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私、幸せです
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美作に買い出しを頼むことが得なのかどうか、それは浮いた買い出しの時間を冨岡がどう活用するのかにかかっていた。
極端な話、その時間に何もしなければ出費が増えただけに終わる。
買い出しに出ていた夜の時間を異世界でどう過ごすのか。これもまた、早急に考えなければならない事柄である。
荷物をリアカーに積んだ冨岡は、そのまま異世界に向かった。
冨岡が教会に戻ると、ちょうどアメリアがメルルズパンでパンを仕入れに行くところだったらしく、入り口のところで顔を合わせる。
「あ、アメリアさん。おはようございます」
「おはようございます。トミオカさんも仕入れに?」
「はい、いつもの食材と新しい商品をいくつか。あとでまた説明しますね」
「ふふっ、それは楽しみですね。じゃあ、私はパンを取りに行ってきます」
そう言いながらアメリアは、手に持っていた布袋をジャラと鳴らした。
昨日の売上金の一部である。これはメルルに支払うパンの代金だ。
一人でパンを取りに行こうとしているアメリアに対し、冨岡は身を乗り出して言う。
「あ、じゃあ俺も行きますよ」
「いえ、パンの仕入れは私の仕事ですから」
どうやらアメリアは、パンの仕入れを任されたことによって自分も屋台の役に立っている、という安心を得ているようだ。それと同時にやり甲斐も感じていた。
アメリアの返答を聞いた冨岡が、アメリアに仕事を任せて申し訳ない、という表情を浮かべているのに気づいた彼女は優しく笑む。
「私、役に立てるのが嬉しいんです。トミオカさんは『自分だけで屋台を営んでいるんじゃない』って言ってくれますけど、こうして実際に仕事を任された方が実感できますから。私も必要なんだって」
「そうですか?」
「ええ、ちゃんと未来に向けて働くのって楽しいですね。生きるためだけに働いていた頃は、こんな風に考えることはできなかったです。ふふっ、今が楽しくて仕方ないんですよ」
「アメリアさんがそう言うなら、パンの方はお任せしますね。じゃあ、俺は朝食でも作っておきます。フィーネちゃんが起きてきたら、一緒に作ろうかな」
冨岡はアメリアの『幸せ』という言葉に照れ臭さを感じながら言った。
自分の行いで誰かが幸せになってくれている、という事実は想像していたよりも嬉しく、どこかむず痒い。それが自分にとって大切な女性であれば余計にである。
「あ、フィーネならもう起きてますよ。フィーネには掃除をお願いしていますから、もし掃除が終わって『お腹がすいた』と言っていたら、先に食べさせてあげてください」
そんなアメリアの言葉を聞いた冨岡は、改めてフィーネの働きぶりに感心した。もしかすると、こちらの世界では幼い子でも大人と同じように動くのは当たり前のことなのかもしれない。だが、たとえそうでも、フィーネが頑張っていることには変わりなかった。
「わかりました。じゃあ、頑張っているフィーネちゃんに喜んでもらえるような朝食を作りますね」
冨岡はそう言ってからアメリアの背中を見送る。
極端な話、その時間に何もしなければ出費が増えただけに終わる。
買い出しに出ていた夜の時間を異世界でどう過ごすのか。これもまた、早急に考えなければならない事柄である。
荷物をリアカーに積んだ冨岡は、そのまま異世界に向かった。
冨岡が教会に戻ると、ちょうどアメリアがメルルズパンでパンを仕入れに行くところだったらしく、入り口のところで顔を合わせる。
「あ、アメリアさん。おはようございます」
「おはようございます。トミオカさんも仕入れに?」
「はい、いつもの食材と新しい商品をいくつか。あとでまた説明しますね」
「ふふっ、それは楽しみですね。じゃあ、私はパンを取りに行ってきます」
そう言いながらアメリアは、手に持っていた布袋をジャラと鳴らした。
昨日の売上金の一部である。これはメルルに支払うパンの代金だ。
一人でパンを取りに行こうとしているアメリアに対し、冨岡は身を乗り出して言う。
「あ、じゃあ俺も行きますよ」
「いえ、パンの仕入れは私の仕事ですから」
どうやらアメリアは、パンの仕入れを任されたことによって自分も屋台の役に立っている、という安心を得ているようだ。それと同時にやり甲斐も感じていた。
アメリアの返答を聞いた冨岡が、アメリアに仕事を任せて申し訳ない、という表情を浮かべているのに気づいた彼女は優しく笑む。
「私、役に立てるのが嬉しいんです。トミオカさんは『自分だけで屋台を営んでいるんじゃない』って言ってくれますけど、こうして実際に仕事を任された方が実感できますから。私も必要なんだって」
「そうですか?」
「ええ、ちゃんと未来に向けて働くのって楽しいですね。生きるためだけに働いていた頃は、こんな風に考えることはできなかったです。ふふっ、今が楽しくて仕方ないんですよ」
「アメリアさんがそう言うなら、パンの方はお任せしますね。じゃあ、俺は朝食でも作っておきます。フィーネちゃんが起きてきたら、一緒に作ろうかな」
冨岡はアメリアの『幸せ』という言葉に照れ臭さを感じながら言った。
自分の行いで誰かが幸せになってくれている、という事実は想像していたよりも嬉しく、どこかむず痒い。それが自分にとって大切な女性であれば余計にである。
「あ、フィーネならもう起きてますよ。フィーネには掃除をお願いしていますから、もし掃除が終わって『お腹がすいた』と言っていたら、先に食べさせてあげてください」
そんなアメリアの言葉を聞いた冨岡は、改めてフィーネの働きぶりに感心した。もしかすると、こちらの世界では幼い子でも大人と同じように動くのは当たり前のことなのかもしれない。だが、たとえそうでも、フィーネが頑張っていることには変わりなかった。
「わかりました。じゃあ、頑張っているフィーネちゃんに喜んでもらえるような朝食を作りますね」
冨岡はそう言ってからアメリアの背中を見送る。
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