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初見のカレー
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市販のカレールーを使ったカレー。それほど調理は難しくない上に失敗も少ない。
しかしその素晴らしさは、安定した美味しさにある。誰が作っても指定された手順と分量を間違えない限り、大差のないカレーが完成するのだ。自炊の味方と言っていいだろう。
「あとはレンジで温めるご飯を用意して・・・・・・と」
冨岡が完成したカレーの鍋に蓋をして、次の作業に移ろうとした途端、屋台が停止したのを感じた。
屋台が動いていたことを再確認させるように、前方向に軽く引っ張られる。
とはいえ、体勢を崩すほどではない。
「ここでいいんですよね?」
外からレボルの声が聞こえた。
冨岡が料理をしている途中ということもあり、アメリアが立ち上がって対応する。
屋台の準備を終えたところで、ちょうどカレーライスの用意も終わり五人で机を囲んだ。椅子の数が足りないため、教会から追加の椅子を持ち込んだ結果、多少狭く感じる。
「さて、夕食にしましょう。ほら、フィーネちゃん、アレックスいっぱい食べてね。おかわりもあるから」
何故か一番嬉しそうにしている冨岡が言うと、残りの四人はスプーンを手にした。
だが食べ始めようとはしない。
「あれ、どうしたんですか? 食べましょうよ」
首を傾げ気味に言う冨岡。どうやらアメリアたちはカレーの見た目に抵抗を覚えているようだった。
スパイスの香りにも馴染みがなく、カレーは未知の茶色いどろどろした何かでしかない。
アメリアは申し訳なさそうに口を開く。
「魚の時も先入観で躊躇してしまいましたし、食べてみたいと思うのですが・・・・・・その、これは・・・・・・」
アメリアの質問に対して冨岡は朗らかに答えた。
「これはカレーです。簡単に言うと煮込み料理なのかな? 野菜や肉をスパイスで煮込んで、小麦粉でとろみをつけたものです。俺の国では子どもから大人まで、安定した人気を持つ料理ですよ。種類も豊富で、この匂いを嗅ぐだけで食欲が湧くなんて人も多いはずです」
そんな冨岡の言葉に興味を持ったのは、料理人であるレボルだった。
「ほう、これがスパイスですか。獣人の国でスパイスという調味料を栽培している、という話は聞いていましたが、高価なため市場にはあまり出回りません。これほど香るということはスパイスがふんだんに使われているのでしょう。その辺の貴族様でも食べられないほど高価な料理というわけですね。これはすごい・・・・・・見た目は少々・・・・・・アレですが」
確かにカレーを初めて見る者にとって、食欲が湧くような形状や色でないことは理解できる。
しかしカレーを目の前にしてするべき話ではない。これは絶対だ。
冨岡がどう説明しようか考えていると、フィーネが話し始める。
「これってアレみたい! ほら、ト」
「絶対にダメだ、フィーネちゃん! その言葉を口にすると食べられなくなる!」
しかしその素晴らしさは、安定した美味しさにある。誰が作っても指定された手順と分量を間違えない限り、大差のないカレーが完成するのだ。自炊の味方と言っていいだろう。
「あとはレンジで温めるご飯を用意して・・・・・・と」
冨岡が完成したカレーの鍋に蓋をして、次の作業に移ろうとした途端、屋台が停止したのを感じた。
屋台が動いていたことを再確認させるように、前方向に軽く引っ張られる。
とはいえ、体勢を崩すほどではない。
「ここでいいんですよね?」
外からレボルの声が聞こえた。
冨岡が料理をしている途中ということもあり、アメリアが立ち上がって対応する。
屋台の準備を終えたところで、ちょうどカレーライスの用意も終わり五人で机を囲んだ。椅子の数が足りないため、教会から追加の椅子を持ち込んだ結果、多少狭く感じる。
「さて、夕食にしましょう。ほら、フィーネちゃん、アレックスいっぱい食べてね。おかわりもあるから」
何故か一番嬉しそうにしている冨岡が言うと、残りの四人はスプーンを手にした。
だが食べ始めようとはしない。
「あれ、どうしたんですか? 食べましょうよ」
首を傾げ気味に言う冨岡。どうやらアメリアたちはカレーの見た目に抵抗を覚えているようだった。
スパイスの香りにも馴染みがなく、カレーは未知の茶色いどろどろした何かでしかない。
アメリアは申し訳なさそうに口を開く。
「魚の時も先入観で躊躇してしまいましたし、食べてみたいと思うのですが・・・・・・その、これは・・・・・・」
アメリアの質問に対して冨岡は朗らかに答えた。
「これはカレーです。簡単に言うと煮込み料理なのかな? 野菜や肉をスパイスで煮込んで、小麦粉でとろみをつけたものです。俺の国では子どもから大人まで、安定した人気を持つ料理ですよ。種類も豊富で、この匂いを嗅ぐだけで食欲が湧くなんて人も多いはずです」
そんな冨岡の言葉に興味を持ったのは、料理人であるレボルだった。
「ほう、これがスパイスですか。獣人の国でスパイスという調味料を栽培している、という話は聞いていましたが、高価なため市場にはあまり出回りません。これほど香るということはスパイスがふんだんに使われているのでしょう。その辺の貴族様でも食べられないほど高価な料理というわけですね。これはすごい・・・・・・見た目は少々・・・・・・アレですが」
確かにカレーを初めて見る者にとって、食欲が湧くような形状や色でないことは理解できる。
しかしカレーを目の前にしてするべき話ではない。これは絶対だ。
冨岡がどう説明しようか考えていると、フィーネが話し始める。
「これってアレみたい! ほら、ト」
「絶対にダメだ、フィーネちゃん! その言葉を口にすると食べられなくなる!」
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