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ウチで働きませんか?
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冨岡の説明を聞いたレボルは感心したように頷いた。
「なるほど、なるほど。確かにそうですね、非常に理にかなっている。しかし、それを実現しようと思う人は多くないでしょう。冒険者を調理係に、なんて考える人はそういませんからね」
「そうですか? それぞれ仕事とは別に好きなことも得意なこともあるはずですから、無理なことではないはずですよ」
「ははっ、柔軟な考えをお持ちですね。しかし、中々そうはいかないのですよ。商人は商人、冒険者は冒険者。そう考えるのが『普通』というものです」
そう話すレボルからは、どこか寂しさのようなものを感じる。
世界中のことなど冨岡にはわからないが、少なくともこの街、いやこの国には息苦しいほど貧富の差が存在していた。
そんな呼吸もままならないような場所では、好きな生き方が望めない場合が多い。
貴族は貴族、庶民は庶民の生き方から逃れられないのだ。そして庶民の中でも、格差は存在する。
商人という職業は、そもそもそれなりの資産やツテがなければ始められない。始めるには開業資金が必要だ。
対して冒険者は、その身一つで始められる。大きなリスクは伴うものの、腕によっては大金を得られる仕事だ。
その格差によって、簡単に言えば商人は冒険者を見下す傾向にある。
冨岡のように、冒険者に冒険者以上の価値を見出そうという者は非常に珍しい。
「普通ですか? 商人ならその人の価値を見誤ることが、どれだけの損失なのか考えたいところですよね。それが商人の普通じゃないですか?」
心のままに冨岡が答えると、レボルは酒を吹き出しそうなほど笑う。
「はっはっは、大体トミオカさんの人柄がわかってきましたよ。人によっては甘いと笑い飛ばすでしょう。ただ私は酒も人も甘い方が好きなんです。もう少し詳しく話を聞いても?」
「もちろんです」
冨岡はそう答えてから、屋台について説明した。
ハンバーガーの屋台であること。大広場で販売していること。それによっていくつかのトラブルに巻き込まれたこと。アメリアやフィーネと一緒に働いていること。
そして、最終的に学園を作るため、冨岡は自由に動き新しい仕事や収入を得なければならないこと。
全ての話を聞いたレボルは黙って頷いた。まるで冨岡の言葉を噛み締めるようである。
「どうでしょう、ウチで働いてみませんか?」
冨岡が正式に勧誘すると、レボルは一瞬停止してから問いかけた。
「まだ私のことを詳しく知らないでしょう。軽率に誘っていいんですか? もしも私が悪い人間であれば、とは考えないですか? その他にも、私が弱く護衛にならない程度の冒険者であれば、とか」
その問いに対して、冨岡は軽く笑みを浮かべる。
「悪人かどうかはともかく、冒険者ギルドを介しているのなら悪さはできないですよね? それに護衛として少なくとも俺よりは頼りになるはずですから。そんなことよりも俺はレボルさんの穏やかな人柄が気に入ったんです。嫌じゃなければ、ウチで働いてください」
「なるほど、なるほど。確かにそうですね、非常に理にかなっている。しかし、それを実現しようと思う人は多くないでしょう。冒険者を調理係に、なんて考える人はそういませんからね」
「そうですか? それぞれ仕事とは別に好きなことも得意なこともあるはずですから、無理なことではないはずですよ」
「ははっ、柔軟な考えをお持ちですね。しかし、中々そうはいかないのですよ。商人は商人、冒険者は冒険者。そう考えるのが『普通』というものです」
そう話すレボルからは、どこか寂しさのようなものを感じる。
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そんな呼吸もままならないような場所では、好きな生き方が望めない場合が多い。
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商人という職業は、そもそもそれなりの資産やツテがなければ始められない。始めるには開業資金が必要だ。
対して冒険者は、その身一つで始められる。大きなリスクは伴うものの、腕によっては大金を得られる仕事だ。
その格差によって、簡単に言えば商人は冒険者を見下す傾向にある。
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「普通ですか? 商人ならその人の価値を見誤ることが、どれだけの損失なのか考えたいところですよね。それが商人の普通じゃないですか?」
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「もちろんです」
冨岡はそう答えてから、屋台について説明した。
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そして、最終的に学園を作るため、冨岡は自由に動き新しい仕事や収入を得なければならないこと。
全ての話を聞いたレボルは黙って頷いた。まるで冨岡の言葉を噛み締めるようである。
「どうでしょう、ウチで働いてみませんか?」
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「まだ私のことを詳しく知らないでしょう。軽率に誘っていいんですか? もしも私が悪い人間であれば、とは考えないですか? その他にも、私が弱く護衛にならない程度の冒険者であれば、とか」
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「悪人かどうかはともかく、冒険者ギルドを介しているのなら悪さはできないですよね? それに護衛として少なくとも俺よりは頼りになるはずですから。そんなことよりも俺はレボルさんの穏やかな人柄が気に入ったんです。嫌じゃなければ、ウチで働いてください」
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