に運び、再び覚悟を決めてから口に入れた。
「んっ!」
思わず声を漏らすアメリア。
カレーの凄さは、それほど食欲のない時でも食べ始めればお腹が空いてくるところにもある。
躊躇していたことを忘れさせるほどの旨みが広がり、アメリアの表情は明るくなった。
「本当に美味しい・・・・・・すごく複雑な味なのに、一つにまとまっている感じがしますね」
アメリアのコメントに冨岡は微笑む。
「そうですよね。カレーは何を具材にしても、最終的にまとまって美味しくなるんです」
その後、これまで待っていたレボルもカレーを食べ始めた。
「それでは私もいただきますね。私の場合、躊躇というよりも緊張して中々手がつけられなかったんですよ。人生の中で一度食べられるか、というような高級品ですから」
料理人の舌はカレーにどのような判定を下すのか。冨岡はレボルの反応を待つ。
「どうですか、レボルさん」
「・・・・・・これは素晴らしい。なるほど、形ある野菜以外にもソース自体に野菜が溶け込んでいますね。これはかなり煮込まれた味だ」
それは完全に食品会社の企業努力です。
「野菜以外にも果実が溶け込んでいますね? ふむ、なるほど。とろみがあることで、この穀物とよく絡む。なんて完成度の高い料理なんでしょう」
どれだけ話していても食欲を湧かせることは難しい、と考え冨岡は自ら率先して食べ始める。
「カレーは本当に美味しいんですよ」
スプーンで端から寄せるように米を掬い、カレーの部分に浸してから口に運んだ。
一気に広がるスパイスの香り。甘口でも一瞬辛さを錯覚してしまうのは、カレー即ち辛いものだという先入観があるからだろう。
野菜を噛み締めると甘みが広がり、料理界でも屈指の味の濃さを誇るカレーと混ざり、これ以上にないハーモニーを奏でる。
「うん、やっぱこれだなぁ」
冨岡が食べている姿を見て、すぐに動いたのは幼い二人だった。
フィーネとアレックスは同時にスプーンを取り、カレーを口に運ぶ。
その瞬間二人とも目を見開き、口の中に広がる香りの波の凄さを表現した。
「うわぁ!」
「・・・・・・美味しい」
朗らかに喜ぶフィーネと、噛み締めるアレックス。二人のテンションには大きな差があるものの、どちらも好意的な反応だった。
さらにフィーネは言葉を付け足す。
「すっごい美味しいよ、これ! なんかね、なんかね、いっぱい美味しいの」
彼女なりの言葉でカレーを説明した。おそらく様々な食材が入っていて、どれも美味しいことを言っているのだろう。
幼い二人が食べ進めたのを見て、アメリアも一歩踏み出した。
「それじゃあ、私もいただきます」
大人であればあるほど、先入観は濃く強い。
それでもアメリアはスプーンを取ってカレーを掬う。口元に運び、再び覚悟を決めてから口に入れた。
「んっ!」
思わず声を漏らすアメリア。
カレーの凄さは、それほど食欲のない時でも食べ始めればお腹が空いてくるところにもある。
躊躇していたことを忘れさせるほどの旨みが広がり、アメリアの表情は明るくなった。
「本当に美味しい・・・・・・すごく複雑な味なのに、一つにまとまっている感じがしますね」
アメリアのコメントに冨岡は微笑む。
「そうですよね。カレーは何を具材にしても、最終的にまとまって美味しくなるんです」
その後、これまで待っていたレボルもカレーを食べ始めた。
「それでは私もいただきますね。私の場合、躊躇というよりも緊張して中々手がつけられなかったんですよ。人生の中で一度食べられるか、というような高級品ですから」
料理人の舌はカレーにどのような判定を下すのか。冨岡はレボルの反応を待つ。
「どうですか、レボルさん」
「・・・・・・これは素晴らしい。なるほど、形ある野菜以外にもソース自体に野菜が溶け込んでいますね。これはかなり煮込まれた味だ」
それは完全に食品会社の企業努力です。
「野菜以外にも果実が溶け込んでいますね? ふむ、なるほど。とろみがあることで、この穀物とよく絡む。なんて完成度の高い料理なんでしょう」
0
お気に入りに追加
317
あなたにおすすめの小説

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。

おじさんが異世界転移してしまった。
明かりの元
ファンタジー
ひょんな事からゲーム異世界に転移してしまったおじさん、はたして、無事に帰還できるのだろうか?
モンスターが蔓延る異世界で、様々な出会いと別れを経験し、おじさんはまた一つ、歳を重ねる。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる