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絵に描いた餅
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冨岡が教会内の食堂に向かうと、フィーネが木製のバケツで雑巾を洗っているとこだった。
「あ、トミオカさん。おはよー」
「おはよう、フィーネちゃん。朝から偉いね」
そう褒めると、フィーネは不思議そうに首を傾げる。
「ん? 偉い?」
フィーネにとって、教会の掃除をすることは当然の仕事だ。それ自体を大変なことだとは思っていない。朝起きて顔を洗うように、ご飯を食べる前に手を洗うように、教会の掃除をする。
何故褒められたのかわかっていないフィーネに優しく微笑み、冨岡は手を洗った。
「じゃあ、朝ごはんを作ろうかな。フィーネちゃん何が食べたい?」
バケツの中の汚れた水を捨てているフィーネに問いかけると、彼女は右斜め上を向いて考える。
「うーん、パンもいいしお米もいいなぁ。でもフィーネはね、トミオカさんがフィーネの知らないものを作ってくれるのが好き!」
「フィーネちゃんの知らないものか。そうだね、これまで食べたことないものを食べてみてほしいとは思うよ。じゃあ、ちょっと材料を見てみようか。フィーネちゃんも掃除が終わったなら屋台に来るかい?」
「うん! 行く!」
屋台の設備を整えまくったが故に教会内の厨房よりも、屋台の方が料理をしやすい。
冨岡はフィーネを連れて屋台に行くと、今日持ってきた食材を確認する。
「ハンバーガーの屋台をしていると、パンを食べることが多くなるよなぁ。じゃあ、米のほうがいいか。基本的な和食は食べたことあるから、ちょっと変わったものにしようかな。キュルケース家で作ったオムライスでもいいけど、もっとパンチのあるものがいいな。朝カレー・・・・・・うーん、納豆とか? 流石に食べたことない人にいきなり食べさせるのは難しいか」
そんなことを呟きながら食材を漁っていた冨岡は、大根を見つけた。
「お、大根だ。そっか、まだ使ったことない野菜を幾つか買ってきてもらったんだ。元料理人のレボルさんに見てもらって新しいアイデアをもらおうとしたんだっけ」
大根を見ていた冨岡は、ふと子どもの頃に食べていた朝食を思い出す。
肉よりも魚が好きだった祖父、源次郎はよく焼き魚を朝の食卓に並べていた。その隣にはたっぷりの大根おろしを添えて。
そのおかげもあり冨岡は魚だけではなく、だし巻き卵にも、ハンバーグにも大根おろしを添えて食べる。
そんなことを思い出し、焼き魚を食べたくなってしまった。
「そういえば、こっちの世界に来てから魚を見てないな。ねぇ、フィーネちゃん。魚って食べたことある?」
「魚? ううん、ないよ。だって、海の近くにいなければ食べられないでしょ?」
「あ、そっか」
冷蔵技術のない世界において、鮮度が求められる魚は汎用食ではないのだろう。
魔法があるなら何とかなるだろう、と思ってしまうのだが『冷蔵すれば腐らない』という気づきがなければ、辿り着けない。魔法があるゆえに発展しない、ということもあるのは納得できた。
「焼き魚食べたいけど魚は買ってないよなぁ・・・・・・」
大根おろしを連想したとはいえ、魚がなければ『絵に描いた餅』ならぬ『思い浮かべた魚』である。昨夜、美作に魚の注文などしてない。
どうしようかと考えながらダンボールを漁っていると、その底に発泡スチロールの箱があることに気づいた。
「え? 何だこれ」
「あ、トミオカさん。おはよー」
「おはよう、フィーネちゃん。朝から偉いね」
そう褒めると、フィーネは不思議そうに首を傾げる。
「ん? 偉い?」
フィーネにとって、教会の掃除をすることは当然の仕事だ。それ自体を大変なことだとは思っていない。朝起きて顔を洗うように、ご飯を食べる前に手を洗うように、教会の掃除をする。
何故褒められたのかわかっていないフィーネに優しく微笑み、冨岡は手を洗った。
「じゃあ、朝ごはんを作ろうかな。フィーネちゃん何が食べたい?」
バケツの中の汚れた水を捨てているフィーネに問いかけると、彼女は右斜め上を向いて考える。
「うーん、パンもいいしお米もいいなぁ。でもフィーネはね、トミオカさんがフィーネの知らないものを作ってくれるのが好き!」
「フィーネちゃんの知らないものか。そうだね、これまで食べたことないものを食べてみてほしいとは思うよ。じゃあ、ちょっと材料を見てみようか。フィーネちゃんも掃除が終わったなら屋台に来るかい?」
「うん! 行く!」
屋台の設備を整えまくったが故に教会内の厨房よりも、屋台の方が料理をしやすい。
冨岡はフィーネを連れて屋台に行くと、今日持ってきた食材を確認する。
「ハンバーガーの屋台をしていると、パンを食べることが多くなるよなぁ。じゃあ、米のほうがいいか。基本的な和食は食べたことあるから、ちょっと変わったものにしようかな。キュルケース家で作ったオムライスでもいいけど、もっとパンチのあるものがいいな。朝カレー・・・・・・うーん、納豆とか? 流石に食べたことない人にいきなり食べさせるのは難しいか」
そんなことを呟きながら食材を漁っていた冨岡は、大根を見つけた。
「お、大根だ。そっか、まだ使ったことない野菜を幾つか買ってきてもらったんだ。元料理人のレボルさんに見てもらって新しいアイデアをもらおうとしたんだっけ」
大根を見ていた冨岡は、ふと子どもの頃に食べていた朝食を思い出す。
肉よりも魚が好きだった祖父、源次郎はよく焼き魚を朝の食卓に並べていた。その隣にはたっぷりの大根おろしを添えて。
そのおかげもあり冨岡は魚だけではなく、だし巻き卵にも、ハンバーグにも大根おろしを添えて食べる。
そんなことを思い出し、焼き魚を食べたくなってしまった。
「そういえば、こっちの世界に来てから魚を見てないな。ねぇ、フィーネちゃん。魚って食べたことある?」
「魚? ううん、ないよ。だって、海の近くにいなければ食べられないでしょ?」
「あ、そっか」
冷蔵技術のない世界において、鮮度が求められる魚は汎用食ではないのだろう。
魔法があるなら何とかなるだろう、と思ってしまうのだが『冷蔵すれば腐らない』という気づきがなければ、辿り着けない。魔法があるゆえに発展しない、ということもあるのは納得できた。
「焼き魚食べたいけど魚は買ってないよなぁ・・・・・・」
大根おろしを連想したとはいえ、魚がなければ『絵に描いた餅』ならぬ『思い浮かべた魚』である。昨夜、美作に魚の注文などしてない。
どうしようかと考えながらダンボールを漁っていると、その底に発泡スチロールの箱があることに気づいた。
「え? 何だこれ」
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