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幸せの足音
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二人の気持ちはありがたいと思う冨岡だが、教会の建て直しを自分だけで決めるわけにはいかなかった。
「建て直しが必要なのも分かりましたし、依頼するならミルコだと思います。けど、教会の所有者はアメリアさんなので相談させてください。建て直し費用も用意しなければならないですからね」
一体建て直しにいくら必要なのか、それが決して安くないことは想像できる。
もちろん、冨岡はこれまで建物を建てたことなどない。それでも曖昧な知識として普通の家でも数千万、豪邸となれば億以上の金額が必要なことはわかる。
教会ほどの規模であれば億以上なのは確定だ。しかしこれは元の世界の相場である。
こちらの世界では、どれほどの金額になるのだろうか。
おそらく百億円を持ってる冨岡といえど、おいそれと決められる金額ではないだろう。
するとミルコは申し訳なさそうに頷いた。
「そうだよな、すまない。勇み足だったか」
「気持ちはありがたいですよ。けど、そのうちお願いすると思います」
こうしてミルコの処遇について決定したところで、ダルクが椅子から立ち上がる。
「教会の建て直しについては今すぐ決められることでもなさそうですね。それでは、私はここで失礼します。ミルコさんは明日、キュルケース家にお越しください。トミオカ様も契約など関係なく、いつでも・・・・・・旦那様もお嬢様もお待ちしておりますので。それにまだ旦那様とお話しすべきことがあるのでしょう?」
ダルクの言う通り、結局冨岡は大切な話をホースと出来ずにいた。
「そうですね。それじゃあ、近いうちにお伺いします」
冨岡はそう言って微笑む。
そこでダルクは思い出したかのように「そうだ」と呟き、ミルコに顔を向けた。
「トミオカ様襲撃の失敗を知られると、バルメディ家が何をしてくるか分からないのでしたね?」
「あ、ああ、はい。ただ、すぐに何かされるわけではないと」
「そうですか。それなら良いのですが、一応念には念を入れて『挨拶』を済ませておくとしましょうか」
ダルクはそう言ってからゴルザードに「車の行き先はバルメディ家です」とだけ伝える。
挨拶ってそんな不穏な言葉でしたっけ、と冨岡は苦笑した。
ともかく、ミルコと彼の家族の安全は確保できそうである。
それによって、この一件は一旦落着と言っていい。
軽い挨拶を済ませ、ミルコやダルクたちを見送った冨岡は屋台の掃除を始める。
「さて、片付けておくか。アメリアさんたちは貧民街だし、追いかけようにも場所がわからないからなぁ」
カウンターの拭き掃除を終えた冨岡が、一息入れようとお茶を飲んでいると屋台の外で二人分の足をとが聞こえてきた。
冨岡はすぐに、それが自分の待っていた音だと気づく。
「建て直しが必要なのも分かりましたし、依頼するならミルコだと思います。けど、教会の所有者はアメリアさんなので相談させてください。建て直し費用も用意しなければならないですからね」
一体建て直しにいくら必要なのか、それが決して安くないことは想像できる。
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教会ほどの規模であれば億以上なのは確定だ。しかしこれは元の世界の相場である。
こちらの世界では、どれほどの金額になるのだろうか。
おそらく百億円を持ってる冨岡といえど、おいそれと決められる金額ではないだろう。
するとミルコは申し訳なさそうに頷いた。
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「気持ちはありがたいですよ。けど、そのうちお願いすると思います」
こうしてミルコの処遇について決定したところで、ダルクが椅子から立ち上がる。
「教会の建て直しについては今すぐ決められることでもなさそうですね。それでは、私はここで失礼します。ミルコさんは明日、キュルケース家にお越しください。トミオカ様も契約など関係なく、いつでも・・・・・・旦那様もお嬢様もお待ちしておりますので。それにまだ旦那様とお話しすべきことがあるのでしょう?」
ダルクの言う通り、結局冨岡は大切な話をホースと出来ずにいた。
「そうですね。それじゃあ、近いうちにお伺いします」
冨岡はそう言って微笑む。
そこでダルクは思い出したかのように「そうだ」と呟き、ミルコに顔を向けた。
「トミオカ様襲撃の失敗を知られると、バルメディ家が何をしてくるか分からないのでしたね?」
「あ、ああ、はい。ただ、すぐに何かされるわけではないと」
「そうですか。それなら良いのですが、一応念には念を入れて『挨拶』を済ませておくとしましょうか」
ダルクはそう言ってからゴルザードに「車の行き先はバルメディ家です」とだけ伝える。
挨拶ってそんな不穏な言葉でしたっけ、と冨岡は苦笑した。
ともかく、ミルコと彼の家族の安全は確保できそうである。
それによって、この一件は一旦落着と言っていい。
軽い挨拶を済ませ、ミルコやダルクたちを見送った冨岡は屋台の掃除を始める。
「さて、片付けておくか。アメリアさんたちは貧民街だし、追いかけようにも場所がわからないからなぁ」
カウンターの拭き掃除を終えた冨岡が、一息入れようとお茶を飲んでいると屋台の外で二人分の足をとが聞こえてきた。
冨岡はすぐに、それが自分の待っていた音だと気づく。
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